所有権の時効取得と登記
行政書士試験の質問に回答し続けて早10年。
よくあるご質問と回答をご紹介します。
本日のテーマは「所有権の時効取得と登記の関係」です。
ご質問
時効完成前の第三者に対する対抗要件でなぜ登記を備えなくても対抗できるのか理解できません。
なにか簡単に理解できる方法はありますか?
ご回答
時効完成前に買い受けた場合は、新所有者から時効取得した形になるため登記がなくても対抗できるのです。
A所有の甲土地をBが占有していたところ、Aが甲土地をCに売却したという事例で説明しましょう。
時効完成前の第三者についての時系列は以下のようになります。
1.AがCに甲土地を売却した
2.Bの時効が成立した
つまり、甲土地の所有権は
A→C(売買契約)
C→B(時効取得)
と移転するのです。
BはCから時効取得していることになるため、Bは登記がなくても所有者であるCに対して時効取得を対抗することができます。
ちなみに、時効完成後に買い受けた場合は、時効完成者も買受人もどちらも旧所有者から所有権を得ることになるため登記で決まるのです。
時効完成後の第三者についての時系列は以下のようになります。
1.A所有の甲土地をBが時効取得した
2.AがCに甲土地を売却した
甲土地の所有権は
A→B(時効取得)
A→C(売買契約)
と移転していますね。
Aを中心としてBとCに所有権が移転しており、二重譲渡と同じ関係となります。
そこで、登記を先に備えた者が優先され、Bは登記を備えていなければ時効取得を対抗することができないのです。
物権変動の対抗要件に関しては紛らわしいところですが、時系列をきちんと把握しておけば混乱しないかと思います。
受験のためのワンポイントアドバイス
~やらないことを決める
時間がない!
どうすれば時間ができるのか!
と思うと、脳は時間を作るために「やること」を考えてしまいます。
これでは、本末転倒ですよね。
やらなくてもいいことは何だろう?
もっと効率よくするためには?
と問いかけることが重要です。
といっても、私も上に上にやることを増やしてしまっていますけどね。
がんばりすぎのママさんたち、ともに力を抜いていきましょう!