私だけの宝物
「石じゃなくて意志をだな…」
ペンケースにつけているストラップ。タイガーアイとシトリンが連なって雪だるまみたいな形をしている。
何故パワーストーンにはまったのかはわからない。
イオンで七夕コーナーを見つけた。プラスチックの笹と大きめの観葉植物がきれいに並べて置いてあって、短冊がいくつもぶら下がっている。
私も短冊を書いた。
「今日のライブ成功、受験頑張るから見守ってて下さい。絶対、復縁する。」
望みをかなえる主人公は、いつだって自分自身。
パワーストーンや星に願う習慣は、あくまでもサポートでしかない。
要するに、気休め。
そんなものに何万もかけて、しまいには彼へのプレゼントもパワーストーンで、「お前もう十分気は休まっただろさっさと行動しろよそんでもって病むなよ」と家じゅうの石たちから責められているような気分になる。
パワーストーン収集は、強迫観念が原因だと思う。
自分の力(主にコミュニケーション能力、学力)を信じられなくて、実際、成績や友人との会話の中で他人よりも弱い自分を身に染みて感じているから。
そして変わろうとしているから。
わかってる、わかってるけど。
6年たってもやめられなくて、今朝全財産を確認すると4万円弱しかなかった。
どうするんだよ。これから。
冒頭の言葉は、元彼に言われた言葉。
自分をコントロールできなくて、たくさん傷つけてしまった。
具体的に言うと、私は俗にいうメンヘラで、精神病の母に暴力を受けたトラウマを抱えている。
これまで付き合ってきた人にはみんなだけど、特に彼にはとびきり大きな「トラウマ返し」をしてしまった。
毎日3時間はメッセージを送り続けたり、恋人の証として切りつけたり、はじめて別れ話をされた時には首を絞めたり。
彼も自殺志望者で、私の自殺願望を初めて肯定してくれた。
先輩後輩としての時間が長かった分、告白して、僕も前々から好きだったと言われた時はすごく嬉しかった。後輩として、彼女として、彼に可愛がってもらっている時間は生きててよかったって、心の底から思える、安心できる時間だった。今は大学生になって、バンドをやってるそうだ。Twitterはブロックされているし他に連絡先を知らないので(連絡しても無視されるだろうが)人づてでしか彼の事を知れない。
それでも
別れた今でも大好きだ。
別れようって言われて、私が変わらなきゃって思って、また石を買った時、
彼は呆れていた。そりゃそうだ。もう何回目だよ。
わかってる、わかってるけど。
どこかで「これでいいや」って思ってる私がいる。
小学生の頃から死に関する本が好きだった。
今は死ぬために、ある目標を決めて生きている。
それでも「近いうちに死ぬから良いや」って思って
る私がいる。
何もしないし何も変わらない日がずっとずっと。
彼はどんどん先に進んでいって、私はいつまでも思い出にしがみついて、惨めになる日がずっとずっと。
周りから「あんなののどこが良くて諦められないの?」とか、「お前狂ってるよ」って罵られる。
正直、彼は素敵な人だから、彼の良さを布教したい。みんなに大好きな彼を自慢したい。でも反応はこれだ。
自殺願望と、私が彼を愛していることに関して、理解者はひとりもいないのが現状。
もう、誰もわからないのなら、私だけの宝物にしてしまおう。
唯一私が大切にできる、かけがえのない感情。
どんなに批判されても、好きなもんは好きなんだよって言葉でしか言い返せなくなるけど。
先日、彼が私の事を少し心配してくれていたことを知った。
あんなに酷いことをして、傷つけることばかり言ってしまったのに。
私が自殺未遂をまたやったと知って、
「メンヘラはゴキブリ並みの生命力を持ってるからw」と言いつつ心配してくれていたそうだ
何故彼が私の行動を知っているのか定かではないが、もしかしたらツイートをみてくれてるのかもしれない。
私の住民票は、彼の心から完全に抹消されているものと思っていたのだが…
まぁ、無論出て行く気は無いが。
私の中に彼が、彼の中に私が住んでいる。
大学生になって、どんどん進んでいく彼と
受験生になって、彼との思い出と希死念慮でゆっくりしか歩けない不器用な私とのはなし。
彼は今日のライブできっと輝いていた。
生きているうちは、少しでも頑張らなければ。
相変わらず朝に弱いけど。