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理想のお兄さん






私は井上和、高校1年生

私には菅原咲月ちゃんと言う親友がいます!

さっちゃんはお転婆で少しドジで格好つかないことの方が多い子だけれど、どこか大人っぽくも感じさせる子でもあります

そんなさっちゃんにはお兄さんがいるのですが…




女1:ねえ今日○○くん見た?


女2:見た見た!髪の毛上げてて印象変わって…もう最高って感じ!



こんな感じで校内のアイドル的な存在なのです…


さらに、私がさっちゃんの家に来た時には…



井上:お邪魔します!


咲月:いらっしゃい!ほら入って入って!


井上:相変わらずさっちゃんの家は綺麗だね笑


咲月:そんなことないよー


○○:お前が言うことじゃないだろ…俺が掃除してるんだからさ…


井上:○○さん!お邪魔してます!


○○:ゆっくりしていってねー、お茶菓子持っていくから部屋行ってなー


井上:はい!ありがとうございます!


咲月:お兄ちゃんってほんと和に優しいよね…


○○:からかうならお前の分は用意しないぞ…


咲月:兄上!申し訳ございません!


こんな感じ(?)で優しくて家事とかもできちゃって完璧な理想のお兄さんなのです!

そんなお兄さんのことが私は…



井上:ねえ好きすぎるんだけど…


咲月:それ妹の私に言う?


井上:だって1番お兄さんのこと知ってるじゃん!


咲月:んー…お兄ちゃんはいい人だと思うけどなんか気まずいところもあるかな…


井上:それは承知の上ではありますけどねー…でも好きな物は好きなの!


咲月:んー…わかった!できる限り協力するね!


井上:ありがと!でも何からすればいいんだろう…


咲月:名前は知ってもらってるからね…連絡先は?


井上:まずはそこからだね!


咲月:じゃあ!…





というわけでさっちゃんと私は連絡先を教えてもらうべく作戦を実行することになった




咲月:ねえお兄ちゃん!


○○:なに?


咲月:私今から買い出し行ってくるから和とお話しててくれる?


○○:いや…俺が行く…


優しすぎるよ○○さん…


咲月:い、いや!ちょっと私も買いたいものあったから!


○○:まあならいいけど…和ちゃんは俺と2人で大丈夫?


な、和ちゃん…//


ダメだ!とりあえず返答しないと…


井上:… コクリ


○○:わかった…じゃあお話して待ってるねー


咲月:ありがと、いってきます!


とりあえず2人になるっていう第一関門クリア!


ここからなんだよね…






井・○:…


沈黙は耐えきれない!

どうしよ!

○○さんは本を片手に寝そべっているので沈黙は耐えられそう…

完全に意識されてない…


井上:あの…○○さん…


○○:なに?


井上:あ、いや…


本を読んでるから聞こえてないと思ってた!

どうしよ…


井上:○○さんはどういう本読むんですか?


○○:あーこれ?これブックカバーしてるから分かりずらいけど漫画なんだよね笑


井上:え!○○さん漫画読むんですか?


○○:読むよ笑 少年誌から色んなジャンル読むよー


井上:ならこういうのって読みますか?



私と○○さんは少しジャンルは違えど漫画を読むという共通の趣味を見つけることができた


○○:和ちゃん、漫画のことめちゃくちゃ知ってるね!笑


井上:1人で語っちゃってすみません…


○○:いいよ笑 和ちゃん、連絡先教えてくれる?


井上:え!いいんですか!


○○:いいよ、俺の連絡先くらい笑 話してて楽しかったからさ笑


井上:是非お願いします!


まさか○○さんから聞いてきてくれるとは!


井上:嬉しいな… ボソッ


○○:何か言った?


井上:あ、いや!なんでもないです!


心の声漏れてた!

恥ずかしいな…//



咲月:ただいま…って邪魔しない方がいいか…



私は無事○○さんと連絡先を交換することができた








LINEを知ってから数ヶ月が経った

さっちゃんのお兄さんは漫画やアニメが好きで私ととても趣味が合うことが分かりました

ずっとLINEをしても返してくれるしたまに質問もしてくれるし…

LINEでも直接会った時も優しくしてくれる○○さんのことをより好きになりました

でもひとつだけ懸念点があり…



井上:意識されてないかも!


咲月:うんまあ、そうだよね!なんとなく勘づいてた!


井上:どうしよー!


咲月:こればっかりは難しいね…お兄ちゃんはクラスに女子の友達多いみたいだからね…


井上:そ、そうなのか…


咲月:とりあえずこのままLINEし続けるしかないよ…解決策は今はないかな…


井上:だよね…


私たちはこの時まだ知る由もなかった

翌日学校で大事件が怒ることを…





翌朝



井上:おはよ、さっちゃん


咲月:ねねねねね!和和和!


