「炭火の特長は赤外線」ではない
炭火だけがもつ最大の特長は「ミクロの灰」にある。
と私は考えています。
ネットにあまり書かれていないけど重要なポイントなので、簡潔に書いておこうと思います。
炭火のうまさ = 赤外線 × 灰
炭火のうまさは誰もが知るところです。
もちろん豊富な赤外線量も、炭火焼きのおいしさを作る重要な要素です。
ただ、ほかの熱源には決して真似ができないもっと重要な要素があります。
目には見えない「ミクロの灰」です。
炭火のおいしさは、赤外線と「灰」が作っている。
薪火より細かい目には見えない微粒子の灰が食材に付着するから、他の熱源よりカラッと焼きあがる。
また灰が脂を分解し、脂のうまみを舌が感じやすくなるんです。
赤外線だけマネしても、炭火にはならない
例えば、炭火焼きのおいしさを目指した電熱器やグリルもありますよね。
でも実際に使ってみると何かが違うんですよね。
赤外線だけに注目しても、炭火のような焼き上がりや風味にはなりません。
なぜなら肝心の灰が出ないから。
また、一般に炭火はガス火と違ってカラッと焼き上げられると言われます。
炭火に水分を含まれていないことも確かにありますが、これも目には見えないミクロの灰が作っている食感の1つです。
赤外線だけマネをしても、炭火には近づいたことにはなりません。
赤外線と灰がつくる、独特の風味と食感
炭火が持つ豊富な赤外線とミクロな灰は、独特の風味と食感を作ります。
たとえば、
・カラッとした、表面の焼き上がり
・食感として、脂が軽く感じられる
・素材そのもの脂の香りが立つ
などなど。
灰は独特な食材表面をつくり、人間の舌にも影響を与えています。
また「行きたい!」と思わせるあの香り。
お腹がすくと思い出すのはまず、過去に食べた食事の「香り」ですよね。
炭火焼きが作る強い香りは人間の記憶に残りやすい。
その香り・味覚は「灰」が作っているといっても過言ではありません。
炭火を使うとき、ぜひ「灰」にも注目してみてください。
ではまた!
今回の参考文献
①『灰の文化誌』 小泉武夫 株式会社リブロポート
②『灰に謎あり 酒・食・灰の怪しい関係』 小泉武夫 NTT出版
③『アノスミア』 モリ―・バーンバウム 勁草書房
Writer:
ホンダタロウ/炭火研究家 @HIROBIN
ふだんは備長木炭の生産→流通→消費のうち、
「流通」を担っています。
世界の伝統文化・アート・JAZZが好きです。
Instagram:@hirobin___taro.honda___
twitter:@sumibinogakkou
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