【絵本レビュー】 『おまえうまそうだな』
作者/絵:宮西達也
出版社:ポプラ社
発行日:2003年3月
『おまえうまそうだな』のあらすじ:
おなかをすかせた大きな恐竜が、あかちゃん恐竜を見つけてとびかかろうとすると…。お父さんにまちがえられた大きな恐竜と、あかちゃんの愛情の物語。
『おまえうまそうだな』を読んだ感想:
「恐竜好きだよね息子くん」という軽い気持ちで手にしたのですが、大間違い。なんとまあ心の温まるお話ではないですか。侮りすぎていました。
赤ちゃん恐竜を食べるつもりでいたティラノサウルスが、いつしかありったけの愛を込めて一人前の恐竜に育てようとしているというところ、なんだかうちの旦那と息子のようではないですか。息子がまだ歩きも話しもしなかったイモムシ時代を思い出してしまいました。夜泣くと起きるのはいつだって私。その間も気づきもしないでグースカプー。あやすように頼めば、「君の方が上手でしょ」っとさっさと諦める姿にこめかみはピキピキとしっぱなしでした。
やっと歩くようになって、話も少しできるようになった頃、息子はどんな時でも「ママ、ママ」と言って旦那を拒否するようになりました。「俺は奴隷かよ」とふてくされる旦那とママしか見えてない息子の間に挟まれ、一人になりたいと切に思う私がありました。それでもおだてて、なだめすかしてなんとか手伝わせているうちに、息子は「パパ、パパ」ということが多くなりました。最近でも仕事でイライラしていた旦那に、「パパ機嫌が悪いの?」と心配する息子の姿がありました。それを報告する旦那の目はハート形。今この瞬間も二人で口を開けてYouTubeで車を作る動画を見ています。
息子が独り立ちして家を出て行く時が来たら、旦那の方が大泣きするんじゃないかな。
『おまえうまそうだな』の作者紹介:
宮西達也
1956年静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。「きょうはなんてうんがいいんだろう」(鈴木出版刊)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。「パパはウルトラセブン」(学研刊)などでけんぶち絵本の里大賞を受賞。「おとうさんはウルトラマン」(学研刊)などの作品がある。 「ティラノサウルス」シリーズ初の幼年童話! 5月下旬発売予定 「あなたをずっとあいしてる」 宮西達也 作・絵 ポプラ社刊 定価:本体1000円<税別>
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