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高校2年 夏②進路と部活とビタミンスゥーマッチと

夏が本格化。

真夏は暑すぎて弁当腐るの怖いからと

500円をお昼代にもらって学食に行くか、パンとか買うかしていたのだが

食欲がびっくりするくらい湧かなくて、僕は毎日エネルゲンかマッチを飲んでいた。

そしてこの頃には、クラスのムードメーカーフミヲが修学旅行で作ったCDに録音されてた"あの紙ヒコーキくもり空わって フミオver"

なぜか毎日の昼の時間の放送部のオープニングで使われるようになっていたのだが、

飲み物飲んでるときに曲が流れると吹き出す人が続出したため、しばらくして放送禁止になった笑

それからは演歌と無縁の僕らのランチタイムに、当時流行した地元の演歌歌手の曲が流れるようになった。

うちの放送部の振れ幅は半端ない。



なお、部活の方に目を向けると

この頃には舞台の脚本もほぼ完成していて、

次の大会は僕の書いた郷土史を基にした時代劇を上演することが正式に決まった。

脚本を読んだみんなも即決。

全員一致でこれに決定した。

ありがたいことだ。

でも、自信はあった。これならやれる。


夏休みが終わったら文化祭。

今年は予算の関係で体育館らしい。

去年までは市民会館だったのにがっかり。

めちゃくちゃいいものが魅せれるのに。

演出は僕もやりたいが、僕も出たい。そこで部長のMと2人で演出を担当することになった。

幕末マニアのおやびんが舞台監督。

キャスティングはオーディションで決めることにした。

着物とかは、、、まだ部室にあるものや、部員の持ち物でなんとかなる。

ただ、刀や槍、鎧とかはどうにもなんない。

戦場に素手はリアリティないよなぁ。

なんて思っていたら、ふとテレビで見つけた段ボール鎧の作り方。

見様見真似で段ボールを塗装し、鎧を作っていく。

刀はおやびんの家から借りれることになった。

槍は近所の竹林から竹をいただいて作った。


練習を重ね、上がっていくクオリティ。

定期公演しか知らない一年生には、このままではまた地区大会止まりだと檄を飛ばし、

同人誌が忙しい同級生部員たちには罵声を浴びせてまでガッツリ舞台に向き合わせた。

正直この時、部活はめちゃくちゃピリついていた。

不満はところどころ出ていた。

でも、それらを僕は無視して、すべて部長のMに任せた。

多分、当時の僕は部員からしたらめちゃくちゃ怖かったと思う。

でも、クラスの陰キャが抜けてないヤツのままでは真面目な時代劇にはあまりに不釣り合いだ。

鬼を鬼にして、叱咤を重ねて舞台のレベルを上げていった。

顧問からもそれで宥められることもままあった。

でも、これまでとは段違いに大きくクオリティを上げていったことに気付き出したあたりから、部員のすべてがまとまっていった。

文化祭の前には不満を漏らす人は誰もいなくなっていった。

去年は文化祭が怖かった。

でも、今年は待ち遠しくて楽しみしかなかった。


こんなこと言ったら大袈裟に思われるかもしれないけど

もうすぐ、伝説が生まれる。

そんな予感さえしていた。

この頃には授業においても、コース選択の時期が迫っていた。

脚本を書くことの面白さに目覚めた僕は国公立文系志望コース、日本史専攻にした。

国公立で舞台を学べる大学はほとんどない。

調べてみた時に唯一見つかったのは東京藝大くらい。

とはいえ、さすがにかなり無理がある。

でも、そこしか行きたいところがない。

そこが無理ならどこかの文学部に入ろう。

そんな思いでとりあえずの受験対策がはじまった。

盆地の夏はとにかく暑い。

はかどらない勉強はそこそこに、舞台への情熱だけをひたすらに掲げて毎日を生きた。

食欲は湧かなくて体重もやばいくらい減っていた

でも、エネルゲンとビタミンスゥーマッチで脂肪燃焼しながら乗り越えた。


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