足と私の関係(前編)
初日
事の始まりは急に聞こえてきたんです。
一緒の空間にいた人の素足がそこにあって、「この子をもっとステージが高い場所に行かせてあげて」「留学させてあげて」と。とてもとても無視できない音量の気がするのに、外からの音じゃない、脳内再生のような感覚。同時に足が光って見えたんです、でも日の光じゃない、うっとりするような感覚。恐る恐る足のご本人に伝えてみたら、「何それもっと見て!」と。そのまま他の人の足も見ていく流れになり、ヒュンヒュンと頭の中に映像が差し込む感覚も体験しました。初めて繋がった瞬間、一瞬の出来事でしたが、あの衝撃的な繋がる感覚は、後にも先にもこの時だけのものだと感じます。これがスピリチュアル珍道中初日でした。
急にそんな事が起きたもんだから、大パニックではありましたが、以前ヒーラーさんのセッションを受けた際に「見えない世界のことをやっていく」と言われた後だったので、「これが?もしやこれがそうなの?」という感想も浮かんでいました。同時に「へ?私足の声聞いてるの?足が喋ってるの?あしさん?」と、奇怪な設定にだいぶ戸惑いました。最初は相手の魂と繋がっているとは理解していませんでした。
最初は靴から
奇怪な設定とか言いましたが、実は私は「人の足を見ている視界」にだいぶ既視感がありました。以前、新卒で婦人靴のメーカーに就職し、卸先の百貨店で自社靴を売る販売員だったのです。
私は小さい頃から身長がニョキニョキ伸び、169cmで、足も標準より大きいです。(未熟児で産まれたようですが、もはや親すら覚えてなさそうです)
最近は割と手軽な値段で、大きいサイズのオシャレ靴は沢山ありますが、私が思春期の頃は、それこそ百貨店のような専門店で、1足2万前後するような場所にしかない状況でした。友達と休日に出かけると、みんな可愛い靴を履いていたりして、当時はだいぶ悲しい思いをしました。
その頃から、素敵な靴を履いている人を見かけるとうっとり見るようになり、次第に自分が履きたい欲求よりも、靴って美しい・・なんて高度な技術で作られているものなんだ・・と靴自体に注目していくようになります。
また別の機会があれば諸々お伝えしたいですが、私は新卒就活の際「きっとすぐ転職するからとりあえずどこかの会社入ろー♪」とアホみたいなテンションで仕事を探していました。そして靴のメーカーが目に入り就職します。
筋トレの始まり
学生時代のバイトで接客が得意なことは実感していましたので、自分と同じように靴選びに苦労している方の手助けになれる仕事だと思い選びました。百貨店という場所柄、フィッティングに厳しい場でもあり、足に合わなければ合うものをご提案する、履けるように調整をしていく、お好みの靴を探す、そういった立場でした。
配属先が特に靴売り場に力を入れている百貨店で、売り場面積が大きく、1日に接客する数がかなり多かったと思います。ここで私は沢山の足を見ていきます。
この頃からトレーニングが始まっていたのでしょうか。この約9年後、まさか足から声が聞こえてくる日がくるなんて夢にも思わず、私は靴売り場で沢山の人の足を見て触っていきます。(後編へ続きます)
木型から作るオーダーメイド靴を注文するのが夢です