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【絵本レビュー】 『ごきげんならいおん』
作者:ルイーズ・ファティオ
絵:ロジャー・デュボアザン
訳:むらおかはなこ
出版社:福音館書店
発行日:1964年4月
『ごきげんならいおん』のあらすじ:
ある町の動物園にライオンが暮らしていました。安全で楽しく、見物人も親切で、ライオンは動物園でいつもごきげん。ところがある日、檻のカギが開いていたので、動物園をぬけだし町に出かけてしまいます。いつもライオンを見物にきていた町の人たちはライオンを怖がって一目散に逃げ出してしまいます。ライオンをつかまえようと消防車まで出動して町は大騒ぎ! 消防士たちが長いホースをつかってライオンをつかまえようとしたそのとき……。
『ごきげんならいおん』を読んだ感想:
大人になるに連れ友達を作るのが難しくなる、そんな話をつい最近していました。子供を介して知り合った人は友達なんでしょうか。会社で知り合った人は同僚それとも友達なのかなどと考え始めると、自分を主軸にした友達関係が築きにくいように思われます。子供や旦那のことを取ってしまったら何にも話す話題がない、そんな気がするのです。
そもそも私は「友達」という言葉に難しさを感じていました。色々な枠内での友達はいたけれど、その枠を外してしまったら全くの異人ということもよくあり、小学校くらいの時から「友達ってなに?」という疑問があったように思います。小学校の頃はまさにこのごきげんならいおんのように友達に自ら歩み寄り、その結果逃げられる、そんな日々だったように思います。でもクラスという枠内にいる中で、いじめられていたというわけでありません。枠内にいる限りはみんなと遊べるし、毎日問題なく過ごせていました。問題はないはずなのに、みんなと楽しくできていたはずなのに、いざ「二人組になりましょう」となるとあぶれてしまうのです(女子はクラスに十一人でした)。そうなると私の頭の中にははてなマークがヒラヒラと舞い散るわけです。
だから中学入学を機に私は友達を探すのをやめました。話しかけてくる人と話して、自分から歩み寄るのをやめたのです。皮肉なことに、そうしたら人が近寄ってくるようになりました。小学校のように二人組になることはあまりなくなったけれど、それでも何かグループを作るとき「誰も声をかけてくれなかったらどうしよう」などと考える必要も無くなりました。周りにいた人たちが違うのか、中学生になってみんな大人になったのか、それとも私の態度が変わったからなのかは今もわかりません。でも私は私の「家」の中にいて、ニコニコしているみんなを見ている方が嬉しかったのかもしてません。
もう考えなくてもいいかなと思っていた、「友達って何」の扉をこの絵本に開けられたような気がします。
『ごきげんならいおん』の作者紹介:
ルイーズ・ファティオ(Louise Fatio)
1904年スイス ローザンヌ生まれ。ジュネーヴの女子大を卒業後、画家のロジャー・デュボアサンと結婚。その後、夫とともにアメリカに移住。夫婦コンビで本書シリーズ第1作目となる『ごきげんなライオン』(福音館書店)、童話作家として、『ペンギンのヘクター』(童話館出版刊)、『マリーのお人形』(BL出版)などの作品を生み出した。1993年没。
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