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🟨 続・日本人の9割が知らないタイ飯 ⑱〜ナムギャオは意味が深い〜 【後編】🟨
【前編】ではナムギャオを北タイ料理屋とカノムチン屋のメニューだけどカノムチン以外の麺もあるってお話をした。【後編】ではナムギャオの「意味深」についてご説明。そしてカノムチン以外の麺を使ってるナムギャオとそのお店の続き。
ナムギャオの2つの意味と起源
タイ語のナムギャオ(น้ำเงี้ยว)は水や汁物を意味するナーム(น้ำ)にギャオ(เงี้ยว)という単語がついたもの。この辺の説明は日本語版Wikipediaが珍しく詳しく説明してるので参照されるといいかも。
ギャオの由来は2つの説がある。1つはンギウ(งิ้ว)という野生の綿花を食材に使うからというもの。
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いま1つは「タイ北部においてシャン人に対して使われる蔑称(日本語版 Wikipediaのまま)」のギャオ(เงี้ยว)が語源だという説。タイ語版Wikipediaの「タイヤイ(ไทใหญ่)」では「ビルマ人はタイヤイ族のことをシャン(ฉาน)族と呼び、タイ人がタイヤイと呼び、ギャオはチェンマイのランナー人がタイヤイを指す言葉、チェンライ人はタイヤイと呼ぶ」と書かれててる。
ちなみにタイヤイ族自身は自分たちのことをタイ(ไท)と呼ぶ。これはタイ人を指すタイ語のタイ(ไทย )とは綴りが違う。
一方で、現在世界的にシャン族という言葉が多く使われるのはビルマを植民地支配してたイギリスがビルマ視点からシャンと呼んだことの影響。
ではギャオが蔑称って話しはなんなんだと調べると別の記録では「シャン族は他の民族から軽蔑的に蛇(งู)を意味するギャオ(เงี้ยว)と呼ばれている」との記録があった。これが蔑称の由来らしい。
ナムギャオとギャオ族の関係をさらに調べると「ナムギャオの伝説」という記事の中で、「ギャオとはミャンマーから逃れてきたタイヤイ族の中のギャオ族を指す」という説があった。つまりギャオとはタイヤイ族全体に対する蔑称ではなくタイヤイ族の中の1部族にギャオ族があるって内容。
この記事によると、ギャオ族は北タイ全体に広く移住したけどその多くがプレー県に集まり、ナムギャオはここを発祥として北タイ全域に広まったとのこと。
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Wikipediaによると1902年にプレー県に移住したギャオ族が政府に対して反乱を起こし、一時的にプレー県の都市を占拠し最終的に鎮圧されたという事件「ギャオ族の乱」があった。これは現在のチャクリー王朝が中央集権化を進める中で起きた事件。母国での迫害→国外へ移民→移民先でも迫害→反乱。現在に至るまで歴史上何度も、世界中のどこでも繰り返されてる民族の悲劇。
今回訪問したお店の中にプレー県のお店があってそこのメニューにクリアスープの「カノムチン/クイティアオナムプレー」というのがあったけどこれがナムギャオの原型なんだろうか。
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つまりナムギャオは現在北タイ料理を代表するメニューの一つと思われてるが、元をたどるとその起源は現在のミャンマーから移民してきたタイヤイ族のメニューで、それが北タイ全体に広まったということ。以前カオソイやカオフンと言ったメニューがもとをたどれば雲南や現在のミャンマー領内のシャン州を経由して北タイ地方に広まったことと同様だった。
お店紹介の続き
まずはお店紹介。ご紹介する5軒のうち「カオソイ・ラウリアウ」「カムパー」の2軒はいわゆる北タイ料理のお店。あとの「ランバイブア」「Ratshan Noodles」「ラーンピーピン ナムギャオ」の3軒は北タイとは言ってもタイヤイ(シャン)料理のお店。
🔸カオソイ・ラウリアウ
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バンカピ市場の北側をナワミン通りに沿って奥に行った辺りにある北タイ料理のお店。お店はチェンライ発祥らしくカオソイなどのいわゆる北タイメニューが並ぶ。
ナムギャオの麺はカノムチン以外にセンレック選べたので注文したけど出てきた麺はセンレックというよりパッタイに使うセンチャン(เส้นจันท์)のような中太幅広麺スープの絡みはイマイチ。
🔸カムパー
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ラチャダ通りのラマ9通り交差点の近くにある北タイ料理のお店。こちらは北タイのプレー県の人が経営するお店でゲンハンレーやサイウアなどお馴染みの北タイ料理がメニューに並ぶ。麺のほうはカノムチンとセンクイティアオが選べる。ここのセンクイティアオは幅広の米麺で見た感じやや透明でモチモチ感が強め。
