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秋に聴きたい名盤Slowdive「Souvlaki」
11月に入り、乾いた寒さがひしひしと伝わるようになってきた。
秋ってやつですね。
向井秀徳風に言うとかぁいきっせっとうらいToげてぇいや!ってやつですね。(引用:RSR1999の「透明少女」から)
皆さんなら秋と言ったら何を思い浮かべるだろうか?
読書の秋?
食欲の秋?
スポーツの秋?
俺の心の中の中村俊輔「正解じゃない」
そうですよね。
正解はSouvlakiの秋ですよね。
Souvlaki
Souvlaki
あぁSouvlaki
Souvlaki
江戸時代の俳人、松尾芭蕉が「おくのほそ道」に残した有名な一句ですよね。
「Souvlaki」はイギリスのロックバンド、スロウダイブが1993年にリリースした2作目となるアルバムだ。
スロウダイブというバンドはいわゆるシューゲイザーと呼ばれるスタイルを踏襲したバンドだ。フィードバックノイズや深いディストーションを用いた複雑な音像のギター、それに対して聴こえるかわからない囁くようなボーカル、甘美かつ浮遊感のあるメロディが特徴の音楽ジャンルだ。
そしてこのシューゲイザーを代表するバンドとして語られることが多いのがマイブラッディヴァレンタイン、ライド、そしてスロウダイブのいわゆるシューゲイザー御三家と言われるバンドだ。
だがスロウダイブがこういった枠組みで他2組と同列で語られるようになったのも最近のように思える。傑作「Loveless」で完璧なシューゲイザーの音像を提示したマイブラ、とびきりポップかつ元オアシスのアンディベルが在籍してたことで知名度のあるライドと比べると、知名度はやや劣る印象は否めない。
特にロック史の文脈で語る際、同時期に流行してたマッドチェスター、そしてアメリカのグランジの影に隠れてシューゲイザーはあまり語られる機会が減るので、余計歴史にフックアップされるバンドの数は絞られる。恐らく出てくるとすればマイブラ、ライドの他、彼らの祖先的立ち位置のジーザスアンドメリーチェィン、コクトーツインズの2組ぐらいだろう。
また「Souvlaki」がリリースされた1993年は、ブリットポップが勃発し、シューゲイザーが沈静化しつつある年でもあった。ブラー、スウェードが大ブレイクし、翌年にはオアシスがデビューしている。レディオヘッドが名曲「Creep」をリリースしたのもこの年だ。こういったタイミングのすれ違いなども、この作品が後世まで忘れ去られていた要因なのかもしれない。
21世期に入り、インディー界隈におけるドリームポップ隆盛によってシューゲイザーの再評価が始まると、Slowdiveは当時以上の評価を獲得し、「Souvlaki」は「Loveless」、「No Where」と並ぶ名盤と称されるようになった。
その魅力
「Souvlaki」の魅力はどこまでも曲が美しいところだ。
スロウダイブはよくシューゲイザー界隈きっての耽美派と呼ばれることが多く、哀愁あるメロディを武器に活躍したバンドだ。
それと明らかにマイブラとライドと比べると時間の進みがゆったりしているのもスロウダイブの魅力だ。「Souvlaki」に関して言えば幻想性という意味ではシューゲイザーの大元であるドリームポップ的な空気感に近しい。
この幻想的でありながら、まったりとした独特の空気感が醸し出されているところこそ、「Souvlaki」が秋にぴったりな理由だと思う。
日本の四季における秋ってやつは、木なんかを見るとわかると思うが、燦々とした太陽に照らされた緑の木々が色を変え少しずつ枯れる、つまり1年の終わりが近づいて来ていることを端的に表している。
まさにシューゲイザームーブメントが、マイブラの「Loveless」という燦然と輝く傑作によって最盛期を迎えつつも、やがて痩せ細り終わりを迎えつつあったタイミングでリリースされたのが「Souvlaki」だ。
終わりの始まりといった哀愁めいたところも含めて「Souvlaki」と秋には強い親和性があるのかもしれない。
「Souvlaki」実況レビュー
ここまで「Souvlaki」はめちゃくちゃ凄いんだぞみたいな感じで書いたが、なにもそんな気負って聴くものではない。あの北大路魯山人も言ってただろ?「納豆は424回混ぜるとめちゃくちゃ美味しくなるけど、「Souvlaki」は何も考えずリラックスに聴くのが一番良い。」って。みんな習わなかった?
