【絵本レビュー】 『ロボベイビー』
作者/絵:デイヴィッド・ウィーズナー
訳:金原瑞人
出版社:ビーエル出版
発行日:2021年10月
『ロボベイビー』のあらすじ:
ロボットの世界に赤ちゃんがやってきた。
ママのダイオードも、パパのラグナットもおおよろこび。
さっそく送られてきた箱を開け、
赤ちゃんロボットを組み立てることにした。
ところが……
『ロボベイビー』を読んだ感想:
ロボットでも人間でも赤ちゃんがやってくることは大変なことですね。子育てマニュアルもいろいろあるけれど、マニュアル通りの赤ちゃんなんているのでしょうか。私も知り合いから数冊プレゼントされました。息子が生まれた時にせっかくもらったのだからと開いてみましたが、もう最初の最初からうちの子には当てはまらない感じがして、第一章も読み終わることができませんでした。
妊娠中もそうですが、十人十色、お母さんそれぞれで体調もつわりの具合も違うだろうし、なんでも一般的にまとめることはできません。赤ちゃんだって同じですよね。生まれてすぐに一晩中寝てくれる子もいるし、全く食べることに興味のない子もいます。
「生後四ヶ月、やっと夜起きなくなりました。不眠から解消です!」
友人のそんな投稿をSNSで読んで、私は一歳を過ぎた息子のことを考えました。それまでも夜中数時間おきに起きていたけれど、それを読んだときは丁度、四十五分おきにミルクをねだられるというとてもハードな夜を過ごしていました。
「うちの子はパスタを数本食べたら一日中何も食べてくれない」と嘆くママ友達の横で、まだ噛めもしないプレッツェルをハムハムして満足げな息子。彼は四ヶ月で私たちが食べていた芽こんぶとラーメンを口にしました。
離乳食ってもうちょっと後じゃなかったっけ?
そんな考えが頭をよぎりましたが、なんのなんの。夜が大変なのだから、他のことくらい調子よくできてプラスマイナスゼロとしようじゃないですか。息子の赤ちゃん期、私は常に一から十のスケールを作り、平均で真ん中の五を保てれば良しとしていたように思います。
一歳を過ぎた頃から離乳の話題でお母さんたちは盛り上がっていました。仕事に戻りたいから、もう母乳が出ないから、子供が欲しがらないから、もう十分だからなどと色々な理由があります。それだってママそれぞれに理由があったように思います。うちの息子は幼稚園の始まる二歳近くまで離乳をしませんでした。彼はよく食べたので、栄養源というよりは私とのコンタクトを求めていた感がありました。だからスキンシップは別な方法でと、ある日を境に離乳しました。でもママ友達の中には三歳近くまでとか、四歳近くまで離乳しなかったという人もいます。どの子もきちんと育っているし、どの子も個性的です。
組み立ててバッテリーさえ入れれば機能し始めるはずのロボットでさえ波乱万丈なのです。私たちが子育てに七転八倒するのは、当たり前じゃないですか。そう思ったらちょっと楽になりました。その上一人一人育ちかたも違うわけですから、他の子を基準に見ても役に立ちませんよね。今日の息子は一ヶ月前の彼より確実に成長しています。今できないことやしないことも、年明けにはできるようになることでしょう。それならいっか。
『ロボベイビー』の作者紹介:
デイヴィッド・ウィーズナー(David Wiesner)
1956年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。ロード・アイランド美術学院卒業後、子どもの本の仕事を始める。1989年に初めての自作絵本『フリー フォール』(BL出版)で、コールデコット賞にノミネート、1992年に『かようびのよる』で受賞。その後2002年『3びきのぶたたち』、2007年 『漂流物』(共にBL出版)でも同賞を受賞。