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【絵本レビュー】 『おれはティラノサウルスだ』

作者/絵:宮西達也
出版社:ポプラ社
発行日:2004年1月

『おれはティラノサウルスだ』のあらすじ:

むかしむかしおおむかし。まだじょうずにとべないプテラノドンの子がいました。そこへおそろしいティラノサウルスがあらわれて…。


『おれはティラノサウルスだ』を読んだ感想:

小学生の時、母が他のお母さんと話をしているのを聞きました。

母:「言うこと聞かなくて主人に怒られてばっかり」
お母さんS:「そんなもんよ。子供はね、外ではちゃんとするから。外に出た時いい子ならいいの」

Sさんはそう言って私を見てニコッと笑いました。私はその後、家では不良街道まっしぐらとなりました。返事の仕方が悪いとか、「はい」に心がこもってないとか、親を見る目つきが悪いとか。はい、私はドラマで見るような典型的不良生活を家で送っていたのです。そして私の口癖は「今やる」。
「制服を吊るしなさい」/「今やる」
「お弁当箱出して」/「今やる」
「洗濯物部屋に持って行って」/「今やる」
「食べた食器洗う番でしょ」/「食べたばかりだから、ちょっと休んでから」
どれもすぐしたことはありません。理由はその時他のことをしていたから。でも、一人暮らしをするようになったら聞こえて来たんです、両親の声が。もちろん最初は「今やる」だったのですが、しないでいたら気づくとアパートが大変なことに。それ以来は本当に「今すぐ」やることにしました。今の口癖は「今しないとしないでしょ」です。頭の中にめんどくさい菌が発生していても、「あとじゃしないよね」パンチを喰らわせるようにしているのです。今のところ、効き目はバッチリ。

人との関係でも同じです。「買い物に付き合うことが優しさじゃないよ。来たいから来て一緒に楽しむほうがいい」と母が言っていたことは今でもよく思い出します。あとは「自分が好きじゃないと思ったら、相手もそう思うよ」と言うことです。その時は家庭内不良だったので、「何を言ってるんだか」なんて思っていましたが、大変役に立っていますこの言葉。特に後者は、あの鉄のハートのティラノサウルスに効いたのですから人間に効かないことはありません。ティラノサウルスもプテラノドンの子にもっと愛を注いで欲しいと思ったに違いありませんよね。

今は右の耳から左耳にスルーしている私の言葉たちですが、いつの日か息子が思い出して実行してくれるといいです。

『おれはティラノサウルスだ』の作者紹介:

宮西達也
1956年静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。「きょうはなんてうんがいいんだろう」(鈴木出版刊)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。「パパはウルトラセブン」(学研刊)などでけんぶち絵本の里大賞を受賞。「おとうさんはウルトラマン」(学研刊)などの作品がある。 「ティラノサウルス」シリーズ初の幼年童話!


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