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【022】氷点下でEV車中泊 シートヒーターだけでぬくぬく

 ときどき旅先で車中泊をしてきたが、電気自動車(EV)では未体験。ホンダeで新潟の湯沢温泉へ取材に出かけたので、EV車中泊を試してみることにした。スキー場エリアで、外気温はマイナス1度。山はしっかり雪化粧。市街地はほとんど除雪されていたが、道路脇には1メートル以上雪が積もっている。

 まずは近くの充電スタンドでホンダeを充電。自分の体も公衆浴場で温めてから、国道沿いのRVパークへ。料金を払うとき「こんなに小さい車で大丈夫ですか?」と心配されてしまった。たしかに、問題は寒さより狭さかも。

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 持参したのは、キャンプ用のダウン上下、寝袋とマット。まずは楽に寝られる姿勢を検討。後部座席を倒しても荷台はそれほど広くない。あれこれ試してみて、助手席を後ろに倒すポピュラーな方法に決めた。なのでマットは使わず、ダウンを着込んで、寝袋は毛布のように掛けて使うことに。

 まずはエアコンを試す。設定は25度、風量最小でも、防寒着のおかげで暖かい。灯火類やナビは切って、なるべく節電。パソコンだけつないで、仕事をしながら過ごす。

 20時15分に80%だった充電率は、1時間に5%ずつ低下。3時間後に65%。このままでも明け方まで過ごせそうだが、比較のためにEV乗りから教えてもらった節電作戦にトライする。

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 空調を切り、シートヒーターで過ごす方法だ。熱源は尻と背中だけ。低温やけどを避けるため「弱」に設定。じつは半信半疑だったが、やってみると驚くほど暖かい。室内の空気は冷えるものの、寒くはない。うとうとしながら、時々数字をメモ。充電率は1時間に1%しか減らなくなった。朝方に気温はマイナス3度まで下がったが、普通に過ごせた。姿勢に慣れたら熟睡しちゃうかもしれない。

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 EVの利点である静けさが、車中泊ではとてもありがたい。エンジンをアイドリングさせないから、振動や音とは無縁。排気ガスを出さないから悪臭もしないし、雪が積もるような状況でも一酸化炭素中毒の心配をしなくていい。なんなら家電製品まで使える。デメリットが思いつかない。

 ただ、エアコンの消費電力はいただけない。微温微風でも1時間に1.8kWh。12畳用とかの大型電気ヒーターを全開にするより電気を食っている。冬になって電費が落ちた要因は、やっぱりエアコンだったようだ。一人のときはシートヒーター&膝掛け毛布で走ることにしよう。

(夕刊フジ/2022.2.3)

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