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大学1年 夏⑦夏キャンプ 15度は夏日

免許をゲットして早々に北海道に戻ってきた僕。

早々に戻った理由はふたつ。

ひとつめは、ダンスのイベント。

北海道のとあるフェスに出演させていただくことが決まっていた。

ほぼほぼ初心者なのになんで?とも思ったけど、

小さな頃からやっていた空手のおかげで動きのキレが圧倒的によかったことと

演劇で培った表現力を評価して、ダンスの師匠が僕を特別クラスに押し上げてくれたためだった。

空手やっててよかったぁ。


そして、早々に戻ったふたつめの理由はカヌー部の夏休み合宿があったから。

前にも書いたけど、うちの大学のカヌー部は50人以上いる、なかなかの大所帯だ。

車で移動するにしても、逆さまにしたカヌーを頭に載せた車が15〜20台ほどつらなっての大移動。

すごいパンチの効いた団体である。

初めての夏休み合宿は帯広方面を通って温泉を巡り、カヌーに乗りまくってキャンプをする2泊3日のハードコース。

Jさんや、河村隆一にそっくりな"かわかむりりゅういち先輩"など、個性的な面々も集まる。

さて旅の前に合宿の間の週間天気予報を見る。

最高気温15℃。

寒すぎるだろ。。。

そう思いながら今日の天気を見る。

最高気温15℃。

え。

あれ。

自分を見返す。

半袖Tシャツにジーンズ。

北海道の生活のおかげでついに頭がおかしくなってしまったようだ。

15℃でTシャツ1枚で過ごしてても汗かいて窓開けてる。

俺だけなのかと思って外を歩いてる人を見る。

みんな半袖だった。

あ、うん。

北海道の15℃は東北でいう25℃と変わらんってことや。

真夏だったわ、今。

15℃はタンクトップもいけるわ。

でも、15℃でタンクトップに慣れてしまった自分が、この後北海道以外でも生きていけるのかとても不安になった。


そんな不安を持ち合わせながらの初合宿当日。

帯広に行くのも初めてだ。

ちなみに人生初めての帯広は、先輩達が言うには豚丼と牛トロ丼がめちゃくちゃ有名らしい。

豚丼は厚切りの豚肉に甘辛いタレを塗ったものをどんぶりにしたもの

牛トロ丼は生の牛肉フレークが載ってるどんぶり。

どちらもめちゃくちゃ美味しそう!

悩みに悩んだけど、豚丼は大学の近くにもお店があるから牛トロ丼にする。

凍ってる?ような食感で、細かく小さなサイコロ状になった生の牛肉が白米の上にたっぷりと乗っかっている。

醤油ベースのタレとネギとの相性も良い。

思ったよりも重たくなくて良い感じ。

大満足のランチタイムでございました。


ランチを終えるとキャンプ場で食べるものを買いに大きなスーパーに寄る。

ふと、Jさんが「魔法のシール拾った!」とめちゃくちゃ笑顔で僕に声をかけてきた。

振り返ると「半額」と書かれたシールの束を持っていた。

どこで拾ったんだよ!

ほんと、この人はミラクルを起こす笑

マジで使っちゃダメっすよ!

えー!もったいない!

この人、マジで使おうとしてないか?という雰囲気がうっすら醸し出されてきて同級生の部長に軽く怒られていた笑


無事買い出しも終了していよいよキャンプ場へ。

まずは寝る場所確保のためにテントをたてる。

テント張りは毎回4人1組で適当にチームを作って、どのチームが速かったかのレースが開催される。

上級生が固まったチームがやはり速い!

テントをたてたら、すぐそばにある湖へ移動してカヌー開始。

カナディアン(ディズニーランドでも、カヤック、タンデムカヤック(通称ジョカシー)をそれぞれ複数艇保有する我ら。

みんなでいろいろ乗り込むが、僕はバランス感覚の良さでカヤックがとても得意だった。

Jさんとカヤックで湖へ乗り出す。

パドルを水面にすぅっと入れて、力強く水を漕いでいく。

スピードが上がるにつれて力はいらなくなる。代わりに角度に気をつける。

Jさんと並んでどんどん進む。

湖の真ん中ほどまで来た。

僕とJさんの軌跡だけをを残して、水面がとても美しく揺れる。

広くて静かな湖をのんびり漕ぎ進めていくのはめちゃくちゃ気持ちよかった。

やがてキャンプへ戻る。

日も暮れる前に準備を進めないといけない。特に火を起こすのが大変なので全員でいそいそと夕飯の支度を始める。

定番のカレーとBBQの準備を始める。

みんなテキパキとしていてとてもスムーズだ。

ごはんを食べて、これからお楽しみの乾杯タイム!

と思ったら、Jさんから「夜のカヌー乗りに行こうぜ!」とお誘いをいただいた。

めちゃくちゃ楽しそう!

考えるまでもなく準備を始める。

一応、危険がないように他にも数人付いてくる。

みんな、この辺しっかりしてるよなぁ。

ありがたい。

そして夜で街灯もない真っ暗な湖をカヤックで進んでいく。

暗い水面はとても不思議。

水が黒く見える。

"仄暗い水の底から"という映画のタイトルが頭をよぎる。

…観たことないけど。

パドルから巻き上がる水飛沫さえも黒く見える。

ふと、どうやっても水がカヌーにまとわりついてしまうようなイメージに囚われて、少しでも動いたらバランスを崩して湖に落ちてしまいそうになる。

暗く、そして驚くほど黒い水がやけに粘着質に見えた。

静かな、そして真っ暗な湖の真ん中で僕は動けずにいた。

怖くなって立ち往生していると、Jさんがいつものハイテンションで戻ってきた。

ふと、呪縛が解けたかのように身体が動き出す。

今の時間、なんだったんだろう、、、

でもホンモノの陽キャはこんなの屁でもないらしい。

助かった、、、

2人で艇を並べて、ゆっくり岸に向かって進み出す。


岸に着いたらカヌーを片付けてまたBBQに戻る。

美味しいごはんを食べながら、空を見上げる。

ものすごく綺麗な星がどこまでも拡がっていた。

北海道に来てよかったな。


そんなことを思った。

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