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【絵本レビュー】 『ぼくおよげるんだ』

作者:わたなべしげお
絵:おおともやすお
出版社:あかね書房
発行日:1979年7月

『ぼくおよげるんだ』のあらすじ:

くまたくんは、おとうさんとプールに行きました。はじめて水にふれる恐れ、そしてよろこびを、あざやかに描きます。

『ぼくおよげるんだ』を読んだ感想:

この絵本は私が子供の時に買ってもらったものです。私は今でこそ泳ぐのが大好きで、学生の時は予選だけですがジュニアオリンピックやデュアスロンに出たりしていたのですが、小学校1年くらいまでは頭も洗えないくらい水が怖かったのです。両親もあの手この手を使って洗髪が楽しくなるようにしてくれましたが、シャンプーハットは頭との隙間から水が入ってくるし、目に当てたタオルはだんだん濡れてきて役に立たないし、と効果はありませんでした。

ある夏の日、家族で海辺へ行った時のこと。夕方のプールには私たち3人だけが残りました。突然父が立ち上がり、私を抱き上げるとプールに飛び込んだのです。もちろん私はパニック。水面に上がるまで叫び続け、その時間は永遠に感じられました。父はまだ私を抱いたまま立ち上がると、プールサイドに私を押し上げ、自分も上がりました。そしてまた私を抱いてジャンプ。これは私の叫びが、ただブクブクと息を吐く音に変わるまで続けられました。その夜から、私は水が怖くなくなったのです。

もちろんこれは昭和の荒っぽい子育て法ですが、プールサイドで飛び込めずにイヤイヤする息子を見ていると、そうそう悪い方法でもないような気がしてくるのです。

『ぼくおよげるんだ』の作者紹介:

わたなべしげお
1928年静岡県生まれ。慶應義塾大学卒業。アメリカのウェスタンリザーブ大学大学院をおえ、ニューヨーク公共図書館児童部に勤務後、慶應義塾大学文学部図書館学科教授を経て、フリーな立場で子どもの本の仕事に専念している。「もりのへなそうる」「とらっくとらっくとらっく」(以上福音館書店刊)などの創作作品の他、訳書多数。2006年逝去。


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風の子
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