【絵本レビュー】 『おとなしいめんどり』
作者/絵:ポール・ガルドン
訳:谷川俊太郎
出版社:童話館出版
発行日:1994年2月
『おとなしいめんどり』のあらすじ:
むかしむかし、ねこと犬とねずみとおとなしいあかいめんどりが、小さな家に住んでいた。ねこも犬もねずみも一日中寝てばかり。ごはんを作り、そうじをするのは、おとなしい赤めんどり。ある日小麦の種が見つかって…。
『おとなしいめんどり』を読んだ感想:
東京周辺の皆様、昨日の地震大丈夫でしたか。私の母はお風呂に入っていたそうで、慌てて飛び出たと話してくれましたが、さてそのような状況ではパジャマを着るんでしょうか。それとも避難することを考えて昼間着ていた服を着るのでしょうか。母は裸で飛び出して、収まったからまたお風呂に入り直したと言っていました。大規模な被害がなくて何よりです。
さて、おとなしいめんどりは私かもしれません。朝から幼稚園のお迎えに行く三時四十五分まで私は突っ走っていました。午前中は二つのミーティングをこなし、週末の息子の誕生パーティーに来てくれる子供達へのお返しプレゼントとラッピングペーパーを購入。ついでにプレゼントも一つ追加。帰ってからプレゼントを全部包んで、その間旦那に頼んでおいた昼食のオーダーがされていなかったことが発覚したので、ラッピングしながら注文。来た食事を十五分で掻き込み、クライアントさんに会いに走り、そのまま息子を迎えに行きました。旦那も呼び出して三人でケーキを食べ、息子のリクエストで公園へ。寒くなったのでプレゼントをダシに家に帰ろうとする作戦が効かず、うちの下のレストランのお姉さんが息子にご馳走すると言っていたと伝えると、ようやっと家に向かうことができました。家に帰って来たら旦那はさっさとソファで寝てしまい、私は一人で息子のプレゼント開けにもそれで遊ぶのにも付き合って、夕飯を食べさせ、シャワーを浴びさせ、絵本を読んで添い寝。やっと自分の時間と思ってリビングに戻ると、旦那がNetflixを見ている。いいんですけどね。でもなんとタイムリーな絵本なんでしょう。
めんどりと私の大きな違いは、めんどりは手伝いを頼んでいることです。「だれか!」と大きな声をあげています。でも私はしていません。「どうせ忙しいから」と先読みして呼びかけることさえしていません。そのくせ自分で全部背負っている気になってイライラしているんです。そう、イライラの原因は私自身なのです。
その証拠に、私が土曜の息子の誕生パーティーの準備について旦那に報告している時も、私は旦那はただの運び役と勝手に想像していました。特に向こうから何を準備するかという案が出なかったので、私の頭の中では「=興味ない」という数式ができていたのです。だからきっと口調も、「私が全部やらなきゃいけない。ああ、ストレス〜」という具合だったのだと思います。
突然旦那が、
「あ〜、なんてかわいそうな風の子ちゃん。誰もあなたのために手も貸してくれないで、あなたはかわいそうな被害者」
そう言いながら私の背中をさすりました。
「あれっ?」
そこで気がついたんです。私は旦那に一度も何も頼んでいなかったことを。
「サンドイッチなんて面倒だよ。ブリオッシュを機械で作ったら、一キロくらいできるからそれでいいんじゃない?」
そう言われて私は、ストレスで上がっていた肩がストンと落ちた気がしました。そうなんだ。私は助けを求めることを知らないんだ。
頼んでも「いやだよ」って言われたら仕方がありません。でも頼まずに一人でイライラしているのもバカらしいですよね。頼んでも相手にしてもらえなかったら、もちろん焼いたケーキは自分で食べます。頼まないでいて焼いたケーキを相手が食べていたら、イライラ度はマックスになると思います。でもそれは相手のせいじゃないんですよね。
「だれか!」っていう練習を少しずつして行きたいと思います。白旗でも作っちゃおうかな。コミュニケーションってとても大事なのに、難しいですよね。
『おとなしいめんどり』の作者紹介:
ポール・ガルドン(Paul Galdone)
1914年、ハンガリー・ブダペスト生まれ。1928年にアメリカへ渡る。美術学校で学んだ後、出版社勤務を経て、絵本作家となる。1986年に亡くなるまでに、昔話や自作の絵本をはじめ、300冊近くの本に絵を描いた。 おもな絵本に、『いたずらこねこ』『3びきのくま』『ふくろのなかにはなにがある?』『ガルドンのながぐつをはいたねこ』(以上、ほるぷ出版)、『ちいさいちいさいおばあさん』『まほうのなべ』(童話館出版)、『やぎのブッキラボー3きょうだい』(小峰書店)などがある。