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【絵本レビュー】 『おとうさんはウルトラマン』

作者/絵:みやにしたつや
出版社:あかね書房
発行日:2012年3月


『おとうさんはウルトラマン』のあらすじ:

ウルトラマンが生まれて30年。スーパーヒーローの活躍に胸おどらせた子どもが今お父さんになった…。ウルトラマン世代に向けて放つ、お父さん賛歌。一生懸命まじめで不器用なウルトラ・パパの子育て絵日記。


『おとうさんはウルトラマン』を読んだ感想:

ウルトラマンが生まれてから三十年なんですね。私もウルトラマン世代です。すごいファンではなかったけれど、時々見ていたし、ウルトラマンごっこもしたような気がします。三分しか地球にいられないから、カップラーメン食べれないね〜なんていう話をして笑っていた記憶もあります。

そんな私たちの世代の男子も父となる年代となっています。私の同級生たちの多くも子供がいますが、みんな真面目に働いて、仕事で大変な思いをして、それでも「子供可愛いでしょ〜」などと言っている、まさにウルトラの父なんです。六歳から一緒に育った私たちですから、出会った当時の私たちくらいの子供たちを連れていても、会うたびに小学生に戻ってしまうような気がします。でも一歩家を出れば地球を救うウルトラマンとなるのです。

私にとっても父はヒーローでした。中学生になって私たちの関係は残念ながら壊れてしまいましたが、それまでは父が全てでした。風邪をひいて熱を出せば父が一日中家で看病してくれて、視力が悪いと聞けば都内で一番大きな眼科へ連れて行ってくれて、塾は信用ならんとありったけの問題集を買ってきて必死に勉強をみてくれた上、週五回のスイミングの送り迎えもしてくれました。四、五歳の時の予防接種では怖くて怖くて、
「パパに打ってもらう〜!!」と先生の前で泣き叫びました。

父はいつでも私のためにいてくれたし、「大丈夫」と思わせてくれる存在だったのです。それゆえに、中学に入ってから関係が拗れたまま数年前に父の死を迎えたことは残念でならないのですが、最近は父がウルトラマンだった時のことを思い出す方が多くなってきました。運動会の父兄リレーに立候補し、いきなりバトンを持った右腕をブンブン回しながら走ったこと。スキー教室についてきたのはいいけれど全然滑れなくて、五十歳近くにしてスキーを習ったこと。自慢の車に乗せて色々なところに連れて行ってくれたこと。小さかった私にとって、父は本当のウルトラマンでした。

今、うちにいる五歳児にとってパパはウルトラマンです。
「ぼく、パパみたいにおおきくなったらね。。。」
彼はいつも言います。
幼稚園の先生や友達のお母さんたちにも「パパはこんなことするよ」と話しているので、彼の中ではすごいヒーローなんでしょうね。
「パパはいじわるだからあそばない!」
とプリプリ怒っている割には、二人して全く同じ格好でYouTubeを見て、同じところで歓声を上げているのはなぜでしょうね、と私はその二つの後ろ姿を見てニヤニヤしています。

ウルトラマン一家のように、子供が大きくなっても助け合っていけるような親子関係を築きたいものです。

『おとうさんはウルトラマン』の作者紹介:

みやにしたつや
1956年静岡県生まれ。日本大学芸術学部美術学科卒業。「きょうはなんてうんがいいんだろう」(鈴木出版刊)で講談社出版文化賞絵本賞を受賞。「パパはウルトラセブン」(学研刊)などでけんぶち絵本の里大賞を受賞。「おとうさんはウルトラマン」(学研刊)などの作品がある。


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風の子
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