試しに「デザイナー」を自称してみるという選択肢
僕が“デザイナー”と名乗りはじめた頃のこと。
フリーランスのデザイナーとして独立してから、気づけばもう10年。だけど、「デザイナーです」と人に言い始めたのは、まだ大学生の頃、ポートフォリオを組み立てていた時期でした。その瞬間、僕は心の中で「今日から自分はデザイナーとして生きていく」と決めていました(なんとなくですが)。資格もなければ特別な称号もない、ただ「そう名乗る」ことからスタートしてみました。
デザイナーになるのに、公的なライセンスや第三者の許可は必要ありません。誰かに承認を求める必要もない。自分が「デザイナー」と宣言するだけで、その役割は自分のものになるわけです。もちろん、その後に求められる行動や結果は簡単ではありませんが、最初の扉は思いのほかあっさりと開けるものです。
名乗ることがもたらす変化
デザイナーと宣言した日から、周りの反応がとても気になりました。表面上は変わらないようでいて、でも実際には相談される機会が増えたり、自己紹介のときの空気が微妙に変わったりしました。同時に、自分自身の意識も一変しました。「デザイナー」であるなら、その名に見合うレベルの仕事や振る舞いが求められる、と自然に思い始めたんです。
そのプレッシャーが新たな学びへの意欲につながり、スキル向上のモチベーションを高めてくれました。最初は不安定でも、そうやって少しずつ「名乗ること」が自分の成長を後押ししてくれた気がします。
名乗るという自由と伴う責任
言葉ひとつで肩書きを手にする自由は、誰もが持っています。でも、それを続けていくには責任が生じるのも事実です。クライアントの期待に応えられるか、新しい技術や表現方法を習得できるか、といった課題が次々と現れます。この「肩書きにふさわしくあろうとする意識」は、結局のところポジティブなプレッシャーで、成長へのきっかけになるのだと思います。
たとえ小さな称号でも、それを掲げることで自分の可能性に気付いたり、新しい挑戦の場を見つけたりできるものです。
デメリットもあるけれど、それも糧になる(と思う…!)
もちろん、名乗ることで「実力不足」と批判されたり、相手のハードルが上がってしまったりするリスクも否定できません。けれど、そうした状況は自分を研ぎ澄ます良い機会にもなります。期待や疑念の目に晒されることで、自分自身を磨き、高めていく原動力が生まれるんです。
「偽物だ」と言われることを恐れて何も始められないより、まずは名乗ってみて、その上で努力していく方が、はるかに豊かな経験につながります。
新しい景色を見るために、まず名乗ってみる
「デザイナーになろう」と思った瞬間に、その道は開けています。肩書きを口にすると、驚くほど自分の見方や行動が変わっていくのを感じるでしょう。それが新たなチャンスをもたらし、あなたを成長へと導く可能性を秘めているのです。
僕が「デザイナー」と名乗った日、世界が少しだけ広がった気がしました。その感覚は今でも鮮明です。もし、迷っているなら、勇気を出して名乗ってみてください。その小さな決断が、新しい景色を見せてくれるかもしれませんよ。