長期金利が4%を突破! 米国株式市場はFRBの利下げ見通しを再評価
2024年10月7日(月)に米国10年物国債の利回りが4%を超え、7月下旬以来の最高値に向かって進んでいます。
これは10月4日(金)の強い雇用統計を受けた今後のFRBの利下げへの見通しの再評価を反映しており、10月7日の主要株価指数は下落して引けました。
10月の雇用統計が示す堅調な経済成長
10月4日に発表された9月の米国雇用統計では、予想を大きく上回る25万4,000人の雇用増加が報告されました。
これはFRBが警戒していた雇用成長の停滞懸念を大きく払拭し、現在の利下げ見通しに対する市場の見方に影響を与えています。
これを受けて市場関係者は今後の利下げ見通しに対し、慎重な姿勢を取るようになってきました。
具体的にはこれまでは11月FOMCでの0.50%の利下げがある程度織り込まれていましたが、現在は0.50%の利下げ確率は0となっています。
現在0.25%利下げがメインシナリオとなっており、一部では利下げ見送りの可能性もささやかれています。
金利見通しの再評価は主に市場がFRBより先走りした利下げ見通しを持ったことが原因で、これが修正されてきている状況です。
そもそも過去のソフトランディング局面でも立て続けに利下げが実施されていないことには注意が必要です。
FRBへの圧力とCPIの重要性
この強い雇用統計を受け、Apollo Global Managementのチーフエコノミストであるトーステン・スローク氏は「経済は堅調に成長しており、FRBが急いで利下げを行う必要はない」と述べ、FRBが今後も金利を高止まりさせる可能性を指摘しました。
2021年にインフレの急騰を予測した元財務長官のローレンス・サマーズ氏は、X(旧Twitter)で、「9月の雇用データが示すところでは、FRBは最初の大幅な利下げを行ったことが間違いだった」と指摘しました。
さらに10月10日(木)に発表される予定の消費者物価指数(CPI)は今後のFRBの金融政策に大きな影響を与える可能性があります。
スイスクォート銀行のアナリスト、イペック・オズカデスカヤ氏は「予想以上に高いCPIの数字が出れば、FRBが誤った判断を下したという見方が強まり、利下げが見送られる可能性が高まる」と指摘しています。
実際に市場では11月FOMCでの利下げ見送りの確率が15%以上と上昇してきています。
S&P500と10年債利回りの関係
10月7日(月)の市場では、S&P500は-0.96%と下落しました。これは10月4日(金)に+0.9%の上昇を見せ、過去最高値の終値に迫った後の調整局面と言えます。
年初来ではS&P500は20.6%の上昇を維持していますが、長期金利の上昇が影響を及ぼしつつあります。
10月7日の米国10年物国債の利回りは4.02%に上昇しました。
最近の金利上昇は将来の経済成長を見込む動きも入っていると考えられ必ずしも悪いものではないと考えられますが、節目の4%を超えたことで株価への影響が出ていると見ることができます。
市場への影響と今後の展望
強い経済指標を受けて11月FOMCでの利下げ期待が修正される中で、長期金利が4%を超え、株価が下落したというのが10月7日(月)の動きと考えられます。
今週後半に発表されるCPIやPPIでインフレ率が予想を上回った場合にはさらに利下げ見通しの後退が進み、株価が動くシナリオも想定しておく必要があります。
現時点ではCPIが前月比で0.1%上昇、12カ月間のヘッドラインインフレ率が2.5%から2.3%に低下すると予想されています。食料とエネルギーを除いたコアCPIは、8月から0.2%の上昇、前年比で3.2%の上昇が予想されています。
ただし、長期で見た場合には現在の政策金利見通しの修正の動きは織り込まれ、株価が長期にわたって低迷する可能性は低いと考えています。
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