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ポッピングな祈り
アイスクリームの季節が終わってしまった。
なんて。
夏が終わったって年中食べるのだけども。
先日、友人と会って、久しぶりにアイスクリームショップへ行き、懐かしいねとポッピングなフレーバーをオーダー。むかし、娘が好きでよくひとくち交換して食べた。
自分が高校生のときに最初に買ったのはキャラメルリボン。それにしても女子高生にはぴったりなネーミング。今でもあるのかなあと探したけれど見つけられず。
キャラメルリボンの頃。
ポッピングシャワーの頃。
いろんなことがあったけれど、ぞんざいにしてきてしまったことが多すぎて、今さらながらひとり恥じ入る。
わからなかったあのひとの優しさ、気づかなかった思いやり。
ここ数年、暗いニュースを知ると、後々までじくじくと胸が痛むようになった。
先日も、こどもの虐待やDV事件の裁判で判明した顛末が報道されるのを目にしたあと、ふとした時に思い出し立ち止まって呼吸を整えなければ歩き出せないほどになってしまった。
ひとの弱さが、弱さゆえに、抵抗したりそこから抜け出す術を知らない弱者を追い詰めて痛めつけていくようすを知り、わたしもなにかのきっかけでそうなってしまうかもしれないと恐ろしくなる。きっとなにもかも自分のせいなのだと思いこまされながら消えてしまった命の灯火と、悪夢から覚めた母親の苦悩を思うと、涙が出るのを通り越して、ただ目を閉じてうつむいて震えるしかない。
わたしはすこしは強くなれてきただろうか。
人生も折り返したというのに、こんな風におろおろするばかりで、本当にどうしようもない。
洗面所にドライヤーをかけた後の娘の長い髪の毛がたくさん落ちていて、ちゃんと捨てなさいと小言を言いながら拾い、生きているから髪の毛も落ちるのだと気づく。
神さま、あの頃の娘と同じ年頃だったあの子にもポッピングなアイスクリームを。
手をつないで帰る家路の夕焼けを。
おはようのハグを。
ママの作ったおにぎりをおなかいっぱい。
口の中で弾ける食感と溶けていく甘さを感じながら、祈る。
特別なものでなくていい。
どのひとにも、どの子にも日常に包まれてあたりまえに過ごせる毎日がありますように。
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