記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

1/8 19時公演 舞台「1925-2025」

抽象絵画のような舞台だった。

切り取られた抽象絵画を観ているような舞台だった。
以下ネタバレなのかどうかももうわからない雑感。


キービジュアルできていたスタンドカラーの赤いコートが好きだと思った。
写真を印刷された、赤くて黒くてソリッドなコート。
それを纏った女王のような「林田」。
無邪気な少女のようで不安定な女性のようで年齢不詳にコートを靡かせて歩き回る姿が印象的だった。

主人公の「葉子」。
日常シーンも林田さんの世界でもずっと揺れながらも芯は通っていて安定感があるので安心する。
こちらは明るくふんわりとした赤いコート。

赤いコートの女性たちの「慈しむこと」の話だったなあと感じた。

白い服の「時代の人たち」。
高度成長期さんと戦時中さんたちは分かりやすかったけど他の人は曖昧だったな…受け取り方が雑すぎるだけかもだけど。
「りょう」と「くら」は「林田」の家族のイメージ…でもないのか。「くら」は別に「りょう」を信頼はしてそうだけど、子供ってわけではなかったもんな。

シーシャ小屋で「満たされないもの」を吸い、魂を「味わい」、他人の人生の最期の選択を「楽しむ」人たち。存在しない「刺激的な最新情報」を書き散らし、世界への影響を夢想する人たち。

「明日が来ることが怖い」から人の刹那の最後を見届けて安心するんだ、と聞いて「HAPPY」の「終わらせる勇気があるなら 続きを選ぶ恐怖にも勝てる」を思い出したけど今考えると全体的に「pinkie」を感じる話だったな…なんでもバンプに思考を例えてしまうの悪癖だな…

にしてもやっぱり竹中さんが踊っているとうわー流れる線が綺麗だぁーで目が全部そっちに行ってしまうな…やっぱり2回チケット取っておいて正解だな…初見マジで結果全部持っていかれてしまうからな。

閑話休題

魂を食べている女の子。「体験できなかった人生を味わっているの」。節子っぽいーと思ってたら本当に防災頭巾だったしもんぺだったし節子系だったんだろうな。あと「しょうた」がずっと食べているものが魂だってバレる前から手を合わせる姿が墓前のそれだな、ってピンと来る気迫があって桑原さんすごい…って思った。

じさつの現場を眺めて盛り上がっている一座、「いい人間の教科書」でテーマソングにしてるラッドの「実況中継」を思い出したな。あっちはくびつりでこっちはとびおりだけど。

シーシャ屋でひたすら水タバコをふかす人たち、「愛情」の子より「日常」を吸っている方が必死なのなんか本当に途方に暮れてしまうな。「日常」ってなんだろうな。楽しい時間もそうではない時間もずっと全部地続き、と最近特に藤原の言い分が腑に落ちてしまって曖昧だな。楽しくて虚しくてしんどい全部が日常だぞ。良い日も悪い日も「毎日」だからなあって考えていると突発でくる悪いことが希釈される気がするもので…

こういういろんな事情の人間たちが1人の心象世界の中で歪に暮らしてる話なんか読んだな…ってずっと考えていたけど「蟲と眼球シリーズ」だな。
あっちよりはずっと寄り添った世界だったけれど。

物書きだった林田の「物書き」は本人の想像から出てきた物語だったのか、世界から読み取った彼らの一部を書き出したものだったのか…
最後、門を潜らなかった「林田」と「くら」が幸福に幕を閉じると信じられたから「りょう」は出ていくことができたのか。
「おかあさん」と一緒に食べたかったチョコレートを他人に分けてしまって、「助けて」と願ったのに別れてしまって。1人で門をくぐっていった。

思考を止めてはいけない、明日を見据えなくてはいけない、それはとても恐ろしいけれど、それでもそうしなくては。思考をしなくては。そう感じる舞台だった。

いいなと思ったら応援しよう!