角松敏生『Tiny Scandal』

2024年10月中旬、角松敏生が12月11日にニューアルバム『Tiny Scandal』をリリースするという発表に3つの驚きがあった。「アルバム発売は年一度だろう」と高を括っていた私は前作以来7ヶ月でリリースすることに一つ目の驚き。名盤と言っていい前作『MAGIC HOUR〜Lovers at Dusk〜』に続いてのContemporary Urban Musicシリーズの第二弾となる今作を立て続けにリリースすることに二つ目の驚き。そして『Legacy of You』以来、34年ぶりのギターインストのオリジナルアルバムとなることに合わせて三度の驚きを覚えた。特に一年に2度のオリジナルアルバムリリースは、現在64歳の角松敏生が人生の終わりを意識しての行動であろう。それは夢で「あなたは65歳までしか生きられない」と告げられたというのである。彼の家系が長生きであるので、私はこの夢の話は信じていないが、タバコと酒をやってきた角松敏生自身が思い返してその予言に信憑性を感じ、すぐにではないものの死期を感じ一年2回行動に出たのであろう。あるいはプロデュース業や作演出の舞台の仕事などが無かったからなのかも知れないが… そして約2ヶ月、発売日を迎えた。Sea Line Rieのカッティングで始まるアメリカンテイストなM1.NOA、ドライブが気持ちよさそうなM2.Summer Scenery、ライブでも披露していた未発表曲だったM3.MIDTOWN、夜の街を思い浮かべるM4.Everything Shadows、ソロまわしが楽しめるM5.SOEMONCHO STREET、リゾート感溢れるM6.Flowing Shiny Hair、コーラス入りのM7.Tequila Mockingbird、そしてアルバムを締め括るタイトル曲M8.Tiny Scandal。80年代のインストアルバムとは違い成熟したどこに出しても恥ずかしくない楽曲・演奏・サウンド、これこそ角松敏生が提唱するContemporary Urban Music(現代の都会の音楽)では無かろうか。今作は一聴して本田雅人さんと森俊之先生(森塾をやっているので先生呼び)のソロがよく聴こえる。特に本田さんにおいてはライブでもいい場所に立たせてこれまで通り頼りにしているのが伺える。今年のHR/HMベストアルバムで選んだOpethのリーダー、ミカエル・オーカーフェルトもそうだが、優れた耳とまともな考えを持つ人は良い音楽を作るものだと痛感した2024年。来年は春にかけて小規模なツアーも催されるとのことだが、今後も角松敏生による音楽、Contemporary Urban Musicのリリースを期待したい。来年のリリースはツアーもあるし少し夏前には遅れるかなぁ…笑

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