【絵本レビュー】 『ペレのあたらしいふく』
作者/絵:エルサ・ベスコフ
訳:おのでらゆりこ
出版社:福音館書店
発行日:1976年2月
『ペレのあたらしいふく』のあらすじ:
子羊の世話をする男の子、ペレが羊や近所の人たちの協力で、青い服を手に入れるまでの楽しいお話です。ペレは上着が小さくなってしまったので、自分で羊の毛を刈り取った後、すき、紡ぎ、織り、染め、仕立てを家族や近所の人たちの助けをかりて上着を作り上げていきます。
『ペレのあたらしいふく』を読んだ感想:
北欧感の溢れる優しい絵風のお話です。スウェーデンには行ったことがないけれど、今も田舎の風景はこんな感じではないのかなと勝手に想像しています。そういえば子供の頃の私はリンドグレーンのお話にハマっていて、「大人になったらスウェーデンに住む」と宣言していました。私の母は寒いのが大嫌いだったので、「そんな寒いところに行っちゃったら会いに行けないよ〜」などと泣き言を履いていましたが、更年期を迎え今ではいつでもぽっかぽかのようなので、今私が引っ越しても文句も言わずに来てくれることでしょう。
そんな母は「欲しいものは働いて買え」ということには徹底していて、子供の時から欲しいものをねだると大抵、
「代わりに何してくれる?」と聞かれました。
私たちは都会に住んでいたので、もちろん家畜の世話や畑の手伝いなどはありませんでしたし、特に子供の時は大したこともできません。それでも肩たたきや食卓の準備、お風呂掃除や洗濯ものを取り込むお手伝いをしてポイントを貯めていました。中学、高校になると肩もみもかなり上達して、「大学がダメだったら指圧の専門学校払ってあげるよ」なんてコメントが母から出たくらいでした。テレビを見ながら三十分ほど揉むと母が寝てしまうこともしばしば。そんな時はそのままにして私は就寝。翌日聞くと、母は夜中の二時くらいに暗闇で目覚めて慌てて寝室に上がったんだそうです。
高校生の時よくしたのはアイロンがけ。私は日曜ロードショーを見ながら制服のセーラー服をアイロンがけするのが決まりでした。ある日母が「このシャツもついでにやって」と持って来たのですが、私が嫌な顔もせずにしたのが不思議だったようです。
実は私アイロンがけが意外と好きなんです。夏は暑くて困りますが、単純作業でリラックスできるので、クーラーさえついていればどんどんイケます。それ以来母はアイロンがけにもお金をくれるようになりました。当時は本当によくアイロンがけをしたもんだと思います。今は滅多にしませんけれどね。
この「仕事と仕事の交換」は私の息子にも受け継がれています。レゴが大好きな息子ですが、そのレゴを買うのに見合ったお手伝いをしてもらっています。彼の仕事は、ペットボトルをお店に返すこと。ドイツではビンやペットボトル、飲み物の缶を持って行くと、一本二十五セントほど返って来ます。私たちはビールも飲まないしあまりビン類がないのですが、それでも少しずつ貯めて運んでいきます。十セントと十ユーロの違いがわからずにがっかりすることも多々ありますが、欲しいものがいつでも空から降っては来ない、ということを学んでもらえたら良いなと思います。
『ペレのあたらしいふく』の作者紹介:
エルサ・ベスコフ(Elsa Beskow)
1874-1953年。ストックホルム生まれ。スウェーデンの児童文学作家・絵本作家。 工芸学校卒業後、小学校の美術の教師として働き、1897年に『ちいさな ちいさな おばあちゃん』(偕成社)で、絵本作家デビュー。6人の子どもを育てながら30作をこえる作品を発表。1952年に、ニルス・ホルゲルッソン賞を受賞。 主な作品に、『ペレのあたらしいふく』、『もりのこびとたち』、『おもちゃ屋へいったトムテ』(すべて福音館書店)、『ラッセのにわで』(徳間書店)など。