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🟨 日本人の9割が知らないタイ飯⑥ 〜それ行けハラルフード〜 🟨


ハラルフードって?

バンコクの中心部にいるとあまり気がつかないけど、少し郊外に行ったりチャオプラヤ川沿いの路地裏に入るとハラル印のお店に出くわすことが多い。ハラルフードってなに?って人もいると思うので簡単に。

イスラム法で許された項目をいう。端的にはイスラム法上で、行って良い事や食べることが許されている食材や料理を指す。日本語に訳すと、「合法的にある法律に基づいてやる事(許可)」という意味となる。

ウィキペディアより

ちなみに豚がNGってことは知られてるけど豚以外にもNG食材はある。イサーン人にとってはお馴染みの食材がけっこうあったりする。

犬、牙を持つ動物(ネコ科の動物や熊、猿など)、捕食動物(猛禽類など)、害虫(ネズミやゴキブリなど)、毒をもつ動物(ヘビやサソリ、蜂、フグなど)、シラミやノミなどの不快な虫、陸上と水中を行き来する生物(両生類、ワニ、亀など)、ロバやラバなどもハラム(許されざるもの=使用禁止)とされています。

ハラル宿泊・飲食ビジネスより

タイのムスリム

Indonesia Mosque | مسجد

タイのムスリム(イスラム教徒)は仏教徒に次いで2番目に多いと言われてるけど仏教徒が90%以上いるのでやっぱりマイノリティ。ムスリム人口は220万人(3.1%)とも740万人(10.6%)とも言われ数字がバラバラ。()

タイ国内のムスリムのうち18%がヤラー、パッタニー、ナラティワートを中心としたタイ南部に住んでる。その他は全土に広く分布してる。タイ南部のムスリム人口比は30.4%。()
一方タイ北部のムスリムは、雲南から交易などで渡来した中国人に由来する。現在の総人口は1万人程度。タイに住む雲南系中国人の約1割、北タイの総人口の1.53%がムスリム。(※)

タイ国イスラム財団センター มูลนิธิเพื่อศูนย์กลางอิสลามแห่งประเทศไทย

バンコクでは古くはアユタヤ時代からトンブリ、バンラック、チャルンクルン通り沿いにムスリムが多くいた。その後、タイ南部から連れ去られて来たムスリムが増加。現在ではバンカピ、ミンブリ、ノンジョークに多くのムスリムが住むようになった。

Nurul Islam Mosque มัสยิดนูรุ้ลอิสลาม
タイ国イスラム財団センター มูลนิธิเพื่อศูนย์กลางอิสลามแห่งประเทศไทย

ムスリムはどっから来た

タイのムスリムをタイへ来た経路で分けると大きく分けて6つ()。①マレー系、②ペルシア系、③ジャワ系、④クメール(チャム)系、⑤南アジア(インド)系、⑥中国(雲南)系。

①パタニ王国を中心とした深南部のムスリム。ラマ1世時代にタイに併合。この時、多くのムスリムが労働力や兵士としてバンコクに強制移住させられた。いまでも多くのマレー系ムスリムがバンコクの運河沿いに住む。

②アユタヤ時代に来て定住したペルシア系アラブ商人。商人出身ながらもタイの宮廷に入り貴族階級として権力を手にした層も多い。ラタナコーシン朝の有力貴族ブンナーク家の祖先もアユタヤ時代のペルシア系ムスリム。

③ラマ4世時代にタイに来たジャワ(インドネシア)系ムスリム商人が起源。その後出稼ぎ労働者として多くがタイへ移住し多くは同化した。

④アユタヤ時代母国チャンパー王国(クメール)をベトナムに滅ぼされたされたチャム人が移住。

⑤アユタヤ時代に来たインド系ムスリム商人。タイとイギリスの不平等条約によって富を築く。ラマ4世時代にパキスタン、アフガニスタンからもタイに来て定住。スクムヴイットのソイナナの通り名となった大地主のナナ一族は19世紀後半にベンガルから来たムスリム商人。

⑥19世紀後半から20世紀に交易(馬幇交易)のためにタイ北部に陸路で訪れた商人。その後、1950-60年代初頭までに中華人民共和国成立と国民党敗走によって集団移住したのが第二波。第三派はそれ以後のミャンマーにおける反政府活動やタイ政府の反共ゲリラ政策から生じた移住。

①は、商人出身ながらもタイの宮廷に入り貴族階級として権力を手にした層も多い。一方②は、人口的には多いけど奴隷的労働に従事して社会的底辺層になった。


タイ料理のハラルフード

これらの経路ごとに、カオソイ、カオモックガイ、ゲーンマサマンなどのハラルフード系のタイ料理を分類してみると。

クイティアオゲーン、カオクルックジャワ(カオクルックカピの原型とされる混ぜご飯)、マタバ、サテー。()、これ以外にはカオモックガイ、ゲーンマサマンなどは、③のムスリムによって伝えられたらしいけど、多くがタイ南部由来のマレー系メニューとかぶる。

