【絵本レビュー】 『どうしてカは耳のそばでブンブンいうの?』
作者:ヴェルナ アールデマ
絵:レオ ディロン/ダイアン ディロン
訳:さがのやよい
出版社:童話館
発行日:1976年9月
『どうしてカは耳のそばでブンブンいうの?』のあらすじ:
カのつまらないうそが原因で、フクロウは太陽を起こすのをやめてしまいました。夜の明けないジャングルで、動物たちは……。アフリカ民話をもとにした、奇想天外なお話。
『どうしてカは耳のそばでブンブンいうの?』を読んだ感想:
絵が素敵だったので手に取ってみました。絵だけ見ていてもとても素敵なのですが、誰がどうして、こうして、だからこうなったという繰り返しの語り方が面白いなと思いました。
ベルリンだけかもしれませんが、ドイツでは蚊は滅多に出ません。まして「やぶ蚊という縞模様の蚊がいてね」なんていうとみんな驚きますが、こっち生まれの子供たちには、まず「蚊」という存在の説明から始めなくてはなりません。耳元でぶんぶんいうあの煩わしさは、経験しないとわからないですよね。
このお話で面白いなと思ったのは、出来事は連鎖しているということです。大元の始まりは蚊のたわごとを聞きたくなかったイグアナが耳に栓をしたために、ニシキヘビが無視されたと思って全ての連鎖が始まります。そう考えていたら、うちの旦那が朝から機嫌が悪い。昨日の夜鼻が詰まっていたのは知っていたけれど、朝起きた時は「エネルギーが戻ってきたー」と言っていたのに、急に黙り込んで不機嫌になって何もかもに文句をつけはじめるんです。普段ならここでこめかみがピキピキするところなのですが、まずはトイレにこもって深呼吸。数分間「あんぽんたんで文句ばっかのわがまま男」などとブツブツ罵っていたのですが、なぜか浮かんできたのはこの絵本でした。文句を言い始めたのは。。。鼻が詰まってて朝食の味がしなかった→元気になったと思ったけどやっぱり鼻が詰まってて不快→早起きしちゃったけど本当はもっと寝てたかった→昨夜早めに寝たけど本当はもっと喋っていたかった→会社での新役職に不満→プログラマーという称号を取られてしまってアイデンティティクライシス。。。
本当はこんな理由じゃないかもしれません。でもこうやって考えているうちに文句を言っていたこと自体に腹は立たなくなりました。トイレから出てきたら、旦那は息子に本を読もうとしているところで、私はそんな旦那をお気に入りの椅子に座らせておいて、いつもはするクラスをアトリエですることにしたのでした。
『どうしてカは耳のそばでブンブンいうの?』の作者紹介:
ヴェルナ アールデマ(Verna Aardema)
1911年、アメリカのミシガン州に生まれる。
ミシガン州立大学でジャーナリズムを勉強した。学校の先生をしていたが、その後は著作に専念している。
2000年逝去。