【絵本レビュー】 『おとうさんのえほん』
作者/絵:高畠純
出版社:絵本館
発行日:1991年3月
『おとうさんのえほん』のあらすじ:
いろんな動物のおとうさんが登場してムフフ、アハハと笑わせたり、 うちのおとうさんにそっくり!とうなずかせてくれます。 おとうさんはどんな気持ちでよんでくれるかな?
『おとうさんのえほん』を読んだ感想:
おとうさんが主役となるような絵本を探していたところ、ママ友達が貸してくれました。いろんなタイプのおとうさんがいて、文字数は少ないけれど色々考えるところがあります。
「おとうさん」と言われるとまず自分の父親やご主人のことを考えるかと思いますが、私もその一人です。最初は息子と読んでいたので、「パパはどれかな」なんて話していましたが、そのあと思い浮かんだのはやはり私の父でした。
私が小さかった頃、父は私のことをどこへでも連れて行きました。まるでパリス・ヒルトンとチワワのように、父は私を連れて行きました。もし彼がハンドバッグを持っていたら、絶対私はその中に入れられていたと思います。スーパーにも行ったし、お墓のお施餓鬼にも、果ては競馬場にも連れて行かれました。週5日のスイミングの送り迎えもしてくれたし、迎えに来るときはいつも着替えとおやつを持って来てくれました。トレーニングが終わって家に帰ったのはいつも9時近くでしたが、夕飯も準備されていて、車の中で着替えた制服は、綺麗にベッドに置いてありました。
父は私のために色々してくれたけど、父がどんな性格の人だったのかは結局わからずじまいでした。私のために色々考えていてくれたことは知っています。勉強に関することなら、惜しまずにお金を出してくれました。でも私は父と遊んだことはないし、一緒に何かをしたことはあまりありませんでした。
中学生になって、父が望んでいた通り「自分の意見を言う」ようになると私たちの関係は悪くなり、私は怒っている父の顔ばかりが思い出されます。母に「パパはあんたのことを一番考えているんだからね」と言われても納得できず、「だったら口でそう説明してほしい」と思っていました。一体父はどう感じていたのでしょうか。なぜいつもそんなに怒っていたのでしょう。
ライオンのお父さんも本当はお母さんじゃなくて自分の顔を描いて欲しかったのに、言えませんでしたよね。子供を怒っておしまいです。私は不機嫌な父からどんどん離れて行ってしまいましたが、「パパ」と構って欲しかったと言うのが本音だったのでしょうか。これが叶わなくて、言えなくて、その裏返しが私に怒りをぶつけるということだったのかもしれませんね。コミュニケーションは難しいと改めて思うとともに、旦那には息子と上手にコミュニケーションをとってほしいなと切に願う会話下手な母なのです。
『おとうさんのえほん』の作者紹介:
高畠純
1948年愛知県名古屋市生まれ。愛知教育大学美術科卒業。「だれのじてんしゃ」(フレーベル館刊)でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞受賞。 他に「ペンギンたんけんたい」「オレ・ダレ」「オー・スッパ」(以上講談社刊)、「だじゃれすいぞくかん」「おとうさんのえほん」(絵本館刊)などの作品がある。