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【薪ストーブ】炉壁と炉床


古家探しに約1年。様々な物件を見に行った。
色々見て、最も抱いた感想は「うわ、ボロっ。建て直した方が早いやん」である。

設備が古いのはもちろん、壁、屋根、独特のカビのような古い家の匂い。
処分に困るような捨値の廃屋はとてもリノベーションに着手できるような状態ではなかった。

時間とお金があればもちろん可能だ。あと中古物件再生の本で知ったのは、この家を残したいという熱意。祖父母の家、遊び場だった幼いころの記憶など。無論、新築並みの費用を覚悟してのスタートとなる。

「捨てられるものに価値を見出す」という私の癖(へき)では熱量が少し弱かったと思う。
また、新生児の息子の子育てを考えると、倉庫のようなところからスタートする勇気はなかった。

それでも根気良く物件や土地を探し続けていると、運良く鉄筋コンクリート造のちいさな平家に出会うことができた。
建設会社の社長のセカンドハウスということで、設えが良い。ただ、独立したキッチン、洋室、茶室の二部屋しかなく狭い。
これが今まで売れずにいた理由だと感じた。

建物の雰囲気は大変気入った、そしてなによりも洋室から臨む、大きな桜と広い庭に惹かれたのであった。

我が家の桜


気付いたら即決で購入、少ない部屋数は一部増築と間仕切りでカバーすることにした。

晴れてローンも通り、銀行の、普段は入ることがないような一室で、売主や他の関係者と決済した時のことは忘れられない。
「これが自分の家になるのか。。」
と、感慨深い1日となった。

その後、親戚の工務店との、リフォームの打ち合わせと並行して、いよいよ薪ストーブの打合せを進めていくことになる。

実は地元の中学校の先輩が、薪ストーブの店を営んでおり、なにからなにまでお世話になることになった。
元々親しいとは言い難いが、面識はあり、本やネットにのっているようなカタい情報だけでなく、ざっくばらんとした「このぐらいでいいですよ」というプロかつヘビーユーザーならでは情報が本当にありがたかった。

私は早速炉壁と炉床の相談を持ちかけた。
炉壁・炉床とは、薪ストーブの周りの造作ののことである。
良くイメージされるのは、レンガで囲まれている、暖炉のような薪ストーブスペースだろうか。他には広い土間に置かれているケースもある。
最近ではなるべく軽やかに魅せるため、屏風のような、薄い黒皮鉄板のついたてを壁との間に設置するものもよく見かける。

安全性や、コスト面でなにがいいか聞いてみると、「燃えなければなんでもいいですよ」という返答が返ってきて、初めて家の中で焚き火を扱う不安は、いい意味で拍子抜けして、一念発起。
自己施行、DIYすることになった。

板張りの壁に、ベニヤ板をボンドで貼り付けて、その上に石のモザイクタイルを貼る。
タイルと壁の間にベニヤ板を挟んだのは壁に直接貼るのは気が引けるなら、という工務店のアドバイスだった。

素人仕事である 笑

壁とベニヤ板を木工ボンドと隠し釘で、できるだけ密着し、上からボンドでモザイクタイルを貼って、目地をつめて完成。
炉床はフローリングの上にゴムマットを引いて、その上に外構用のコンクリート平板を置くだけ、たったそれだけで壁、床ともに薪ストーブを受け入れる準備ができた。

扉前の床材が少し狭い

その後5年使っているが、火災もなく、快適である。ただ、炉床はなるべく広い方が良いと思う。具体的には、薪ストーブの扉の前の床の広さのことだ。
うちの薪ストーブはリビングを圧迫しないためにコーナーに設置したのだが、掃き出し窓へ続く半間の控え壁に収まるように、コンクリート平板を設置した。

薪を補充する際に、炭化した薪が爆ぜて火の粉が飛んだり、扉を開けようとすると、組んだ薪が崩れて押してくるような時がある。
ゴロっと転げ落ちるようなことがあったら、フローリングの上に落ちかねないと思うことがあるので、その辺は注意しながら使用している。

記念すべき初火入れ、2019年


今では私より妻の方が、「今日は薪ストーブ焚かないの?」とせまるようになり、仕事から帰ると勝手に焚いてるのだから頼もしいかぎりだ。

#薪ストーブ #薪ストーブのある暮らし #エッセイ

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