大学教員公募と大学教員に思う事②
1.前任校(続き)
(4)他大に異動しようと思ったきっかけ
前任校には給料や雑務の多さ、学生の質など、不満はそれなりにあったが、やはり最初に赴任したところということもあり、愛着もすぐに湧いた。
そのため、他大への転出はせめて任期5年を満了してから考えよう、そんなことを着任してしばらくは思っていた。
しかし、結果として私が前任校に在籍したのは5年よりも短い3年だった。
原因は在籍する教員の恐ろしいまでの研究に対する意識の低さである.
前の記事に自分は「業績は並み」だと書いたし,今でもその認識は変わらない.
しかし,それこそが前任校においては大きな思い違いであったし,その意識が私の転出を早めたと言ってもいい.
博士を取得した翌年度に着任した私がそれまで接してきたのは,例えば院生仲間であったり,指導教員,学会・研究会に来ている他大学の先生方であった.
彼らは一様に研究に対して熱意を持ち,常に最先端を走るための努力をしていた.
私にももちろん熱意はあったし,努力をしていないわけではなかったが,やはり彼らと比較すると業績や様々な能力は「並み」だと感じることが多かった.
しかし前任校に赴任してみると,そこに存在していたのは研究に対する熱意なんて持ち合わせていない(学会・研究会に出ない,科研費申請しない,論文も書かない)教員ばかりだった.
大学教員でありながらも給料さえもらえればいい,教育だけすればいい,そのような空気に触れたことのなかった自分からすれば衝撃的な環境だった.
つまり,私が自身のことを「並み」だと考えていたのは(考えてしまっていたのは),非常に恵まれた環境にいたからである.
こういう言い方をすると語弊を生みそうだがあえて言うと,前任校にはその「並み」にすらなれない,なろうとしない研究者もどきが多くいたのである.
そのような前任校の環境に適応できればよかったのだが,2年目の途中でその空間にいること自体がストレスになってしまっていた.
別にそれらの人とは関係なく,自分だけでも研究を頑張ればいいじゃないかと言われるかもしれない.
しかし,口を開けば給料の話しか出ない,研究について話そうとすると煙たがられる,そのような環境にいて何が楽しいのか.
研究は孤独だという考え方もあるが,やはり周りからの影響も軽く考えるべきではない.
今思えば若かったなと思う部分も多いが,それでも前任校から早めに転出したのは良かったと考えている.
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