人への気持ち、人からの気持ち。
この前、公園のトイレに入った時の話。
トイレに入る時、ちょうど清掃の女性が終わって出てくる所だった。そこでは何度か見かける高齢の女性。きっと何年も仕事をしていえうのだろう。そこですれ違う時に声をかけられた。
「ここのトイレは綺麗だと思いますか?使いやすいですか?」
すれ違いざまにいきなり言われたので、理解できずに一瞬固まった僕を察して、その人は、
「ここを使ってくれる人が気持ちよくなってほしいと思って掃除を頑張ってるんです。そう思ってくれてるのかなって気になって」
と言葉を続けた。
日頃何も考えずに公衆トイレを使っていたのだが、ハッとなった。ここが綺麗なのは掃除をしてくれる人がいるから、トイレ掃除という仕事に嫌気がささずに、むしろこんな気持ちで清掃をしてくれる人がいるからこそ。
「はいっ、いつもここのトイレは綺麗なので、気持ちよく使わせてもらっています!ありがとうございます!」
僕がやや大袈裟に答えると、
「良かったあ、1人で仕事してるとそういう声なかなかきけないから」
そう笑顔になった。
人から認めらる為にトイレ仕事しているわけではないと思うが、かといって誰からも気にかけてもらえないのもやり甲斐がなくなってしまう。見返りを求めているわけではないが、感謝されたり認めてもらう事は素直に嬉しい事。やはり感謝や気持ちは声に出して伝える事で、その人の喜びになる。見える形にする事も大事。
そう言えば、昨年父親が亡くなるまで1年間介護をしていたのだが、声に出して感謝の気持ちを伝える行為は大切だと思った。父親だって寝たきりになって息子に介護をさせたくないという申し訳ない気持ちの中で、
「気にしなくていいよ。子供として当たり前のことをしてるだけだから。今まで育ててくれて感謝してるし」
と言った時の父親の嬉しさや安堵感が混ざった顔。もちろん気持ちは大事だけれど、声に出して伝える事って本当に伝わる。それが親子でも夫婦でも家族でも恋人でも知り合いでも職場でも、たまたま入った店の店員でも。
気持ちは言葉に。言葉に気持ちを乗せて。