つまりコーヒー片手にまったりしながら聴くのも良いし、散歩がてら外の空気に浸りながら聴くのも良いし、ウネウネした田舎の山道をドライブしながら聴くのも良いわけだ。
というわけで僕も有意義にスタバのコーヒーでも飲んで、「Souvlaki」を実際に聴きながらこの記事の続きを書いていこうと思う。
1曲目から最高過ぎんけ???
もうイントロのギターの最初の音が鳴った瞬間から、少し踏ん反り返った感じに自然と体勢がリラックスした感じになる。
幻想的な世界観ってこういうこと言うんですよね。まさにシューゲイザーの王道。後ろで鳴り響くノイズも、サビの男女ツインボーカルによる甘い陶酔、なんか最高だな。
2曲目の「Machine Gun」はレイチェルの優しいボーカルが天を覆うような一曲だ。まだ早い夕陽に照らされながら、黄色がかった里山をドライブしながら聴くと最高にマッチするかも。
3曲目の「40 Days」はマイブラ直系の轟音直下型地震タイプのシューゲイザーだ。マイブラが縦揺れのようにインパクトでドスンとくるのに対し、スロウダイブはじわじわと来る横揺れなのだ。じわじわと我々リスナーの心に浸食してくる。
続く「Sing」と「Here She Comes」ではブライアンイーノがシンセサイザーで参加しており、これまた良い味を出してる。秋で良い味といえばサンマだ。最近中国がサンマの塩焼きの良さに気付いてしまったらしく、日本のサンマの漁獲量が減っているらしい。こないだマツコの知らない世界で言ってた。なんだこの話。
そして「Souvlaki Space Station」でアルバム後半のスタートを切った後やってくるのが、これまた大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大大名曲の「When The Sun Hits」だ。
もう...ねぇ...最高
全てが完璧なんだよな...
島田紳介がダウンタウンが現れたのと「When The Sun Hits」聴いたのがきっかけで紳助竜介を解散させたって話があるのも納得出来るくらい超名曲なんすよ...
憂いを帯びたイントロの時点でご飯3杯いけるんだけど、サビに行くときのあのノイズがたまらんのよね。
ニール「It matters where you aヴゥゥゥゥゥゥウウウウウウウアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いやもうほんと100点満点のシューゲイザーだよね。涙止まらねえもんここのところ来ると。キングダムハーツ2でロクサスが「俺の夏休み、終わっちゃった...」って言うとこばりに涙止まらねえもん。
少し肌寒く乾燥した空気が周りを包み、もう農作物の収穫を終え下の茶色い土が見える田んぼ道。ススキ越しに輝く真っ赤な夕陽に照らされる姿。皆さんもこの曲からそんな風景が見えてきませんか?
???「ね?見えてくるよね?そう、それが真理、すなわち○ルタクスゼイアンなわけ。ね?わかる?アメリカの大統領は○ルダーバーグ会議でもう決まってるわけ。僕はもう人類の選別に備えて、マイクロチップ、入れちゃっ...」
どうやらあまりのエモさに、俺の心の中の○暁夫が疼いてしまったようですね。
その後に「Altogether」、「Melon Yellow」とダウナーな世界観の楽曲が続く。「When The Sun Hits」の余韻からか、もう体は完全にリラックスを超え新たなフェーズに突入している。
あっ、、、パトラッシュ
探しに来てくれたんだね。
ありがとう。
僕たちはいつまでも一緒だね。
大好きな「Souvlaki」を聴けて、凄く幸せなんだよ
パトラッシュ、、、疲れたろう?
僕もう忙しない現代社会に疲れたんだ、、、
なんだかとてもねMu...
寝ませんよ。
アルバムのラストを飾る「Dagger」はシューゲイザーのアルバムにしては珍しいアコースティックナンバーだ。
ノイズという分厚い壁を脱ぎ捨て、そこには裸のスロウダイブがそびえ立っている。アコースティックギターの硬質な音が、よりダイレクトに孤独と寂しさを体現したようなメロディを際立たせる。最後まで美しいアルバムだ。
総括
出会いの春というならば、別れの秋的なことを欅坂46が言ってた気がする。
そんな感じで1年という短いようで長いサイクルの分岐点として存在する秋に寄り添い、実り、孤独、疲れ、あらゆる場面で「Souvlaki」というアルバムは僕らを受けて止めてくれる。
こんな大変な年だからこそ、何気ない気持ちでこのアルバムを聴いて欲しい。「Souvlaki」はどんなあなたも受け止めてくれるはずだ。
追記)この文は一部冗談が過ぎるところがありますが「Souvlaki」ばりに温かい気持ちで流してください