レイバー・デー明けの8月雇用統計をどう見るか?
2024年9月6日(金)に発表される8月米国雇用統計は、FRBの今後の金利政策を占う意味で大きな意味を持ちます。
前回の市場の混乱の引き金となった弱い7月雇用統計と比較して、8月の結果がどのように市場の期待を左右するのか、そしてレイバー・デー明けの市場動向にどのように影響するのかが注目されています。
FRBが注目するPCE
個人消費支出(PCE)価格指数は0.2%上昇し、エコノデイのコンセンサス予測と一致しました。
12か月のヘッドラインインフレ率は2.5%に留まり、予測と一致しました。
FRBが重きを置くコアPCE価格指数は7月に0.2%上昇し、予測通りの結果となりました。
12か月のコアインフレ率は2.6%に留まり、2.7%の予測を下回る結果となりました。
インフレの制御は着実に進んでいると評価できます。
直近3か月の年率換算のコアPCEインフレ率は1.7%と十分な減速を示しました。
インフレの制御という観点からは9月FOMCでの利下げは妥当と考えられます。
あとは利下げ幅がどうなるか、という点が焦点になっていると言えます。
個人所得データからみた8月雇用統計の見通し
先月発表された7月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が11.4万人の増加(予想は17.5万人増)にとどまり、失業率が4.3%(予想は4.1%)と約3年ぶりの高水準に達しました。
この結果は、景気後退への懸念を呼び起こし、市場のリスク回避ムードを高め市場が急落する要因となりました。
それでは今回発表される8月雇用統計の見通しはどうでしょうか?
現在、非農業部門雇用者数変化は16.5万人増と、7月の11.4万人増から雇用者の伸びが増加する一方、失業率は4.3%から4.2%へ低下すると見込まれています。
手掛かりとなるのは個人所得(賃金)の推移です。
先週発表された個人所得の賃金データでは、賃金が予想を上回る+0.35%の伸びを示しました。
この強い賃金の伸びを受けて、8月の雇用統計が予想以上に強い結果となるのではないかとの見方がでてきています。
今回の8月雇用統計が予想よりも堅調な結果となれば、労働市場を救うために慌てて急速な利下げをする必要はなく、9月FOMCでの利下げ幅は0.25%が妥当との見方が広がると考えられます。
雇用統計の結果に対する市場の反応はどうなる?
上記のように8月の雇用統計が予想を上回る強い結果となった場合、9月FOMCでの0.5%の大幅な利下げ観測が後退すると考えられます。
現時点で9月FOMCでの0.5%利下げ確率はすでに31%まで低下しているため、雇用統計の結果が強く0.25%の利下げが強く意識されても米国株市場に大きな影響はないと考えています。
むしろ、ソフトランディング期待から米国株市場はポジティブな反応となる可能性が高そうです。
逆に、雇用統計が市場予想に届かない結果となった場合、7月の弱い結果と合わせて、FRBが景気後退のリスクを警戒し、積極的な利下げ(9月0.5%利下げ)に踏み切る可能性が高まります。
利下げが積極的に行われる=株価にポジティブと考えられがちですが、8月上旬の市場の反応を見ても分かるように、FRBが後手に回る形で急いで利下げを行うパターンでは株式市場は下落する可能性が高いです。
このようにレイバー・デー明けの市場では、9月6日発表の8月雇用統計の結果次第では米国株式市場が大きく動く可能性があります。
賃金の伸びからは労働市場が堅調に推移しているのではないかと予想されていますが、実際の結果を確認するまでは慎重に対応したいですね。
まとめ
9月6日(金)に発表される8月米国雇用統計は、FRBの金利政策に対する市場の期待を大きく左右する重要なデータとなります。
レイバー・デー明けは営業日が4日しかなく、機関投資家も市場に戻ってくるタイミングでもあり、相場の急変が起こりやすい時期と言われます。
8月雇用統計の結果とそれに対する市場の反応に特に注意していきたいですね。
毎週末に週報で今後の米国株の見通しを書いています。
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