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ICUダイアリーって何だろう?日記をつける理由や対象者、課題を実例から学ぶ

こんにちは。IN//SEKIの中尾です。
みなさんはICUダイアリーをご存知でしょうか?

ICUダイアリーとは、患者さんのICUでの様子を記録する日記のこと。医療スタッフやご家族が、患者さんの闘病中の頑張りやさまざまな変化を書き留めておきます。
のちにこの日記を使って患者さん自身やそのご家族がICUでの体験を振り返ることで、PICS(集中治療後症候群)予防に効果があると期待されています。

最新の「日本版敗血症診療ガイドライン2020」でも集中治療患者へのICUダイアリーが推奨されており、集中治療医学会でも実践報告が増えてきていますよね。
興味はあるものの、「他の業務との兼ね合いで取り組めない」というお悩みを抱えるご施設も多いのではないでしょうか。

アスクレピオスプロジェクトでは、すでにICUダイアリーに取り組んでいる複数の医療機関のご協力を得てICUダイアリーのアプリを開発しています。ご興味がございましたら、下のボタンからぜひお気軽にお問い合わせください。

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看護記録以外に日記をつけるメリット

ICUダイアリーをつける目的はPICSの予防です。

集中治療後症候PICS(ピックス)とは、ICUで治療を受けた患者に起こる身体障害や精神障害、認知機能障害のこと。
臥床による体力の低下だけでなく、ICU滞在中に受けた痛みや恐怖が記憶のゆがみとして断片的に残ることで、うつやPTSD、認知機能の悪化など、場合によっては退院後までさまざまな障害が起こります。
報告によっては重症患者の半数から3分の2が退院後もPICS症状に苦しめられているともいわれています。

ICUダイアリーは、ICU滞在中の患者さんの回復過程や医療スタッフ・ご家族の様子を残し、断片的・妄想的な辛い記憶を修正することでICUでの経験を患者さんなりに受け入れていく手助けをするツールです。

ICUダイアリーはときに、患者さんご家族に起こるPICS-F対策に役立つことも。
ICUに入室した患者さんは残念ながら最終的に亡くなってしまう方もいらっしゃいます。ご家族がそばにいられなかった場合、ICUダイアリーを通してご家族が患者さんの頑張りを知ることができ、心の支えになることも期待されています。

忙しい中で本当にできる?ICUダイアリーの課題とは

ICUダイアリーをぜひつけたい!と思っても、実際は以下のようなハードルが存在します。

  1. 業務の負荷

  2. 患者の受け取り拒否

  3. 対象患者選定の難しさ

医療者の皆さんのダイアリーを見せていただくと、皆さんそれぞれ手作りで日記を作成しています。決まったフォーマットはなく、普通の大学ノートに状態や応援のメッセージを書いたり、小児科では写真を貼って折り紙やシールなどで可愛く仕立てたり、さまざまです。

ですが・・・医療スタッフにとっては日常業務以外にもう一つ記録が増え、業務負荷が高いのが課題のひとつになっています。

また、歪んだ記憶の修正には有効である一方で、患者さんによっては思い出したくないとネガティブに受け止めダイアリーの受け取りを拒否されたり、混乱の症状が強い患者さんほどあまり関心を示さなかったりと、運用していく中で見えてきた課題も多くあるようです。

関連記事:ICUダイアリーの実際とは? その1

ICUダイアリーの実際:運用しているご施設へのインタビュー

アスクレピオスプロジェクトでは、実際にICUダイアリーに取り組んでいる医療従事者の方へインタビューを実施しました。その中で伺った現場のリアルな悩みとその対策をご紹介します。

ICUダイアリーの対象患者

ICUに滞在されたすべての患者さんで実施するのは難しく、対象を絞って実施されているご施設がほとんどです。
具体的には、以下のような基準を設けているようです。

  • ICU滞在中に本人やご家族からネガティブな発言があった

  • 経験的にICU滞在日数が長くなりそう

関連記事:ICUダイアリーの実際とは? その1

日記をつけ始めるタイミング

ICUダイアリーをつけ始めるタイミングは施設あるいはスタッフによって異なるそう。特に入室初日は治療が優先される場面が多いようです。
目の前にある生命の危機への対応が優先されるのは当然ですが、ICUサバイバーにとっては退院後の生活も重要であり、悩ましい問題ですよね。

ICUダイアリーに記載する内容

スタッフによって質に差ができてしまうのを防ぐため、テンプレートを作成するなど施設ごとに工夫されています。
医師から説明が必要な病態などを記載してしまわないよう、項目はその日のできごとやリハビリ内容などに絞ってルール化しているそうです。

関連記事:ICUダイアリーの実際とは?その3 

ICUダイアリーの運用管理方法

トラブル防止のため、管理者のチェックを入れてからお渡しする施設が多いようです。
また、ICUダイアリーの実施前には本人またはご家族に説明し、同意を得てから行うという管理になりそうです。

PICS対策のためには病棟や外来でのケア継続が必要と考えられます。しかし、ICUの外まで満足に取り組めているご施設はまだまだ少数といった印象です。

関連記事:ICUダイアリーの実際とは?その4

ICUダイアリーを導入するために

ICUダイアリーを用いて記憶のゆがみの修正することは、近年PICS対策として非常に注目されています。しかし他の優先される治療や業務が忙しく、「なかなか手が付けられない」「うまく運用ができない」というお悩みを抱えているお声もお聞きします。

アスクレピオスプロジェクトでは、すでにICUダイアリーに取り組んでいる複数の医療機関のご協力を得てICUダイアリーのアプリを開発しています。患者さんやご家族だけでなく、ICUに関わるスタッフの方々にも楽しんで日記をつけていただけると思います。

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ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

次回はICUダイアリーをつくってみたワークショップについてのお話しです。

(参考)
ICUダイアリーについて | icu diary.org
第46回 日本集中治療医学会学術集会
PICSについて:日本集中治療医学会

================================================アスクレピオスは医療環境の未来について、一緒に考え、カタチにしていくラボでもあります。
医療者のみなさんのご協力なければ、医療環境は変えられません。少しでも興味ある方のお問い合わせ、ご意見やご感想お待ちしています。

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