A-SPEC活動まとめ 2024 | A-SPEC開発ブログ06
こんにちは、A-SPEC開発チームです。
あっという間に年末になってしまいましたね。
社会のインフラとして重要なパブリックトイレ、そしてその空間をつくる方々の業務に着目したA-SPECは、お陰様で、今年もさまざまなアップデートを重ねて成長することができました。
2024年のA-SPECプロジェクトのまとめとして、「開発メンバーからのメッセージ」と「活動レポ」をお届けします。
開発チームからのメッセージ
■ 藤井 章弘 / A-SPECロジック領域開発リーダー
今年のA-SPECは、各種機能の追加や進化はもちろんですが、A-SPEC ProをはじめとしたA-SPEC周辺領域の活動が本格的に動き出したのが印象に残った年でした。
システムができてもユーザーが実際にそれを使用して業務ができるかはまた別の問題があります。専門性の高いサービスの場合は特に、新しいサービスを使っていただくのに人を介してのサポートが必要不可欠だと思っています。ただそもそもシステムが無いと話も進まないので、これまでのA-SPECはまずはシステムを作るところにフォーカスしていましたが、A-SPEC Proの活動により、さらにユーザーに寄り添った価値提供ができるようになってきていると感じています。
この動きは、見方を変えるといわゆる人工知能のAI(Artificial Intelligence)ではなく、もう一つのAIとも言われる拡張知能のAI(Augmented Intelligence)の方がイメージに近く、デジタル技術でここでは『A-SPECで強化されたA-SPECチームが一緒に課題を解決』しています。システムの進化に加え、それを使う人も進化してきていますので、困ったらA-SPECチームに是非相談していただきたいと思います。
年が変わっても変わらない思いとしてあるのは、いっしょに考えていきたいということで、ユーザーをもっと巻き込んで、来年もみんなでさらに進化を続けていければと思います。
■ 松原 昌幹 / A-SPEC WEB領域開発リーダー
2024年を振り返ると、円安、物価高騰、さらに出生率の低下など、社会全体で「マイナス」が目立った年だったと言えるでしょう。特に「人」にかかるコストが増大し、これからの時代への警鐘が鳴らされたような印象を受けます。
このような状況下で、多くの企業が「人手不足を補う」という観点から自動化製品やサービスを提供しています。しかし、自動化の目的は本当にそれだけなのでしょうか。
A-SPECは今年、様々な進化を遂げました。自動レイアウト後の手動調整機能や、一般トイレの自動設計機能の向上など、より多様なニーズに対応できるようになりました。これらの機能により、多忙な設計者の皆様の業務負担を軽減できると考えられます。
しかし、これらの機能は単に「マイナスを0にする」ためだけではありません。A-SPECの自動設計は、設計者が想定していなかったアイデアを生み出す可能性も秘めています。高速計算能力により、何度も試行錯誤を重ねられることも大きな利点です。つまり、これは「マイナスを0にする」だけでなく、「0をプラスにする」可能性を持っているのです。
世の中にはまだ多くの「マイナス」が存在します。2025年も、A-SPECはさらなる進化を遂げ、多くの人々にとって「プラス」を生み出していくことでしょう。設計業界に新たな価値をもたらし、社会全体にポジティブな影響を与えていくこと願います。
■ 髙木 秀太 / A-SPECシミュレーション領域開発リーダー
いよいよ2024年も終わりに近づいてきました。今年の春にA-SPEC noteに寄稿した私の文章のタイトルは「A-SPECとプラクティス」(記事はコチラ)。2024年のA-SPECにおける「実験(=プラクティス)」の重要性を主張したコラムです。私の展望通り、A-SPECは見事にその期待に答えてくれました。
今年、A-SPECによって分析・計画・展開された数々のプロジェクトがその成果です。A-SPECとLIXILのトイレ設計者をバディで展開する「A-SPEC Pro」のサービスローンチも「実践」の勢いを更に加速させました。ヒトとシステムのコンビネーションが強くて靭やかな、新時代のトイレ設計のありかたを提示しています。設計業務のど真ん中で成長を続けるA-SPECが頼もしいです。2025年はこれらの成果をさまざまな実例でご紹介できそうです。A-SPECの成長アルバム公開に乞うご期待!
■ 小松 紀明 / A-SPECプロジェクトリーダー
2024年もいよいよ終わりを迎えようとしています。今年もA-SPECの活動を通じ、多くの方々と「いっしょに考える」機会を持てたことに感謝いたします。今年は「線を引く設計から、より良い空間をえらぶ設計へ」がさらに進化し、AIによる多様なプラン提案が設計プロセスを支えました。また、この秋には「A-SPEC Pro」がスタートし、プロフェッショナルの知見を加えた迅速で具体的な提案をお届けできるようになりました。まだA-SPECを使っていない方は、ぜひこの年末年始にコタツの中でお試しください。
2025年も皆様と「いっしょに考える」姿勢を大切にしながら、さらなる挑戦と成長を目指してまいります。それでは、どうぞよいお年をお迎えください!
