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【絵本レビュー】 『ぼく、仮面ライダーになる! ゼロワン編』
作者/絵:のぶみ
出版社:講談社
発行日:2019年11月
『ぼく、仮面ライダーになる! ゼロワン編』のあらすじ:
かんたろうは、仮面ライダーになりたいんです。
どうやったらかっこいヒーローになれるでしょう。
「これからは、AIがどんな仕事もやってくれるようになるから、
自分で考えて行動できる子にならなきゃ!」
ママにそう言われると、かんたろうは・・・?
『ぼく、仮面ライダーになる! ゼロワン編』を読んだ感想:
「おお仮面ライダー!」と反応したのはもちろん貸してくれたママ友達と私だけで、うちの4歳児は「おおっ」とも言ってくれませんでした。残念。
自分で考えて行動できる子になってほしい、というのは私としても理想なのですが、自分だけで考える子にはなって欲しくないなと思うのです。一人で解決することだけが方法でなくて、周りにいる人にコミュニケーションが取れて、頼ることもできる子になってほしいです。
かんたろうは仮面ライダーの助けと「できる、できる、できる」を信じていじめっ子をやっつけたけれど、私だったら息子にどうしてほしいだろう。もしいじめっ子が彼よりずっと上の子だったらどうしよう。
私は、小学校5、6年の担任の先生が私を好きでなかったのを知っています。私がまだ4年生だったとき、その先生は6年生の担任で、自分のクラスの一人の女の子に意味もなく怒鳴りつけているのを見ました。他に何人か子供たちがいて、そのうちの一人は私の同級生のお姉ちゃんでした。子供たちは先生に冗談を言ってからかっていて、先生も大笑い。特に私の同級生のお姉ちゃんには「〇〇さんひどいなあ、先生のこと笑うなんて」なんて言いながらもニコニコしていました。ところが、その先生の顔が別の女の子の顔を見た途端笑いが引き、急に起こり始めたんです。「〇〇!先生のことを笑うとは何事だ!」その女の子の顔がみるみる崩れ、俯いて泣き始めてしまいました。先生は怒ったままで、場はすっかり白けてしまいました。私はそこからちょっと離れたところにいたのですが、その状況を見て急に怖くなりました。そして1年後、その先生が私たちの担任になったのです。
先生に好かれていないと確信したのは、ある事件がきっかけでした。クラスであまり好かれていなかった女の子がいて、みんながなんとなく避けていたんです。授業中その子がちょっと失敗をして、私を含めクラスの大半が笑いました。その時、「〇〇、立ちなさい!」私の名前が呼ばれました。私はびっくりして先生の顔を見たのですが、先生の顔は厳しく怒っています。前に見たのと同じ顔。私は恐る恐る立ちました。「なんで笑ったんだ!」クラスはしんと静まり返っていて、私は一人立ちん坊となり、そのあとたっぷり10分ほど先生から責められました。親にも言えず、それから卒業まであまり目立たないよう過ごしました。ところが先生の意地悪はそれだけでは済まなかったのです。
私は中学を受験したのですが、なぜか面接で聞かれるのが「学校でお友達はいますか」なんです。一校目でも二校目でも聞かれました。「はい」と答えても面接官は首を傾げ、どうしてか面接で落とされます。父に聞かれました。「お前、学校で何したんだ?」思い当たることはありません。当時内申書を持って受験に行くのですが、私たちは中を見ることができません。父も私もどうすることもできず悩んでいた時、最後に受けた学校の先生が言ったんです。
「内申書によると、社交性に問題があり友達がいない、とありますが、どういうことですか」
一緒にいた父と母が一生懸命弁明してくれました。面接担当の先生も「普通はあまりこうゆう風には書かないので聞いてみました」と言ってくれたので救われましたが、私は担任の先生がたった12歳の子供に対し権力を使ってその将来を遮断しようとしていた、ということを知り背筋がゾッとしたことを今でも覚えています。
私は結局その先生のことを親には言えず大人になってしまいました。どうせ信じてもらえないだろう、というのが私の考えでしたが、もし息子に同じようなことが起きたら話してもらえるように、今から話せる環境を作っておきたいなと思っています。
その先生は現在では小学校でもかなり高い地位についたそうで、私もそのお祝いを兼ねたクラス会に参加したのですが、全く祝う気持ちにはなれませんでした。いいですよね、それでも。
『ぼく、仮面ライダーになる! ゼロワン編』の作者紹介:
のぶみ
1978年、東京都生まれ。「ぼく、仮面ライダーになる!」シリーズ(講談社)や、「しんかんくん」シリーズ(あかね書房)、「おひめさまようちえん」シリーズ(えほんの杜)、『うんこちゃん』(ひかりのくに)など、170冊以上の絵本を発表。『ママがおばけになっちゃった』は40万部を超えるベストセラーに。ほか、NHK「おかあさんといっしょ」では、「よわむしモンスターズ」を、NHK「みいつけた!」では、「おててえほん」のアニメーションを担当。EXILEのUSAや漫画家・森川ジョージとのコラボレーション絵本の出版、内閣府「子ども・子育て支援新制度」(すくすくジャパン!)シンボルマークを手がけるなど、幅広く活躍している。Facebook、Twitterで積極的に情報を発信。
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