過密日程から見る人間の限界
よく様々なプロスポーツでの負傷者が増加している事は皆さんもご存知であろう。過密日程と検索するだけでこれだけ記事が出るのだ。
もちろんケガのすべてが過密日程に原因ではない。身体の強さには先天的な要素も多くどんだけ気にしてもケガしてしまう場合も多い。また、以下の大相撲の記事に載っていた要素は実は残っているかもしれない。
気になるのは稽古内容の劣化だ。相撲を取る稽古が少ないうえに、四股やすり足などの基礎運動でみっちりと汗を流す力士の数が年々減っているように映る。地道な鍛錬を嫌ってか、巡業では土俵に上がるどころか、朝の稽古場に姿を見せない関取すらいる。
このようにもちろん練習不足という点はあるかもしれない。ただ、これだけ試合が過密な中、どれだけ練習しても、スポーツ科学の発展している中人間の限界、効率的な方法がいくら発見されても、疲労は間違いなくたまる。人間である以上当たり前だ。サイボーグではないのだから。
欧州サッカーの代表クラスの選手は9月からのUEFAネーションズリーグも加えて10月から12月までほぼ休みがなく、1週間に2、3試合をこなさなければならない、超過密日程。
しかし、ただでさえ過密日程のリーグ戦に加え、欧州CL、スペイン・スーパー杯、国王杯を戦ってきたことが大きな負担となり、シーズン半ばを過ぎた今、負傷者数がピークに達している。実際、バルセロナは21年に入り、1月3日のウエスカ戦から今月13日のアラベス戦までの約40日間、公式戦13試合、約3日に1試合というハイペースで戦っており、今月10日にアウェーで行われた国王杯準決勝第1戦セビリア戦で今季最多の負傷者数を記録することになった。ピケ、コウチーニョ、アンス・ファティ、セルジ・ロベルト、アラウホ、デスト、ピャニッチ、ブライトバイテの8選手をケガで欠き、0-2の敗北を喫している。さらに直近の試合となったアラベス戦でも6選手が負傷欠場した。これは11月24日にアウェーで行われた欧州CL1次リーグ第4節ディナモ・キエフ戦で記録した、今季2番目の負傷者数に並ぶものである。さらに今後1カ月も約3日に1試合という過密日程が続くためケガ人が増えるかもしれない。バルセロナは今季ここまで公式戦34試合を戦い、毎試合最低2選手が負傷欠場し、シーズンを通じての1試合平均の負傷者数は4人となっている。これまで、負傷8選手が1試合、6選手が2試合、5選手が5試合、4選手が20試合、3選手が5試合、2選手が1試合あった一方、1選手以下は0試合である。そして今季、トップチーム23選手中16選手がケガを負っているが、中でもDF陣で多発しており、ラングレとネト以外の選手全員がフィジカル面に何らかの問題を抱えてきた。ピケが23試合、セルジ・ロベルトが19試合、ウムティティが15試合、テア・シュテーゲンとアラウホが8試合、デストが4試合、ジュニオルが3試合、ジョルディ・アルバが2試合をケガで休んでいる。またチーム全体を通じてのトップはアンス・ファティで24試合となっている。しかし、このような事態はバルセロナだけに起こっているのではない。同様に過密日程のレアル・マドリードも、今月9日のヘタフェ戦で今季最多の8選手が負傷欠場した。さらにビリャレアル、グラナダ、バリャドリード、カディス、オサスナも直近のリーグ戦で5選手以上がケガでプレーできておらず、新型コロナウイルスの何らかの影響を受けている可能性がある。
いくら何でも昔と比べてこんなに過密日程となっていたら、怪我人も増えるものだろう。そこを見直し、空いた日程で練習と休息日程を組まないと根本的な体力増加にもつながらないと考えられる。
いかに全ての選手が常に質の良いプレーを続けることが出来るか、興行の視点にその視点が足りていないように見えるだけに、試合日程を考えるようにしていくべきだ。