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第18回日本臨床検査学教育学会(2024/8/22~24 in新潟)ふりかえり

※自分用メモとしてつらつらと

■ 生涯教育・医療現場教育について

 日臨技会長に新たに就任された横地常広会長による講演。臨床検査業界は内部環境、外部環境ともに大きく様変わりする中で、臨床検査技師も現状に甘んじていてはいけない。専門性を磨くのは大切なことだが、「専門特化・専門分化」のみに偏った価値観や、業務独占への固執は返って臨床検査技師の将来性を狭めるかもしれない。内外の環境変化を自分事として捉え、メディカルスタッフとしての価値を高めよう。日常業務で必要な技能を磨くことに加え、経営・管理や研究など、多様な方面での付加価値を磨こう。日臨技としては会員の職能開発に一層の力を入れていく。…というような話だったように思う。総じて同意。しかし、日臨技が定義する「臨床検査技師」は今後もあくまで「メディカルスタッフとしての臨床検査技師」なのだろうか。それが王道であることに異論はないけれど、日臨技の言う「多様性」がどうも限定的な範囲のなかでの多様性を指しているような気がしてちょっとモヤる。

■魅力的な大学院教育ならびに院修了後教育

 修士-博士課程に在籍しながら医療機関で超音波検査の実務にも従事し、在学中に超音波検査士を取得できるコース、ストレートで修士→博士→教員というキャリア、医療機関に勤めながら社会人院生として博士を取得するキャリア、海外留学などの実例が示された。
 PhD取得後にどんなキャリアを目指すのか、実務能力と研究力のどちらにより重きを置くかは個々人によって違う。色んな勾配の大学院があるのは良いことだと思う。大学院の特色の違いについての情報を、学部生や修士学生が得られると良いのだけど。
 臨床検査技師養成課程を経てPhDに向かう人たちが、どんなアイデンティティを形成し、自身のことをどう名乗るのかという点は以前からの関心事。PhD保持者ともなると、学部卒にはリーチできないキャリアの道ができる。その人たちが進んだ先で「バックグラウンドは臨床検査」と名乗ることが、臨床検査業界の可能性を拓くと思っている。臨床検査技師の国際団体であるIFBLSが掲げるBiomedical Laboratory Scientistという呼称には、Medical TechnologistとResearcherの両方の側面を持つ専門家としてのScientistというニュアンスがあると私は捉えている。アイデンティティにMedical Technologistを携えたPhDの育成が業界として大切だと思っているのだけど、さて、臨床検査技師養成課程を経てPhDを取得した人たちは、どんなアイデンティティを形成し、自身のことをどう名乗っているのだろうか。

■臨地実習に組み込まれた多職種連携 現状・展望と学部学生に求めるもの

 NSTやICT等のいわゆる「チーム医療」が、臨地実習で学生に「必ず見学させる行為」として組み込まれたことを受け、まずはこれらのチームにおける臨床検査技師の役割の実態を教員が学びましょう、という趣旨。これらのチームに臨床検査技師が参画するようになってから随分経つし、タスクシフトの流れも相まって、多職種連携への臨床検査技師の参画に関する制度的な枠組み(=ハードウェア)は随分定着したのだな、という印象を受けた。一方で、その枠組みの中でチームの一員として専門性を発揮する、連携の能力(=ソフトウェア)の教育についてはまだまだ語られる段階ではなさそう。臨床検査技師教育界隈で「カルチャーとしての多職種連携」が語られるまでには、まだ暫くかかりそうだ。
 NSTやICTの現場で、臨地実習に送り出す学生のレディネスとして求められているのは「その分野に関連する総論的な知識(例えばNSTなら栄養アセスメントに関連する検査についての知識)」「見学するチームの業務についての基本的な知識(何を目的に何をしているのか)」「コミュニケーション能力」「興味・意欲」であるとのこと。学内実習や講義の中で関連する項目について扱う時には、臨地実習に結びつけることを意識したい。

■臨地実習前技能到達度評価の実際と今後に向けた取り組み

 各専門分科会から、到達度評価の具体的なチェック項目の立案や、試験の実施状況等についての現状が共有された。私も血液検査学分科会での取り組みを報告。分科会相互の情報共有ってこれまであまりなかったので、参考にはなった。けど結局は、各校の学生数やマンパワー、設備等によって運用が異なるから、最終的には各校が自校の状況に最適化するしかないのだよな。こういう企画はシンポジウムよりもワークショップの方が良さそうだ。

写真は信濃川の夜景。

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