5000m 13分台出すまでの取組み~①2015年~2017年の練習編
以前、フルマラソン2時間20分切りに至るまでの取組みを記事にしたところ、多くの方にお読みいただきました。
今回は、少々前の話にはなりますが「5000mで13分台を出すまでの取組み」について、自身の経験に即して振返り、ポイントを考察しようと思います。(全4編を予定)
尚、振返りの目的は内省のためであり、経験則をベースにしている点や、生理学的な正しさを考慮していない点等にご留意のうえ、お読みいただければ幸いです。
【前提】
◆平日フルタイム勤務(土日祝休)の社会人
◆現在のトラック種目の自己ベスト(PB)は以下の通り
・PB
1500m 3’52”95(2017年 順大記録会)
5000m 13’53”97(2019年 日体大記録会)
10000m 28’58”06(2019年 日体大記録会)
◆学生時代の月間走行距離、トラック種目のPBは以下の通り
・月間走行距離:
月平均350km前後
・PB:
1500m 3'54"58(2014年 静岡県選手権)
5000m 14'20"94(2014年 日本インカレ)
10000m 30'13"17(2013年 東海学生秋季大会)
【各年度の主な取組みとポイント】
<2015年>
・社会人1年目。大学卒業を機に競技から遠ざかるも、同年5月に練習を再開し、6月のレース出場を以て本格的に復帰
・復帰後は「5000mを14分台で走れる状態に戻す」という漠然としたビジョンのもと、学生時代の取組みをベースに、目先1~2週間程度の練習計画を立てて練習を推進。一方で、練習内容や設定は成り行きで決めることもしばしば
・練習頻度は週4程度。主に平日夜にjog(30~60分)や休日にポイント練を実施
・ポイント練はインターバルやレペテーション系の内容を多く実施(達成感が得やすかったのとが一因。反面、苦手意識のあったペース走や距離走の頻度は少なめ)
・月間走行距離は概ね250~300km程度
・7月の神奈川県選手権1500mで4'01。終始イーブンペースを刻む
・9月の網走マラソンで3時間12分。招待機会を得て出場したもの。30km過ぎて大失速し、最後は歩いて完走
・10月の日体大記録会10000mで30'58。ネガティブラップを刻む
・11月の日体大記録会5000mで14'47。終始集団の流れに合わせた走りを展開
・総じて、
・「5000mを14分台で走れる状態に戻す」という漠然としたビジョンのもと、週末ラン感覚の意識で取組んだ1年
・学生時代の取組みをベースに練習を組み立てるも全体的な設定等は抑えめ
・その時々の状態や気分で練習を断念することや、成り行きで練習することもしばしば
・大学卒業から間もなく練習を再開したことが功を奏し、基礎的走力の低下を最低限に留めることができたほか、過去の経験やレース勘等が残っていたこともありスムーズに競技復帰できた印象
・他方、練習量(月間走行距離)の激減や、練習内容の偏り(特異性の高い練習の不足)もあり、種目によって結果の出ないレースが散見
【2015年11月 日体大記録会にて】
<2016年>
・社会人2年目。生活環境の変化(引越による通勤時間半減)を受けて練習時間が確保でき、その分練習量(月間走行距離)が増加
・この頃の主な練習場所は河川敷(芝、ロード)。脚筋力向上と故障防止の観点から、出来る限り不整地を走ることを意識
・この年の目標は「前年のシーズンベスト(SB)更新」。練習レパートリーに大きな変化はないものの、週~月次単位での練習の流れと優先順位を意識して練習を実施。設定(距離、タイム)のレベル・水準は前年比で向上
・平日朝夜にjog(30~70分)と休日にポイント練+ロングjogのセット練習を行うことが1週間の練習の流れ(練習習慣)として定着しはじめる
・月間走行距離は概ね350km程度
・9月の日体大記録会1500mで4'00。練習の一環で出場し、イーブンペースを刻む
・10月の日体大記録会5000mで14'37。イーブンペースを刻み終始余裕あり
・11月の日体大記録会10000mで30'43。当時ペース走やロングjogの頻度が少ない中、ネガティブラップで想定以上の走りが出来たレース。更なる記録向上の可能性を感じた
・総じて、
・「工夫次第で更なる記録更新が可能」と考え、真剣に競技に取組むようになる