2024年の活動まとめ
ここからは、A-SPECプロジェクトの今年の活動トピックスをご紹介します。
■ ①A-SPEC・自動設計機能追加
使い勝手の良いパブリックトイレ空間を「いつでも、どこでも、だれでも、かんたんに」考えるための、新しい設計機能を追加いたしました。
【バリアフリートイレ】
・レイアウトを調整する機能β
【一般トイレ】
・広めブース検討機能
・レイアウトバリエーションが進化
・3D部品ダウンロード機能
・器具バリエーションの拡大
・空間評価のアップデート
・掃除用流し追加
・設計のヒント機能
・動作空間確認機能
・条件引継ぎ機能
【共通】
・カート仕様変更
・器具表アップデート
他
各機能の詳細は、A-SPEC HPお知らせをご覧の上、どうぞお試しください。
A-SPEC HP:a-spec.lixil.com (※会員登録により利用無料)
■ ②個別案件に対する設計実践
個別案件のトイレ空間設計に対し、A-SPECを開発に際し生み出されたてきたさまざまなテクノロジーと、LIXILのトイレ設計者の熟練の設計技術を融合させることを考え、ブラッシュアップを進めてきました。
・空間提案トライアルの数々
設計者からご相談いただく、トイレ設計にまつわるお悩みの数々。
その中でも、特に「混まない並ばない」に関するお悩みに関し、A-SPECの一般トイレ自動設計の内部で活用されている「A-SPEC混雑予測シミュレーション」、及び、まだA-SPECには実装されていない数々の機能・テクニックを駆使しながら、個別の案件に対してデータに基づく空間設計のご提案に挑戦してきました。
・「A-SPEC Pro」正式始動
2024年10月に、A-SPECのテクノロジーを活用した、データに基づく迅速なトイレ空間提案サービス「A-SPEC Pro」として、正式にサービスローンチ。
A-SPEC Proのメンバーが、みなさまのトイレ設計の課題解決をいっしょにサポートいたします。詳細は、プレスリリースをご覧ください。
2024.10.01プレスリリース:https://newsroom.lixil.com/ja/2024100102
■ ③設計者や建築関係者への教育・情報提供
A-SPECプロジェクトでは、「自動設計サービス(A-SPEC)」や「個別案件の空間提案サービス(A-SPEC Pro)」によってみなさまの設計業務をアシストすることに加え、トイレ空間に関する計画・設計知識の普及教育にも重きを置いて、各種ゼミに取り組んでまいりました。来年もリアル/オンラインで開催いたしますので、ぜひ機会をつくってご参加ください。
【A-SPECゼミ】
・CPD編:社会のインフラとして欠かせないバリアフリートイレ空間を取り巻く、業界の課題、設計者の悩み、設計ガイドラインの変更点、基礎的な設計ルール解説などをお届けする、講義型の45分。
・入門編(バリアフリートイレver.):A-SPECをいっしょに操作しながら、使い勝手のよいバリアフリートイレを実際に設計してみる、体験型の30分。
・提案事例編:2024年新作ゼミ「トイレ設計の新しい波」。トイレ設計の課題や、自動設計と熟練の設計者の力を融合させながら取り組む最前線のトイレ設計の提案実例をご紹介する、トークセッション型の60分。
→ 📢 2025/1/24・1/31・2/14開催分申込受付中
【A-SPEC特別講義】
・東京理科大学 (建築学科「デジタルデザイン」)
・多摩美術大学 (環境デザイン学科「CAD・CG I」 )
・北海道大学 (建築学科「BIM・CD 演習 2024 (計画設計特別演習II)」)
~教育後関係者のみなさまへ~
デザインワークショップ・設計ディスカッション・計画ルール解説など様々なテーマでイベントをご用意しております。ご興味ございましたらぜひお声掛けください。
■ ④自動設計活用tipsを届ける活動
より感覚的に、A-SPECの目指す設計シーンや世界観に馴染んでいただくため、5月より、ご覧のA-SPEC noteによる情報発信を開始いたしました。
【2024年・たくさん読まれた記事】
👑トイレ空間の多様なニーズと建築の可能性 | わたしとトイレ設計03
【2024年・A-SPEC活用事例ピックアップ】
👑地域の方と取り組んだ、初めて挑むトイレ設計 | わたしとトイレ設計02
【2024年・A-SPECプロジェクト『イチ押し』の記事】
👑こんにちは、えーこです | えーこの雑記01
みなさんお悩みの多いトイレ設計について、今後ともさまざまな切り口で情報をお届けできるよう、更なるパワーアップを目指します!
おわりに
A-SPEC、実は昨年末や今年の三が日にもご利用がありました。設計者の方々が、本当にお忙しく日々の業務に取り組まれていることを実感します。
建築・建設業界でも大きな課題として取り上げられてきた「2024年問題」のまさにその年になってしまった本年。
A-SPECプロジェクト、さまざまな活動をしてまいりました。
みなさまはどのトピックが気になりましたか。
快適な空間設計、顧客との合意形成、実務の生産性向上、新人教育、など課題の多いトイレ設計ですが、「ねこの手も借りたいほど忙しい」設計者・建築関係者のみなさまをサポートするため、A-SPECプロジェクトは来年も設計シーンの変革にチャレンジしていきます。
トイレ設計に悩んだら、ぜひA-SPECといっしょに考えたり、A-SPEC Proにご相談ください。最後になりますが、本年も設計機能や活動に関するご意見、ご感想等ありがとうございました。来年もぜひお待ちしております。
それでは、よいお年を!🐱🎄🎅 → 🎍🐍🗻