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佐藤健寿展 奇界/世界 へ行ってきた。

8時半ごろ起床。
カーテンを開けシャワーを浴び、近くのベーカリーで朝ご飯を調達。熱いコーヒーと一緒にいただく。

今日はタイとアメリカを一緒に旅した友人と佐藤健寿さんの写真展へ。

佐藤健寿さんのことは友人に聞くまで全く知らなかったのだが、世界中にある「奇妙なもの」に焦点をあて活動している写真家の方らしい。

全て見るのに3時間ほどかかったが、その中で印象に残った3つのことについて書き留める。


1.ロシアの先住民族、ネネツ族の食事シーン

ネネツ族はトナカイを放牧しながら生活場所を変えていく遊牧民族。

飼っているトナカイを絞め殺し、一滴の血もこぼさないように解体して血を飲み、生のままで肉を食べるという食事スタイルを持っている。

絞め殺すときの写真もあったのだが、家族みんながニコニコしながら絞めていて、


「さぁ!ごはんの時間よ〜!」
「わーい!焼肉〜〜!?」的な表情であった。

これが彼らにとっての普通であり常識であって、自分にとってのあり得ない異常なことということである。

2.鮮明に印象に残っているものは台湾の葬式ポールダンサー

台湾では葬式の時にステージカーを呼び、かつてはストリッパーを呼んでいたそうである。
さすがにストリッパーは政府から規制が入り禁止になったそうで、今はポールダンサーで落ち着いているらしい。

日本では(他の国も可もしれないが)完全に非常識で頭がおかしいのか、と思われかねない文化である。
ネクタイの色が黒でないだけで非常識とされるのにストリッパーとは何事か。

映像も公開されていて、線香が焚かれている前でピチピチのレザーホットパンツを着て踊る3人のダンサーたちがとてつもなくシュールに見えて面白かった。

なぜそのような文化が生まれたのかはわからないが、故人が男性でそういう類の遊びが好きだったなら、冥土の土産にストリップというのもわからなくはない。

3.日本の祭りや文化について

世界各国の先住民族の写真と同じように、ナマハゲやイタコなどなど日本の文化を切り取った写真も多くあった。

このように並べられるとゼルダの伝説にでてくるような奇妙で少し恐ろしい仮面を被った人々と同じように、日本も外から見たらだいぶ奇怪な文化や伝統を持っている。

日本もだいぶヘン。
だが、自分がその文化に慣れ親しんでいると全く違和感を持たない、いや持てないのである。
自分の常識は他人の非常識でありうるということを他国目線で気付くことができた。日本を切り取った写真によって。



書ききれないほど衝撃を受けた写真展だった。
今回の写真展はいかに自分が、自分のなかの普通や常識、こうすべきだという観念に縛られていたと気付かせてくれた。

そして、自国の普通の中の奇妙さに気付いたように、自分の考えや価値観が全ての人の普通ではないことをたまに思い出す必要がある。

自分は「〜するべき」という考えに陥りがちなのだが、他国の先住民族からしたら、自分が言ってることなんて「何言ってんだ?」って理解できないほどクレイジーかもしれない。

そう思うと、今まで考えてきた多様性うんぬんも、どれだけ小さな範囲の多様性だったのだろう。
もはや誤差の範囲である。

自分の中の判断基準や固定概念が揺さぶられ、少し破壊されるような経験であった。

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