人とは

無事に父親の通夜と告別式が終わった。
意識不明になったその日に息を引き取り、あっという間に一連の葬儀も終わり、遠方から集まった人達もまたいつもの日常に戻った。

父についての話は長くなるのでここでは書かないが、今回の葬儀である事が起こったので一つだけ書こうと思う。


通夜と告別式で僧侶に渡すお布施は受け取ってもらえたのだが、それ以外のその都度都度で渡すお金は受け取りを拒否されたのだ。必ずいるお金なのだが、僧侶曰く
「◯◯さんには生前お世話になって、道でスレ違うと声をかけてくれたり、お茶や野菜果物など頂いていたんです。今まで充分頂いていたから」
との事。何度も渡そうとしても本当に受け取らなかったのだ。

真面目で人の悪口を決して言わない父の評判が良い事はすでに分かっていたのだが、今まで生きてきた中での行いが父本人だけではなく、子供や孫にも恵みとなって繋がっていくのだと改めて思わされたものだ。

そしてそのやり取りを見ていた一部の親戚が、ヒソヒソと
「何で?ズルくない?」
みたいな事を陰で言っていたが、父の人柄の結果だからズルイとかズルくないとかではない事。それに父はそんな風に陰で言うことはしない人間だからこそ、このように僧侶にもお金はいらないと言われたのだ。

今まで父が生きてきた行いの反映。人徳とも言われるもの。父の人徳のおかげで残された物達も得になる事が自然と起きていく。

私も父親の介護は嫌々ではなく、今まで育ててくれた感謝の気持ちを忘れずにやっていたし、父にも病院にも嫌々やってると思われないように笑顔を意識していた。だからこそ週3回の通院時では、看護師さん達から
「こんな素敵な息子さんいない。男性でこんなに優しく介護してくれる人は今まで見た事ない。どんな風に育てたらこんなに良い子供になるの?」
と言われていた。何だか私の自慢のように聞こえるかもしれないが、そういう意味ではなく、父親への感謝が本人に伝わるような行いをしたかっただけ。それにこんな私の性格も父から受け継いだ物だし、真面目に不平不満を言わない父を見て育っただけの事。

やはり人とは、その人の行いの表れ。人生とは生き方。その人の言動は自分だけではなく、周りの人たちにも良くも悪くも伝染して広がっていく。

誠実な生き方は、誠実な結果を残し、誠実な人間を産み、誠実な人間が集まり、誠実な世界を作り出す。

これからも誠実に生きていこうと改めて想いを固めていきます。

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