井上:なに…さっちゃん…朝からうるさいよ…


咲月:大変なの!


井上:なにが…


咲月:おに、お兄ちゃんが!


井上:○○さんがどうしたの?


女1:まさか○○くんにガールフレンドがいるなんて…


女2:図書館で2人で話してるなんて確定だよね…


井上:う、嘘でしょ…


咲月:ほんとらしいの…お兄ちゃん本人に聞いたわけではないけど…さらに相手が…


井上:だ、誰なの?


咲月:お兄ちゃんと同い年の久保史緒里先輩!


井上:く、久保先輩!無理じゃんか…


久保先輩といえば、○○さんと並ぶほどの人気を誇る本校のマドンナ

この学校で知らない人はいない…


咲月:なんで久保先輩と2人で…


井上:さすがに久保先輩には…


咲月:もう!決めた!私聞いてくる!


井上:○○さんに?


咲月:違うよ!久保先輩に!


井上:え、えーーーー!さっちゃん待って!


私の制止を聞かないでさっちゃんは走って行ってしまった






1時間後…


咲月:た、ただいま…


井上:お、おかえりさっちゃん…どうでした?


咲月:それがさ…


井上:… ゴクリ


こんな出来事で私の恋を終わらないでくれ!(久保先輩に失礼です…)


咲月:なんでもないそうです!


井上:え!そうなの!


咲月:委員会で知り合ったみたいでたまたま図書館で話してただけだってー笑


井上:よ、良かった…


咲月:今まで通りLINEで話すしかないね!


井上:そうですね…





あの事件以来、○○さんからの返信が少しぎこちなく感じる

さらに学校中での○○さんと久保先輩の噂は絶えることがなかった…

そんな中…



咲月:お兄ちゃん!同じチームなんだね!


○○:お兄ちゃんとか恥ずかしいからやめろ!


咲月:よろしくね、お兄ちゃん!


○○:だからやめろって!


私たちの学校では体育祭シーズンとなった…

体育祭は縦割りのチーム分けで、私たちと○○さんは(1年と3年)2組なので同じチームになることになった


○○:和ちゃんもよろしくね?


井上:は、はい…


○○:和ちゃん、大丈夫?


井上:な、何がですかね…


○○:いや体調悪そうな気がして…


たしかに○○さんと会うことが分かってたから寝れてなかったような気がする…

久保先輩とのこともあったしなるべく会いたくないなって思ってたし…


井上:だ、大丈夫です!ほらこのとおり元気ですし!


○○:ならいいんだけど…


迷惑なんてかけれないよね…○○さんには久保先輩がいるから…





体育祭まで1週間

私たちのチームに限らず、全校で1日2時間ほどの練習時間が設けられる

そんな本気でやるんだって思うかもしれないけどそのくらいが楽しいと感じる…

私は○○さんとチーム対抗リレーに参加する

同じ競技に参加できることがほんとに嬉しかった…

私の体調は治ることは無かったけど、体育祭までは持つはず

そう思いながら体育祭当日を迎えた…






咲月:ねえ借り物競争にお兄ちゃん出るみたいだよ!


井上:○○さんほとんどの競技出てない?


咲月:たしかに…でもお祭りごと好きだからさ!


井上:そうなんだ…


体育祭はものすごい盛り上がりの中にあり、文字通り熱狂の渦中にいた…


咲月:ねえこっち走ってくるよ!


井上:ほんとだ!


○○さんは私の方に走ってくる

もしかしたら私のこと…


○○:おい!久保!


久保:わ、私!


○○:ほら!早く!


手を繋いで走っていく2人を見てグラウンドはザワザワうるさくなる


実況:1位は2組の菅原○○くんでした!


会場は拍手に包まれる

チームは○○さんを迎えて大騒ぎしている

みんな嬉しい感情でいっぱいなのだろう

それでも私の心はみんなの感情とは裏腹にプラスに向くことはなかった…







体育祭は終盤を迎え最後のチーム対抗リレーの時間になった

私たち2組と3組の一騎打ちでこのリレーを制した方が優勝となる

私は序盤の方なのでプレッシャーはあまり感じないが、アンカーには○○さんがいるので安心する…



井上:よし…頑張ろ…


私はバトンを受け取りカーブに差しかかり、男子に抜かれたものの一つだけ順位を落とすだけでことは済んだ…

少しはチームの力に…○○さんの力になれたかな…

そんなことを思ってるとアンカーの1つ前の走者へとバトンが渡った

私たちのチームは圧倒的1位で独走をしている

このままいけば…


井上:あっ!


