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【012】「路上で充電」今後のスタンダードに?横浜市が社会実験

 横浜市で、電気自動車(EV) の急速充電スタンドを公道上に設置する社会実験が行われている。日本ではこれまで路上に充電器はなかった。EVに乗って半年あまり。使ってきた充電スタンドを思い返せば、たしかに駐車場の一角に置かれたものばかりだった。

 初の路上充電を試してみようと、ホンダeで出動。東京から国道246号を西へ1時間ほど走る。実験地の横浜市青葉区しらとり台は、郊外のベッドタウンという雰囲気。住宅地のそばには農地が広がっている。

 神奈川県道170号に「社会実験実施中」という看板と充電器を発見。道を拡幅して2台分の駐車スペースが設けられている。すぐそばを車が往来するので乗降には気を使うが、不安を感じるほどではない。カードを使った認証や一回30分という時間制限など、利用方法は一般的。とくに戸惑うこともなく充電をスタートできた。

 「逆向き駐車禁止」という注意書きに気づいた。これは、路上充電ならでは。内燃車の給油口もそうだが、EVも車種によって充電口の位置が違うので、コードをつなぎやすいように転回して駐車したりする。ただ、公道では道路の左側端に沿わない駐車は道交法違反になるのだ。

 残量5割から30分でほぼ満充電。利用者アンケートを取っていたので回答しておく。自宅に充電設備を持たない「野良EV」とすれば、こういう試みは大歓迎だ。

 社会実験は、横浜市と充電インフラ大手のイーモビリティパワーなどが連携し、公道上の充電器の有用性や課題を探る取り組みとして実施されている。そもそも、なぜこれまで皆無だったのか不思議だが、横浜市温暖化対策統括本部プロジェクト推進課の担当者は「前例がなく、決まり事がないのが難しかった」と話してくれた。すべてが手探り。事故や渋滞を引き起こさないように、関係機関で慎重に検討を重ねたそうだ。どんな新技術も地道な実証作業なしには一般化しない。未知の第一歩を踏み出す心意気に拍手。

 利用率は、一般的な充電スタンドの平均値を開始直後から上回り、充電出力をアップした9月以降は1.5倍にも達しているそうだ。2台使えて高出力なら人気も当然だろう。住民からも、地域でのEV普及や町の発展を期待して、実験後も運用を継続してほしいと要望が出ているとか。

 いずれ路上充電が当たり前になったら、しらとり台は「発祥の地」として有名になるかも。

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(夕刊フジ/2021.11.18)

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