【040】EVトゥクトゥクに試乗 バイクとクルマのいいとこ取り
家電量販店のヨドバシカメラが、小型電動モビリティーを販売中。ECサイトでラインアップが紹介されている。「EVトゥクトゥク」というのが面白そうで、車両を納入しているEVベンチャー「ビークルファン」(東京都江戸川区)を訪ねて試乗させてもらった。
トゥクトゥクは、東南アジアなどでポピュラーな3輪タクシー。屋根付き配達バイクを大きくした感じで、ハンドルまわりも似ている。一方でバックモニターが作動する後退ギアがあるのはクルマっぽい。ビークルファンの社長、松原達郎さん(50)からコーナリング特性など運転時の注意点を教えてもらって、試乗スタート。
EVらしく静かになめらかに加速する。開放感はバイク並み。下町風情あふれる街を気持ちよくスイスイ。幅が約1メートルなので、狭い路地も平気だ。多くの自転車や歩行者とすれ違うが、騒音も排ガスも出していないのは気分が良い。
普通自動車免許で運転できて、後ろの座席には2人乗せられる。でも道路運送車両法上は「側車付軽二輪」で車庫証明も不要。まさにバイクとクルマのいいとこ取り。最高時速が約40キロなので、幹線道路では左端を走る必要があったが、100Vコンセントで充電できて、航続距離は80キロ前後。近距離での送迎や配送、観光といった使い方なら利点は多いだろう。すでに清里や金沢などの観光地で活躍中で、市街地でのシェアライド構想もあるそうだ。
ビークルファンは、いわゆるファブレス企業。自社工場を持たず、日本市場に合わせた海外製品の改良や企画・設計したEVの製造を外部に委託している。起業のきっかけは、松原さんが大手ハウスメーカーの営業マンだった2008年に、中国・上海で電動キックボードの配達員を見かけたこと。「乗りものにも電気の時代が来る」と直感して、日本で電動キックボードの販売に着手。小型電動モビリティーへとラインアップを広げてきた。
高齢者向けの歩行補助EVなども販売する松原さんは「世の中にない乗り物をつくりたい」と話す。下町発のEV、これからも要注目だ。
(夕刊フジ/2022.6.16)