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【絵本レビュー】 『ぼくのスカート』

作者/絵:ピーター・ブラウン
訳/監修:日高庸晴
出版社:小学館
発行日:2023年2月

『ぼくのスカート』のあらすじ:

あなたは、あなたのままでいい

なぜかいつも服を着ないフレッドくん。
あるとき、こっそりクローゼットに入り、おかあさんの服を着て
お化粧もしてみます。

すると「とってもいい感じ!」。
その姿を見た両親は、どうするのでしょうか?


『ぼくのスカート』を読んだ感想:

幼稚園時代の私は、自分は男の子だと信じていました。髪の毛は肩ぐらいまであったけど、うちにはスカートなんてなくて、いつもズボンを履いていたし上に着ているものもボーイッシュなものが多かったので、よく「ぼくちゃん」と言われていました。そう言われると嬉しくて、「認めてもらえた」という感じがしていました。母も特に訂正することもなく、会話を続けていました。

子供の時に一番苦手だった質問は、「将来何になりたい?」でした。結構大きくなるまで私は、大人は大人という生き物で、子供は子供という生き物。ずっとこのままでいくのだろうと考えていたので、「大きくなったら」なんて、酷く突拍子もない考えに思えたのです。周りの子が「花屋!」とか「野球選手!」なんていうのを聞いて、(それは大人の仕事なのにね)と冷めた目で見ていたように思います。それでもまあよく聞かれたので、いざという時のためになりたいものを考えてみました。たどり着いた答えは、「男の人」でした。
(ああ、やっと将来の夢が見つかった)
ホッとしたけれど、「わからない」という私にそれ以上聞いてくる人に出会わなかったので、結局この夢を口に出していう機会はありませんでした。

私の両親から「女の子なんだから」という言われ方をしたことはないし、スカートや女の子らしい服を押し付けられたこともありませんでした。出かける前に玄関先で「男の子に見える?」って確認すると、二人とも真面目な顔をしてチェックしてくれて、こうしたらとかああしたらなどとアドバイスしてくれたりもしました。

このことについて問題視されたこともなく育った私は一年生になり、制服のある学校に行きました。制服はワンピースだったのですが、特に「嫌だな」とも思わず、普通に着て登校し始めました。中学も高校も制服はスカートでしたからやっぱり違和感もなく来ていましたけど、私服はズボンばかりでしたね。ダーク時代は黒とカーキ色しか着ていなかった気がしますが、服に関して一切親の貫入はありませんでした。特に父とは口論が絶えませんでしたが、「認められていない」と心の底から思えなかったのは、服という形で自分を表現するというところできちんと認められていたせいかもしれません。

この絵本を読んでいて、何をするという行動自体よりも、それをすると決めたあなたの気持ちがどういうふうに受け入れられるかということが大事なのではないかと思いました。

では、また。
アディオース!!





『ぼくのスカート』の作者紹介:

ピーター・ブラウン
1975年、ニュージャージー州生まれのアメリカ人の作家兼画家。
著書に『The CuriousGarden』(『ふしぎなガーデン:知りたがりやの少年と庭』/ブロンズ新社)など多数。
ニューヨークタイムズの最優秀絵本賞や、子どもが選ぶ絵本のイラストレーター・オブ・ザ・イヤーにも選ばれるなど、数々の賞を受賞している。本書は、「早期識字のためのコロラド図書館」(CLEL)による、CLELベル絵本賞の最終候補となった。


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