EV販売でTSLAを追い抜くBYD:急成長する中国EV大手の実力とは
大統領選挙後に急騰したTSLAに注目が集まっていますが、実はそのTSLAを上回るEV販売台数を成し遂げている中国EVメーカーがあるのをご存知でしょうか?
中国の電気自動車(EV)大手であるBYD(ティッカーシンボル:BYDDF)が、2024年10月に50万台以上の販売を記録し、株価も「買いゾーン」付近で推移しています。
テスラ(TSLA)との競争が激化する中で、BYDは電動車両市場のリーダーとしての存在感を強めています。
本記事では、BYDの成長要因やテクニカルな買いポイントの分析、世界市場でのシェアと今後の投資戦略について詳しく解説します。
1. BYDの急成長と10月の売上記録
2024年10月、BYDは過去最高の50万台以上の車両を販売し、前年同月比で66.5%の成長を達成しました。
BYDの売上成長は、全電動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の両方で見られ、PHEVの人気も大きな要因となっています。
PHEVは短距離の移動で電動走行が可能な一方で、長距離移動には内燃機関も使用するため、充電インフラが不十分な地域でも利便性が高いという特長があります。この多様なニーズに応える製品ラインナップが、BYDの売上成長を後押ししています。
このような強力な販売実績により、BYD株は2024年11月に再度テクニカル分析上の「買いゾーン」に突入しています。
2. テクニカル分析に基づく買いポイント
BYDの36.27ドルの買いポイントは、テクニカル分析の「カップ型ベース(cup base)」に基づく重要なエントリーレベルです。
このカップ型ベースは、長期間にわたる価格の上下動によって形成され、株価の底が「U字型」に見えるのが特徴です。このパターンは、株価が一旦大きく下落した後、底を打って上昇に転じる際に形成されます。
この36.27ドルの買いポイントをブレイクアウトすることは、BYD株に新たな上昇トレンドが生じることを意味しています。
現在はこのエントリーポイント付近での攻防が続いていますが、今後、36.27ドルのエントリーポイントを明確に上抜けていくのかに注目したいです。
3. ヨーロッパ、南米、アジアにおけるTSLAとBYDの市場シェア
BYDがTSLAの販売台数を上回る一因には、アジア市場、とりわけ中国市場での圧倒的なシェアが挙げられます。
BYDは中国をはじめとするアジア市場で大きなシェアを持ち、BEVとPHEVの両方を提供することで多様な消費者ニーズに応えています。
これに対し、TSLAは全電動車(BEV)のみを販売しており、BYDの戦略的な製品ラインナップには及ばない状況です。
また、BYDはタイやブラジル、ウズベキスタンなどで現地生産体制を整えており、アジアから南米、ヨーロッパ市場においてもシェアを拡大しています。
特にヨーロッパにおいては、EUが中国製EVに追加関税を導入する中、PHEVには免税が適用されるため、BYDは競争優位性を確保しています。
こうした各市場でのシェア拡大が、BYDの世界的な売上成長に寄与しています。
4. 技術革新とバッテリー技術
BYDは独自の「ブレードバッテリー」というリチウム鉄リン酸(LFP)バッテリー技術を開発し、これにより安全性と耐久性が高く、コスト効率も兼ね備えた製品を提供しています。
この技術は他社にも供給され、BYDをバッテリーメーカーとしても確固たる地位に位置づけています。また、次世代ブレードバッテリーの開発が進行中であり、これが来年以降のBEV販売をさらに後押しする可能性があります。
一方、TSLAも「4680バッテリー」の開発に力を注いでいますが、量産化に課題が残っているため、現時点ではBYDのバッテリー技術に対抗するのは難しい状況です。
BYDはまた、先進運転支援システム(ADAS)の導入にも積極的で、プレミアムモデルから一般消費者向けのモデルまで、幅広い層に高度な安全機能を提供しています。
5. BYDの最新決算内容
2024年第3四半期のBYD決算では、売上が前年同期比29%増の287億ドルに達し、初めてTSLAの売上を上回りました。
成長率は2四半期連続で加速しており、テスラを凌ぐ規模への成長が注目されています。純利益は前年同期比16%増で、市場予測をわずかに上回りましたが、売上は予測を若干下回っています。
それでも、粗利益率は前年の18.96%から21.89%に改善し、自動車部門の利益率も22.51%から23.51%に増加するなど、収益性の向上が見られました。
一方で、BYDは急速な成長を背景に、研究開発費と設備投資費用も引き続き増加しています。
これにより、技術革新や製品開発の進展が期待される一方、将来的なコスト圧力も課題として浮上する可能性があります。
今後の財務戦略が、成長と持続可能性のバランスをどのように保つかが注目されます。
まとめ
BYD(BYYD)は、強力な販売実績、技術革新、海外市場での積極的な展開により、テスラとの競争においても優位な成長を遂げています。
特にアジア市場での優位性やPHEVとBEVの両方を提供する戦略により、幅広い市場で競争力を発揮しています。
また、バッテリー技術や現地生産拠点の拡充も、長期的な成長に寄与する要素です。
中国経済自体は厳しい状況が続きそうですが、世界中でシェアを伸ばしているBYDのビジネスは非常に魅力的です。
まずは36.27ドルのエントリーポイントを上抜けていくかに注目していきたいですね。
オニール流の投資手法はこれらの本で勉強できます。
毎週末週報で投資戦略をアップデートしています。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
この記事が読者の皆様がリスクとリターンを考慮したより良い投資判断を行うための手助けとなれば幸いです。
この記事が役立った場合は、スキ・コメント・フォローなど頂けますと励みになります。
*個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。
*実際の投資判断については自己責任でお願いします。
この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。サポート頂ければ励みになります!