フォロースルー・デー:米国株投資での役割は?
8月の冒頭から米国株市場では大きな調整が起こっています。
それに伴い、投資家の間では今後の米国株の相場見通しに対する不安が広がっています。
特に8月5日(月)に米国株市場が急落しましたが、その後は安値を更新することなく、8月12日(月)の時点ではいつフォロースルー・デー(Follow-Through Day)が確認されてもおかしくない状況になっています。
上昇相場に再び戻るのかを判断するために重要とされるのがフォロースルー・デー(Follow-Through Day)ですが、2024年4月の米国株市場の調整局面の時期にnote記事でこの指標について紹介させて頂きました。
今回はフォロースルー・デーの概念について改めて復習し、4月相場ではフォロースルー・デーが有効であったかどうかについての検証を行います。
その上で、まだ混沌としている8月相場への取り組み方を皆さんと考えてみたいと思います。
毎週米国株相場の振り返りと今後の見通しについて記事を書いています。
フォロースルー・デーの概念
(これは4月の記事のおさらいになります。すでに知っている方は読み飛ばして頂いて構いません。)
ウィリアム・J・オニールによって提唱された概念で、株式市場が大きな下落後に上昇相場に転換したことを示す重要な概念です。
市場が底打ちした数日後に出現する出来高の増加を伴う株価指数の大幅な上昇が見られた日となりますが、詳細な条件は以下となります。
・フォロースルー・デーの判定はS&P500,NASDAQといった主要株価指数に適用されます。
*個別株などの判定ツールではない。
・下落トレンドの中で最初に上昇した日をDay1とします。これが上昇相場へのチャレンジの起点となります。
・フォロースルー・デーは定義上Day4以降に発生します。
・Day2,Day3はDay1の安値を下回らない(安値を更新しない)ことが条件になります。
*Day4以降もフォロースルー・デーが確認されるまでの間に安値を更新した場合は今回の上昇トレンドへのラリー(上昇トレンドに転換する前の揉み合い)はリセットされます。
・Day4以降に、①前日よりも出来高が増加し、②株価指数が1%-1.25%の上昇を示した日が出現した場合、その日がフォロースルー・デーと判定されます。
特にDay4-Day7にフォロースルー・デーが発生することが多いとされます。
*IBD(Investors Business Daily)というオニールによって設立された金融情報提供サービスのサイトでフォロースルー・デーの判定が示されます。
フォロースルー・デーの概念は上昇相場への転換点を知ることのできる有用なツールですが、100%上昇相場につながるわけではないことには注意が必要です。
フォロースルーデー後に市場が実際に回復する確率は50%から80%程度とされていますが、これは使用するモデルや評価する期間、市場状況によって異なります。
オニール流の投資手法を学べるKindele本が8/22まで50% offとなっています。
2024年4月からの調整→反発局面
次に前回の”調整からの反発局面”である2024年4月相場を確認してみましょう。
具体的には
①4/19:Market in Correction(下落調整相場)の確認
②5/3:Market in Correction(下落調整相場)→Uptrend Under Pressure(下落リスクのある上昇相場)
③5/15:フォロースルー・デー確認、Market in confirmed uptrend(確固たる上昇相場)
となっています。(番号は下のチャート中の番号に対応)
前回の記事は4/25の時点でした。
その後の答え合わせになります。
①のMarket in Correctionが確認された時点が実際には相場の底値になっています。
調整入りしてからMarket in Correctionが出るまではどうしてもタイムラグが出がちです。
フォロースルー・デーが確認できたのは③の5/15になります。
この時点で市場はすでに4月上旬からの下落分を取り返してしまっています。
つまり、フォロースルー・デー、そしてMarket in confirmed uptrendが出るまで買いに出ない、というスタンスでは上昇相場の多くの部分を取り逃してしまうことがあるということです。
私自身は週報でも書いているように4月下旬中には信用買いポジションを立てていましたが、少なくとも5/3のUptrend Under Pressureに変わったタイミングでは買い向かいたいところだったかと思います。
それでは、他の相場の時にはフォロースルー・デーは機能していたのでしょうか?
2023年10月からの調整→反発局面
皆さまも記憶にあるかもしれませんが、昨年秋の大幅調整からの反発局面である2023年10月を振り返ってみましょう。
①10/6:フォロースルー・デー確認、Market in CorrectionからMarket in Confirmed Uptrendに転換。
②10/20 :Market in Correctionに再度転換。
③11/1:フォロースルー・デー確認、Market in CorrectionからMarket in Confirmed Uptrendに転換。
この場合は①のフォロースルー・デーが「だまし」でした。
その後に再度②10/20にMarket in Correctionとなっています。
その後に市場は底打ちし、③11/1にフォロースルー・デーが確認され、Market in CorrectionからMarket in Confirmed Uptrendに転換しています。
この時は私もこのタイミングで指数ETFを買いました。
実際このときはフォロースルー・デーのタイミングで買っても問題なさそうですね。
1回目のフォロースルー・デーは「だまし」でしたが、長期的な視点で見るとここでポジションを取っても大きくはやられてはいませんね。
2024年8月の調整局面
現在の調整相場はどうでしょうか?
8/2にMarket in Confirmed UptrendからMarket in Correctionへの転換が確認されています。
チャートを見ると7月下旬からの下落相場がかなり進んでからMarket in Correctionとなっていますね。
私自身は他の判断材料もあり、7月下旬の時点でキャッシュポジションを75%以上としていました。
これからの見通しですが、今週中にフォロースルー・デーが出るかどうかに注目していきたいです。
過去の調整局面を見ると2023年10月のようにフォロースルー・デーが出てもだましで、もう1回安値を取りにいくパターンもあるので、リスク管理を慎重にしながら対応していく必要はあります。
このあたりの具体的な方針については8/5-8/9の週報で解説しています。
*8/14追記
8/13でフォロースルー・デーのサインが出ましたね。
まとめ
IBDによるマーケットトレンド評価は非常に有用で、フォロースルー・デーについても参考にしている投資家が多いです。
ただし、今年4月の相場のように調整や反発に対してシグナルが出るタイミングがずれることがあります。
このあたりは相場の観察を継続して経験を積むことで対応の仕方が少しずつ分かってくるかと思います。
(私はそのためにnoteで投資の記録をつけています。)
このあたりを頭に入れながら今週からの米国株市場でフォロースルー・デーが出るかに注目していきたいですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
この記事が読者の皆様がリスクとリターンを考慮したより良い投資判断を行うための手助けとなれば幸いです。
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*個別の銘柄の売買を推奨するものではありません。
*実際の投資判断については自己責任でお願いします。