【絵本】 「伊藤忠様に感謝をこめて」
ずっと書こうと思っていたことをやっと書くことにしました。
伊藤忠様へのお礼の記事です。
伊藤忠とは伊藤忠記念財団のことです。昭和四十九年に設立された、青少年健全育成を目的とした活動を行うために設立された公益財団法人です。子供文庫助成や電子図書普及事業などを行っているようです。
パンデミックをきっかけに友人の子たちを集めて読み聞かせを始めてしばらくした秋口。寒くなり始めていたドイツでは、第二回目(三回めだったかも)のロックダウンが始まり、またもや幼稚園は閉園、道で会える人数も二家族五人までという厳しめの規制が引かれていました。
そんな中、一人のママさんから「伊藤忠が海外での読み聞かせ支援をしている」という情報をいただいたのです。海外に住む子供たちに読み聞かせを行っている団体や小規模グループに支援を行うというものでした。
私はたった一人でしていてきちんとした組織ではありません。こちらへ持って来ていた絵本とママ友達から借りた絵本をかたっぱしから読みながら、実家に残っていた本を母に送ってもらったり、中古の絵本を買いためたりなどしていた私にとっては嬉しいお話でした。
でも、団体でもグループでもない私に支援なんて来るんでしょうか。
「ダメでもともとでしょ」
勧めてくれたママさんにそう言われ、申請を決めました。
活動を始めて間もなかったので、私が申請できたのは「絵本の寄付百冊」でした。「百」という字がやたらと大きく見えて、そんな大量の絵本を一体どこに置いたらいいのだろうと、まだもらえてもいないのに考えました。カフェのある本屋さんをしたいなという夢に、なんだか少し近づけるような気もしました。子供達が自由に本を借りられて、お母さんたちが海外での子育てに関して情報交換ができる場所。そんな場所を作りたいと常々思っていたのです。
私がしていた活動状況などを説明して申請してから数ヶ月の年明け、財団から嬉しいメールが来ました。絵本の寄付が受けられる、とのことでした。とても嬉しくて、読み聞かせに来てくれていたママさんたちに報告しました。しかし、はてさて一体どこに保管しましょうか。
結局私は家にあった小さな本棚を空けて、アトリエに持って行きました。アトリエといっても八人の他のアーティストたちとの共有スペースです。私は自分のテーブルの脇に本棚を置いて、伊藤忠記念財団から本と一緒に送られて来た寄贈本シールを貼って、あいうえお順に並べました。小さな図書館が出来上がりました。なんだかそこだけ輝いているように見えました。
ベルリンといっても広いので、皆さんが来られるわけはありませんが、近くにいる人が少しずつ借りていってくれるようになりました。お母さんが選んでいくこともあるし、子供達が来て選ぶこともあります。みんな嬉しそうに借りていってくれるのを見るのは、絵本を聞いている時の顔とまた違った色で輝いていました。
これを機に、海外に住む日本語を母国語の一つに持つ子供達が、もっと日本語に興味を持ってくれるようになると嬉しいです。私一人では微々たるものですが、それでもこんな場所が海外の片隅にあってもいいのではないでしょうか。そんなチャンスを与えてくれた、伊藤忠記念財団様に感謝です。ありがとうございました。
さて私は、この本棚を少しずついっぱいにして行きたいと思います。