バルコニアン(11) 番外編―イングリッシュ・ガーデン
イギリスで見た銅葉の思い出
前回のnoteで、仕事で訪れたイギリス・ウエールズの町、カーディフで見た銅葉の木の話をしました。街の中のやや広い公園で見た景色です。一面の緑の芝生。ところが視線の先には銅葉の木がひとつあり、緑の上に輝いて見えました。当時は園芸にそれほど興味を持っていなかったのに、いつか庭を持つなら、銅葉の木を植えたいものだと思ったわけですから不思議です。よほど銅葉の木の美しさが印象的だったのだと思います。
イングリッシュ・ガーデン
考えてみれば、イギリスは園芸大国です。庭といえばイングリッシュ・ガーデンが思い浮かびます。各家庭の庭のみならず、公園の管理もきちんとされているのでしょう。実は、私はイングリッシュ・ガーデンを楽しむチャンスはありました。イギリスのケンブリッジに3ヶ月住んだことあるからです。
当時、王立グリニッジ天文台はケンブリッジの天文学研究所に隣接する建物に入っていました。そこで3ヶ月研究生活を送ったことがあるのです。
ヴィクトリアン・テラスド・ハウス
私が借りた住まいはヴィクトリアン・テラスド・ハウスという古風な二階建ての長屋でした。1階にはキッチンとリビング(図1)、中二階にトイレとお風呂、2階に寝室という構造でした。そしてキッチンを出たところには結構広い庭があったのです。
滞在したのは五月から八月。ちょうど園芸には向いた時期でした。しかし、庭の世話はしないままに終わりました。キッチンとリビングの写真はあるのに、庭の写真がありません。いかに、庭と無縁の生活をしていたかがわかります。
私に部屋を貸してくれた大家さんはアイルランドで仕事をされていました。八月、私がケンブリッジを離れるときにお会いしましたが、荒れ放題の庭を見て絶句されていました。
なにしろ、草木が伸びて、裏庭から向こうの道に出ることができなくなっていたのです。「イングリッシュ・ガーデン、恐るべし」です。せめて、伸びた草木の処理をして、通路を確保しておけばよかったと思いました。後悔先に立たずですが。
こうして私はイングリッシュ・ガーデンを楽しむチャンスを逃したのでした。