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タイキ展の話

別件の展示の後、友人の誘いで行ってきました。
人気ゲームタイトルFateシリーズのソシャゲ版、通称FGOで人気キャラ「マーリン」の絵を描いている人、あとこの展示が俄かにその界隈の人々に「すごいぞ」と言われている事だけの情報でホイホイ行ってきましたが、正直、これが入場無料の展示会なのが信じられないほど素晴らしかったので。

小さなギャラリーに展示点数も少なく、大きな作品も少なかったのですが、「デジタル」と「アナログ」を行き来するような作品達はこれは「すごいぞ」と言われるだけあるな、と強く感じた。
作品は全てデジタルデータで作られたものなのだが、出力に際して油絵のマチエールや、筆跡のようなテクスチャを「出力」しているのである。
なので、ただアナログ風の絵を印刷しただけではない「生っぽさ」を強く感じる。
デジタルだろうがアナログだろうが結局「人の手」で描かれたものなので、そう言う意味ではどっちも「アナログだろう」と思っている派なのですが、テクスチャ情報が入る事で圧倒的に情報量が増し、存在感が増し、アナログ手法の絵画を現地で鑑賞する一番の意味合いと自分は思う、「筆致を体感する」という体験が出来ると言う意味合いでは「アナログを体験させることができるデジタル」として圧倒的だった。
元々情報量(描き込み量)の多い作風の人ではあるものの、そこにのったテクスチャによってより描かれる素材への情報量が増え、ひとつのトーンの中に豊かな重量感を持って存在する、ポップアートではあるものの限りなくファインアート的な作品群だった。
しかもコレが作品点数が少なめとはいえ入場無料で写真撮影し放題…あまりの大盤振る舞いに慄いたが、この繊細なテクスチャは写真に思うように移すことが難しく、結局肉眼で見た印象が一番迫力を持って訴えかけてくるので、どんだけ写真を撮られてもノーダメージまではいかなくとも随分ダメージは少ないのだろうな、と思った。

残念どころといえばこの作品群が素晴らしすぎて、グッズでいざ通常の印刷になると物足りなさを感じてしまうくらいか。
最近よく見るアクリルブロックなんて、大抵の場合重厚感も相俟ってとてもよく見えるものなのに、展示品が素敵すぎてこんなものか…と思ってしまったので…

画集でもそのほかでも、何か少し高めのエンボス加工を施した小さめのものでもあったら素敵だし、それなりの値段でも買いたいと思った。
あまりにテクスチャ情報が良すぎて。普通印刷でも充分以上の情報量のはずなのに。

まだ少し会期が残っているのでお時間ある方は是非。イラストレーションやCG絵に対する認識がぐっと変わる展示物達だったので。

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