知らないあなた
私井上和(大学1年)は近所のカフェでバイトをしている。
昔ながらのレトロな雰囲気の店内が有名なこのお店は地元の人はもちろん、カフェ好きの人たちにも人気のようです。
私は最近入ったのであまり分からないが、バイトの先輩曰くこのお店には何人か常連のお客さんがいるようでその1人に20代前半くらいの男性の方がいるらしい
先輩:こんにちはー
??:こんにちは、××さん!アイスのアメリカーノください!
先輩:今日はアメリカーノなんですね?
○○:なんとなくですけどね笑
井上:アイスのアメリカーノです
○○:ありがとうございます!新人さんですか?
井上:はい…(誰だろこの人…)
先輩:このお店の常連さんだよ?
○○:常連なんてそんな大層なものじゃないですよ笑
この人が先輩が言っていた20代前半くらいの男性らしい
身長は少し高め、整った顔立ちでどこか落ち着いた雰囲気をしている
井上:井上和って言います!よろしくお願いします!
○○:よろしく、林○○って言います!気軽に○○さんって呼んでねー
井上:それなら私のことも下の名前で呼んでください!
○○:わかったよ、改めてよろしくね和ちゃん ニコッ
井上:はい!(優しそうな人だな…)
○○さんはこのお店の一番端の2人がけの席に座り、パソコンを開き作業をし始めた
○○:…
カタカタ
井上:(すごい真剣な顔してるな…)
先輩:なに○○さんのこと見てるの? ニヤニヤ
井上:み、見てませんよ!
先輩:その反応は見てたんじゃん笑
井上://
先輩:○○さんは高校時代からずっと通ってるみたいで何人もの女性店員が落としにかかったけど、ことごとく全敗してるみたいだよ笑
井上:だ、だからそういうのじゃないです…
先輩:(和ちゃんってわかりやすい子なんだね) ニヤニヤ
このカフェで働き始めて1ヶ月がたった
○○さん以外の常連さんも把握するようになり、色んな人とお話するようになった
○○さんは名前だけは知ってるけど、どんな性格で何歳なのかとか○○さんについて何も知らない
そんなある日…
○○:こんにちはー
井上:こんにちは、○○さん!
○○:ほら入って、席空いてるから
??:やっぱここはいい雰囲気だよね!
○○さんは女性を連れてカフェにやってきた
○○さんはいつもの一番端の2人がけの席に座った
お相手さんは○○さんよりも少し年上かな?落ち着いた○○さんには落ち着いた雰囲気の女性が会うよね…
なんか○○さんが遠い存在に感じてきたな…
井上:○○さんのこともっと知りたいな… ボソッ
今日は店長とシフトが同じなので店長に○○さんと来ているひとについて聞いてみることにした
井上:あの女性だれですか?
店長:あの人は○○くんのお姉さんの瑠奈ちゃんだよ。○○くんよりも早くから通ってた子なんだ
井上:(良かった…) ホッ
なぜ安心したのでしょうか。まずなぜ彼が女性を連れてきてガッカリしたのでしょうか。
井上:(好きだな○○さん…)
そんなことは他所に○○さんたちは互いに話し出した
瑠奈:○○、彼女とかいないの?
○○:いないねー、もう長らく笑 独身かも…
瑠奈:もったいないよ…こんなにかっこいい顔してるのに!
○○:全然そんなことないって💦
○○さんのお姉さんは相当なブラコンっぽいです
瑠奈:○○さ、多趣味なんだから色んな人と話合うって
○○:俺の趣味受け入れてくれる人いないって💦
今度○○さんに趣味の話聞いてみようかな
僕林○○は2年前に大学を卒業し、一流企業に就職した。周りには隠しているが、僕はアニメ好きで幅広いジャンルのアニメを見ている。別に隠していることに意味がある訳では無いが…
今日はいつも作業しているカフェに行く前に、好きなアニメの映画がやっているらしいので映画館に行くことにした
○○:(知り合いいないよな…)
○○:この映画のチケットを…
井上:2枚お願いします!
○○:な、和ちゃん!?!?
井上:こんにちは!○○さん!
店員:2枚でよろしいですか?
○○:はい…お願いします…
なんと恋愛もののアニメ映画を見ることが和ちゃんにバレてしまいました…
○○:(バレた…印象と違いすぎて引かれないよね…)
井上:○○さんもあの作品好きだったんですね…
○○:(○○さんも?)…
井上:○○さん?
○○:和ちゃんもこの作品好きなの?
井上:はい!アニメ全般好きですけどこの作品は恋愛ものだったらより好きです!
○○:そうだったんだ…よかった引かれてなくて…
井上:引くわけないじゃないですか!ほら…早く行かないと始まっちゃいますよ!
和ちゃんは僕の手を握って走り出した
映画後
私は○○さんといつものカフェでおしゃべりをしています
本当はバイトだったのですがお客さんが少なかったので店長さんが許可してくれました
○○:面白かったよねー!特に最後の誰が選ばれるかってシーンが良かったよね!
