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5行思考文(249) - 喪失 -


男は眉間に深い皺を作って憂いある表情を浮かべ、喪失に苦しんでいた。
若い季節に不相応な炎天下、硬い陽光。男はそれを真正面に受けている。
影よりも黒いスーツを着た男は呆然と立ち止まり、道端にある更地を睨む。
『売地』と書かれた立看板の足下には点々と雑草が芽吹いていた。
「・・・ここ、更地になる前、何だっけ?あぁぁ!モヤモヤする!」



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