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5行思考文(333) - 風のテレカ -


感情にも温度がある。哀愁という感情は涼しく、逆に陽気は少し暑苦しい。
あれは梅雨の終わり頃だったか、軒先に風鈴を吊るした。年代モノのため風を受ける短冊が朽ちていたので、ちぎって捨てた。短冊の代わりに度数の無いテレカを付けてみた。丈夫で風受けもよく、思いのほか具合が良い。
すっかり廃れ老いた旧友が軒先で揺れている。夏の哀愁は涼しく心地よい。




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