会場一同:あー…


私たちのチームの走者はカーブで転んでしまい、3組に抜かれてしまった…


1つ順位を落としてアンカーの○○さんに渡った


○○:よし…最後だから楽しもうか…


○○さんは笑みを浮かべて、まさにこの状況を楽しんでいるようだった…

○○さんはぐんぐんスピードを上げて3組のアンカーの背後に付けた

私は○○さんが勝つことを祈るばかりであった


井上:(お願い、○○さん!2組を勝たせてくだ…)


私の視界は歪み、倒れてしまった…





??:和!和!


井上:ん…


私が目を覚ますと、視界には真っ白な天井と咲月の顔があった


咲月:大丈夫?気持ち悪くない?


井上:さっちゃん…うるさい…


咲月:ご、ごめん…


井上:そんなに落ち込まなくても…笑 結果はどうだった?


咲月:それが…


さっちゃんが話そうとするとそれと同時にドアが急に開いて…


○○:和ちゃん!


咲月:お兄ちゃん!


井上:○○さん…


○○大丈夫そう?


井上:は、はい…結果はどうだったんですか?


○○:結果は…


咲月:優勝したよ!


○○:お、お前…まあ最後3組のアンカー抜かして勝ったよ ニコッ


井上:良かったです…//


○○:和ちゃんが繋いでくれたバトンだからね絶対負けられなかったよ!


井上:…//


咲月:でもまさか勝った後に…


○○:お、おい!咲月!//


咲月:私はお邪魔でしたねー、それでは!安静にしてね、和!


○・井:ちょっと!さっちゃん(咲月)!


さっちゃんは走って保健室を出て行ってしまった


○○:とりあえず勝てたよ…ありがと!


井上:いえいえこちらこそ…


私の返答のあとしばらくの沈黙が続く…

でも前とは違いこの沈黙は気まずさでは落ち着きを孕んでいる

安心すらも感じさせる…


井上:あの…○○さん、ききたいことがあるんですけど…


○○:なにかな?


井上:借り物競争、なんで久保先輩だったんですか?


○○:あー…お題がさ…


なんでこんなに私から目を逸らすんだろう…

「好きな人」でも書いてあったのかな…


○○:「普段から相談に乗ってもらってる人」だったんだよねー


井上:そ、相談…?


○○:お恥ずかしながら、好きな人がいてさどんなに話しても気づいてくれなくて噂が立ってもいいからと思って仲良い久保に相談してたんだー


井上:そ、そうだったんですね…


やっぱ好きな人とかいたんだ…


○○:その好きな人はさ、少しネガティブで、でも好きなことを話すときはウキウキしててさ…そしてとにかく可愛くてね…


井上:そうなんですね…


○○:俺はガツガツ行けるほうじゃないから少しコミュニケーション取ったりとかするので精一杯でさ…そして俺の好きな人は今日お姫様抱っこでここの保健室に連れてきた人…//


井上:え…//


私のことをお姫様抱っこで…//


○○:ねえ和ちゃん…俺が彼氏になりたいって言ったら彼氏にならせてくれるかな…?


井上:は、はい…//


○○:恥ずかしがった顔も可愛いね?


井上:や、やめてください…//


私は思わず顔を背けてしまう…


○○:ねえ和ちゃんこっち向いて?


井上:は、はい…


私が振り向いた瞬間、唇に柔らかい感触を覚える…


井上:な、何するんですか…//


○○:キスってこんなに甘いものなんだね…//


顔が熱を帯びるのを感じる…



井上:ねえ○○さん…


○○:な、なにかな?//


井上:もう1回お願いしたいです…//


○○:え…//


井上:ダメですか…?


○○:わかった目瞑って?


井上:は、はい…


また唇に柔らかい感覚を覚える…

でもさっきとは違かった

目を開けると○○さんは私の口に指を当てていた


○○:俺を弄んだ罰です…


井上:…//


好きな人にはこんな行動もするんだ…


井上:もう…バカっ!//



こうして理想のお兄さん改め「理想の彼氏」との生活が始まったのでした…




fin






今作はたあーさんとラギさんのコラボ企画の作品となっております!

中編も長編もこなす御二方の企画に参加できてとても光栄に思います!

御二方に読んで貰えるように今作も他の作品もより良い作品になるように頑張っていきたい所存でございます!

さてさて今回のヒロインは、井上和ちゃんでした!

積極的になりたくてもなれない…そんなヒロインいいですよね!

ご覧頂きありがとうございました!

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