・周辺環境(近場の河川敷やクロカン、競技場等)をうまく活用して練習を展開
・練習習慣の定着や長期的な展望を抱くようになるにつれ、目標に対する考え方と行動が変化。目先の目標に対しては週~月次単位での練習計画を立てて取組むようになる
・計画・実行・評価の管理サイクル(PDSサイクル)の仕組み化が図られ、成り行き・場当たり的な行動を改めることができ、年間通じて地に足ついた練習を継続
・練習レパートリーに変化はないものの、練習量(月間走行距離)の増加を受け、有酸素系を中心とした基礎的走力の向上や心肺強化等を図れた可能性が高い
・日ごろから現状の状態や力量を把握するよう意識。身の丈にあった練習強度やレースプランを想定できるようになり、重要度の高い練習やレース等で失敗することが少なくなった
【2016年10月 日体大記録会にて】
<2017年>
・社会人3年目。「学生時代のPB更新」を年間目標に据えて、戦略的な練習を展開するようになる
・また、全国規模の大会に出たいという思いから、当時の走力で実現可能性の高かった「全日本実業団選手権の標準記録(3’54)切り」を重点目標に掲げるとともに、「秋冬シーズンに5000mと10000mでのPB更新」を年間目標に設定して練習を推進
・秋冬シーズンに向けた練習計画上の中間目標(マイルストーン)として3000+1000:8'30-2'45を設定・実施。11月時点において8’25-2’44でこなす
・月間走行距離は概ね400km程度
・5~9月は主に1500mでの全日本実業団標準切りに向けた取組みを推進。2レースに出場
・7月の世田谷記録会で3'53"34(ラップ:62-61-62-47)
・9月の順大記録会で3'52'95(ラップ:62-61-62-46) ※PB更新
・9~11月は主に5000mでの自己ベスト更新に向けた練習を推進。2レースに出場
▼10月 日体大記録会で14'21"19(ラップ:2'50-54-54-54-48)
▼11月 日体大記録会で14'17"21(ラップ:2'48-52-55-54-48)※PB更新
・11~12月は主に10000mでの自己ベスト更新に向けた練習を推進。1レースに出場
▼12月 日体大記録会で29'35(ラップ:14'54-14'40) ※PB更新
・以後、梅花駅伝、奥むさし駅伝、26大駅伝等の各種ロードレースに出場
・総じて、
・年間通じてトラック主軸の練習を推進。この間に取組んだ特異的な練習等を通じて、基礎的走力以外(スピード能力やスピード持久力等)の固有能力の強化を図れた可能性が高い
・結果、競技復帰から3年で学生時代と同等のタイム水準に戻すことに成功(トラック3種目でPB更新)
・この頃には日ごろの練習におけるPDSサイクルの仕組みが定着。重点目標と年間目標、及びこれら目標達成に向けてやるべきことを週~月次単位に落とし込んで考えるようになる
・仕事との兼ね合いで練習時間の制約に直面。その中で「練習効率」を重視する考え方に行き着き、日ごろ実施する高強度のポイント練習の設定必達を心掛けた(高強度練習自体が目標とするレースに向けたマイルストーンとして機能)
・日々の練習や各種レースをこなす中で、得意とするレースプランが「イーブンペースで押し切る」ことであることを再認識。理想のレースプランを実現するための練習やレース選び等必要な要素を細分化して考えるようになった
【小括】
・今ほど市民ランナーが活況ではなくロールモデルの少ない時代。学生時代の取組みをベースに、平日の仕事後や休日を利用して無理のない設定等で練習継続
・社会人2~3年目の取組みの中で、週次の練習習慣の確立と、PDSサイクルによる月次~年次の練習管理を徹底。計画的かつ継続的に練習を行うための仕組み化が図られ、年間通して地に足ついた練習を実施できた
・練習時間の制約から、効率重視の練習とならざるを得ない状況の中、高強度のポイント練を重視した練習スタイルに行き着く
・記録的には成長軌道を辿る中、更なる記録更新や全国大会出場といった明確な目標もあり、
トラック種目のPB更新後も高いモチベーションを維持
・日ごろ行う高強度練習は単独走ながら設定を外すことなく確実に消化。練習に裏付けされた自信と成長に繋がり、レースでの安定感や、競技力向上に繋がったものと思料
続きは別記事にて。
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