さっきも書いた通り、このプレー県に移住したタイヤイ族のナムギャオがその後北タイ全域に広まって現在のように北タイ名物のカノムチンナムギャオになったと考えられる。
ナムギャオ以外に「カノムチン/クイティアオナムプレー(ขนมจีน/ก๋วยเตี๋ยวน้ำแพร่)」というプレー県独特の麺料理がある。ナムギャオのスープからナムプリックやトアナオを除いてクリアにしたような見た目のナムプレーは優しいお味だけどクミン(?)のスパイス感がある。
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🔸ラーンバイブア
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ホイクアンの新チャイナタウンの一角にある北タイ料理のお店。日本人も見かけるけどほとんどがカオソイを注文してる。北タイ料理とは言ってもお店の看板にはチェントン料理と書いてある。チェントンとはミャンマー領内のシャン州の都市ということでこのお店では北タイ料理以外にタイヤイ(シャン)料理もある。当チャンネルでもカオフンの記事の中でこのお店をご紹介してる。
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このお店でもナムギャオの麺はカノムチンとクイティアオが選べたのでクイティアオを注文した。実際にやってきたナムギャオにはセンヤイのようなコシはないけどモチモチした食感の麺が出てきた。
🔸Ratshan Noodles
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英語の店名は「Ratshan Noodles」だけどタイ語の店名が「ナムギャオ・ラットシャン」。直訳すると「シャン州のナムギャオ」というだけあって北タイ料理というよりタイヤイ(シャン)料理のお店。メニューを見てもトーフ関係のメニューなど普通の北タイ料理店ではあまり目にしない料理がある。
この辺のメニューはバンコクの他のタイヤイ(シャン)料理店で見かけるのと同じ。
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このお店は麺が4種類も選べる。上から、①センミーカイ(เส้นหมี่ไข่)→直訳するとタマゴ麺だけどセンカオソイだと思う。②センチャン(เส้นจันท์)→さっきも登場したパッタイに使う中太米麺。③センシャン(เส้นฉาน)→これがお店おススメのシャン麺。④センカノムチン(เส้นขนมจีน)毎度お馴染みのカノムチン
おススメに従ってセンシャンを注文してみた。食感はかなりモッチリしてる。シャンというだけあってシャンカオスエに使う麺に近い印象。でもサムロンの「タイヤイ村」で出てくるのとは若干違う食感。シャンカオスエに使う麺の乾麺なのかもしれない。
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ちなみに最近アソーク周辺にも「LA LA SHAN PYAE RESTAURANT」ってミャンマーのシャン州料理のお店ができた。でもこっちはタイヤイ(シャン)人経営でメニューはミャンマー語+英語+タイ語+日本語の4か国語表記。
🔸ラーンピーピン ナムギャオ
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このお店が気になってバンコクの隣県のノンタブリー県まで行ってしまった。お店の名前はタイ語で「ร้านพี่ปิ่นน้ำเงี้ยว ข้าวฟืน อาหารไทใหญ่」。直訳すると「ピンさんのお店・ナムギャオ カオフン タイヤイ料理」という長ったらしい店名。
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見た目は屋台に毛が生えた程度の安食堂風情だけど店頭にはそこら辺のタイ食堂では見かけないミャンマー屋台でよく見る揚げシャン豆腐なんかが並ぶ。看板やメニューにミャンマー語とかタイヤイ語はないけど見た目はクロントイやサムロンにありがちなタイヤイのお店だ。
ここでもカノムチンとクイティアオが選べるがもちろんクイティアオを選択。ナムギャオ自体は結構あっさりめだけど結構辛い。そしてクイティアオはカノムチンを太めにしたような見た目。茹で置きだったのでコシのようなものはないけど不思議なモチモチ感がある。
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この不思議なクイティアオの生麺(茹で置きだけど)を見せてもらった。やや太めの麺がねじれた状態で置かれてる。麺同士がくっついてる感じはカノムチンだ。そしてこの麺、自家製らしい。作り方まで聞けなかったけどカノムチン式に押し出しで作るんだろうか。
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