【絵本レビュー】 『サンタさんのおとしもの』
作者/絵:三浦太郎
出版社:あすなろ書房
発行日:2020年11月
『サンタさんのおとしもの』のあらすじ:
さむいさむいクリスマス・イブの夜のこと。町にお使いに出ていた女の子がサンタさんのてぶくろを拾いました。女の子は、サンタさんに届けようとしますが…。
『サンタさんのおとしもの』を読んだ感想:
三浦太郎さんといえば、息子がまだ一歳になる前によくお世話になった作家さんですが、少し大きな子向けのお話もあるんですね。このまま部屋に飾ってしまいたいような素敵なイラストにも目を惹かれました。
我が家には基本的にサンタは来ません。「サンタはいません」と断言したわけではないけれど、毎年プレゼントを渡す時にもあえて「サンタから」と言ったこともありません。それでも最近では幼稚園でサンタの話がよく出るらしく、この数週間はサンタの話題ばかりです。
今も寝かしつける際に、
「ママはプレゼントなにがほしい?」
「〇〇が買ってくれるの?」
「ちがうよ。サンタがもってきてくれるでしょ。」
「う〜ん。どうだろう。ママのところに来たことないから。」
「〇〇のとこにもきたことないね。」
「いません」というのも期待しまくっている息子に申し訳ないし、かと言って「毎年サンタが来るからね」と言う気にもなれず。。。やれやれ。
ドラゴンは空想の生き物と理解しているのに、サンタはなぜいると思うのでしょう。いると信じたいのかもしれませんね。だって、私の欲しいものを知っていて、クリスマスイブの夜世界中の子供達にプレゼントを配るなんて、すごく素敵じゃないですか。そんなおじいさんが空飛ぶトナカイに乗ってくると思うと、私だってワクワクします。
私のうちでサンタには話題にも登りませんでした。小学校に入ったらクラスでサンタのことを話す子たちがいて、そういえば映画で見たことがあるなあと思ったものでした。映画や絵本で見るものだったので、まさか本当にいるとは思ってもおらずビックリしたのですが、もしかしたらいるのかもしれないとある時考え始めました。それでクリスマスイブの日、家に帰るなり父に言ったんです。
「今からひるねをするよ。ねている間にサンタが来るかもしれないよね。」
それに対し父は、
「日本にはサンタはいないぞ。寝ても無駄だぞ。」
それでも私は父が嘘をついているかもしれないと思って、布団に入りました。寝入ったふりをしていたら、サンタなり父なりがやって来るかもしれないと思ったのですが、どうやら私は本当に寝てしまったようです。しばらくして目を覚ましベッドから跳ね起きましたが、プレゼントの箱は見当たりませんでした。もしかしたら別な部屋にと思いましたが、家中どこにもなにもありませんでした。
ダイニングルームで新聞を読んでいる父に、
「サンタ来なかったの?」と聞くと、
「来るわけないだろ。」
とつれない返事。そして翌日のクリスマス、私は父と母から直接プレゼントを渡されたのでした。
私のサンタ夢物語は一日で終了し、それ以降話題にすら登りませんでした。サンタこそ来なかったけれど、私はうちのクリスマスがそれなりに好きでした。ツリーは毎年飾ってあって、ある年からは庭に植えたクリスマスツリーによく似た木に灯りをつけました。その飾りが私は大好きでした。家に本物のツリーがあることがとても誇らしかったのです。そして夜は大抵父がジャズのクリスマスソングを大音量で鳴らし続け、母がオーブントースターでラムを焼くのがいつからかうちの風習となりました。シンプルだけど、どこか個性的な、うちらしいクリスマスだったと思っています。
さて、私たちは息子にどんなクリスマスの思い出を作ってあげられるのでしょうか。
みなさんのクリスマスはどうですか。
『サンタさんのおとしもの』の作者紹介:
三浦太郎
1968年愛知県生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業後、イラストレーターとして活動。 ボローニャ国際絵本原画展で入選を重ね、スイス、イタリア、スペインなど海外でも絵本を出版。 絵本作品に、『くっついた』『ゴリラのおとうちゃん』(こぐま社)、『ちいさなおうさま』『おおきなおひめさま』(偕成社)、『バスがきました』(童心社)、『おしり』『よしよし』『りんごがコロコロコロリンコ』(講談社)など多数。
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