⑥の雲南ムスリム系メニューはカオソイくらいかな。あとはカオフン(トーフヌエ)も雲南由来でチェンマイのハラル食堂にはあったりするけど。

これまで当企画では中国由来のタイ料理を「中国系タイ料理」と名付けて、タイにもともとあった土着の「ルーツ系タイ料理=ジャングルフード」と呼んできた。

じゃあハラル印のタイ料理をどう呼んだらいいのか。「ハラル系タイ料理」と呼んでもいいかもしれないけど、由来もいろいろで調理法もいろいろ。1つのカテゴリーに括るのは難しいかも。


🔸カオソイ

カオソイは雲南発祥の麺料理だが元々はココナツ不使用。いま現在チェンマイで食べられてるようなココナツミルク入りのカオソイは1945年にムスリムじゃないタイ人が独自に考案したレシピ。

カオソーイ フンファー

🔸カオフン(トーフヌエ)

中国雲南発祥の麺料理。ひよこ豆の粉で作ったペーストに米麺(小麦麺)を入れる。タイヤイ(シャン)にも同じメニューがある。

ร้านฮาบิ๊บ

🔸カオモックガイ

いわゆるチキンビリヤニ。ビリヤニは古代ペルシャが発祥とされ、インド、ミャンマーなど多くの地域で食べられるけど、タイへはアユタヤ時代にイスラム商人が持ち込んだと言われてる。

ファーラン อาหารอิสลาม ฟ้าลั่น

🔸ゲーンマサマン

CNNのおかげで一躍有名になったメニュー。それ以前はタイ人の間でもあまり知名度はなかった。アユタヤ時代のペルシャ人の影響とかタイ南部を訪れたアラブ人が起源など諸説あり。いずれにしても古代からある土着の「ルーツ系タイ料理=ジャングルフード」ではない。

Pier21

🔸クイティアオゲーン

スープにカレースパイスを入れたクイティアオ。クイティアオケークとも呼ばれる。19世紀にオランダ人が連れて来たインドネシア人によりもたらされたインドネシア料理の一つ。タイのハラルフードのお店で食べられる。

นิหนับก๋วยเตี๋ยวเรือรสเด็ด สาขา2 (ตลาดใหม่มีนบุรี)

🔸クイティアオカティ

クイティアオゲーンからカレースパイスを抜いたようなココナツミルクだけのスープのクイティアオ。他のハラルフードと違って外国由来ではなくタイのバンコク周辺で舟で売られてた麺が起源。

นิหนับก๋วยเตี๋ยวเรือรสเด็ด สาขา2 (ตลาดใหม่มีนบุรี)

🔸カオカーウア

どこの由来だか調べても不明なメニュー。提供してるお店も少ない。甘辛醤油味で美味しい。カームーは元々中国由来のメニューなので、カームーを食べたいムスリム向けの代用食か。

Wardah Beef Rice

🔸クイティアオカーウア

これもカオカーウアと同じくレアなメニュー。甘辛醤油味も同じ。個人的にはカームーと同じく濃いめの甘辛醤油味はクイティアオ向きじゃないと思う。やはりカームーの代用食かも。


ハラルフードコート

バンコク都内に数多くあるフードコートの中でハラルフードを提供するお店があるところがけっこうある。その中でもハラルフードの出店が多いスポットを紹介。

🔸MINI PLAZA RAMAKHAMHEANG 59

ラムカムヘン通りソイ59にあるフードコート。出店してる飲食店が100%ハラルフード。ここのお客さんは目の前にあるラムカムヘン大学の学生が圧倒的に多い。

いくつかのお店のメニューにはハラル印はもちろん、タイ語とマレー語が併記されている。これって、マレーシアからの留学生向け?

🔸Nopphamat Food Court

ラムカムヘン大学のいわゆる学食。全店ではないけど場所柄かハラルフードのお店が多い。学生の中のムスリム率が高いのか、ムスリムの留学生が多いのか。

大学内のそれほど大きくないフードコートだけど、ハラル印のお店が数軒あってムスリムの学生も目立つ。

🔸ハッピーランドセンター

バンカピのショッピングモールハッピーランド内のフードコート。バンカピ区もムスリム率が高い街。3割くらいのお店がハラルフード。

フードコートの一部がハラルフードコーナーになってる。お店の看板が黒いのがハラルフード。

🔸ミンブリマーケット

バンコクの東郊ミンブリ市場内のフードコートエリア。ミンブリ区はお隣のノンジョーク区と並んでバンコクで最もムスリム人口が多い。フードコートの半分くらいがハラルフード。

フードコートの隣でヒジャブやムスリム服を売ってるお店もあったりする。


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