井上:…
○○:ごめん、熱くなりすぎた…
井上:全然大丈夫ですよ?笑 ○○さんがこんなに熱くなってるなんて珍しいなと思って
○○:カフェでは静かですけど普段もこんな感じですよ?
○○さんがもっとテンションが上がっているところ、もっと暑くなるところ、もっと彼のことを知りたいと思う
井上:もっと…お話したいな… ボソッ
○○:えっ?
井上:いや、なんでもないです!
私何言ってんだろ
聞こえてないなら良かったな
○○:いいよ… ボソッ
井上:え?
○○:俺ももっと和ちゃんと話したいって思う//
井上:え//
○○:空いてる日一緒に出かけない?//
井上:是非お願いします!
聞かれてはいたみたいだけど一緒に遊びに行くことになったのでモーマンタイです!
デート当日
楽しみすぎてあまり寝れず集合場所にも早く着いてしまいました
井上:(30分前はさすがに早すぎたかな…)
○○:なぎちゃん、おまたせ!早かったね?
井上:実はあまり寝れなくて…
○○:そうなの?もし体調悪くなったら言ってね?
井上:はい//(優しいなぁ) 早く行きましょ!沢山回るので!
○○:その前に…その服すごい可愛いよ//
井上:あ、ありがとうございます…//
○○さんはこういう優しいところとか気遣いできるところとかがずるいんだよな…
その後○○さんとはおしゃれなカフェによったりア○メイトに行ったりした
○○さんは普通に会話をしながらもどこか上の空で何かを言い出そうとしているようにも感じた
井上:次服見たいです!
○○:…うん、いいよ!
井上:こんな服どうですか?
○○:めっちゃ可愛い//
井上:これは?
○○:綺麗めでこれも可愛いね//
井上:そんなに褒められちゃうと照れます//
○○:どっちも買ってあげるよ!今日来てもらったしお礼も兼ねて
井上:いやいやさすがに支払ってもらうのは申し訳ないです💦
○○:和ちゃんが僕と話したかったように、僕も和ちゃんともっとお話したかったからこれくらいはさせてよ///
私これは少しは期待していいんですよね…
女:あれ?○○だよね?
○○:××じゃん!久しぶり!
女:隣の子は…
○○:俺の行きつけのカフェで仲良くなった店員さんなんだよねー
女:まさか彼女さん? ニヤニヤ
○○:趣味が同じの友達だよ笑
前言撤回
やっぱり○○さんは私のことを友達としか思っていない
知らないあなたを知ったつもりでいたけど、私よりあなたのことを知ってる人なんてたくさんいますよね
井上:○○さん?
○○:どうしたの?
井上:私やっぱり体調悪いので帰りますね…
○○:あ、うん…
全然体調なんて悪くないのに○○さんに嘘ついちゃったな…
井上:(なんか泣きそう…)
私と別れたあとの○○さんは後から来た女性と仲睦まじく話している
私と出かけていたのにあの女性を優先した
私は気まずくて少しでも早くその場から立ち去った
井上:私やっぱり体調悪いので帰りますね…
和ちゃんは走って去ってしまった
女:一緒にいた女の子帰っちゃったけどよかったの?
○○:体調悪いって言ってたし…
女:そんなわけないじゃん!
○○:??
女:邪魔した私が言うのもなんだけどデート中に他の女性を優先して話すとか普通ありえないから!早く追いかけなさい!好きなんでしょ!
今までそんなこと考えたこと無かった
数ヶ月前まで知らなかった和ちゃんを知ることがこんなにもワクワクして、和ちゃんと同じ趣味があることがこんなにも幸せだった
和ちゃんが僕のことを知ろうとしてなかったらこんなに仲良くなることもなかったしこんな気持ちになることも…
僕は和ちゃんの優しさを踏みにじってしまったんだ…
○○:…ありがとう、××さん…俺追いかけてくるよ!
女:それでこそ男だ!○○!いってこい!
○○:(どこいったかな…)
駅前を歩いてる和ちゃんを見つけた
○○:和ちゃん!待って!
井上:○○さん…
○○:ほんとにごめんなさい!和ちゃんと遊びに来てたのに他の女性と話すなんて軽率すぎる行為だった…
井上:いいんですよ…でも今日は帰らせてください…
僕は和ちゃんのことを追いかける権利なんてあるのでしょうか…
いや、ダメだ追いかけないと
ここで別れたら一生会えないような気がする
○○:和ちゃん、まだ終わってない!
井上:なんですか… ウル
やるしか、言うしかないんだ、正直な気持ちを!
○○:数ヶ月前まで全く知らなかった和ちゃんのことを知れば知るほどとても魅力的で素敵な人だって思うようになりました!だから付き合ってください!好きです!
井上:嬉しいです… ボソッ
○○:??
井上:嬉しいです!私も大好きです!もっと早く言ってくださいよ…
○○:ごめん💦
井上:ほんとに絶対離さないでくださいね♡
○○:はい//
fin
今回のヒロインは井上和ちゃんです!一目惚れというベタなシチュエーションは知れば知るほど惹かれ合う展開が良いですよね!
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